北海道人からみた関西圏の鉄道事情

関西圏の鉄道・その他についての諸々の雑感

北海道胆振東部地震で被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます

2018年09月20日 | 鉄道事故・災害



皆様も御承知のように、今月6日の午前3時8分頃、北海道胆振地方中東部を震源とする、マグニチュード6.7の大地震が発生しました。
気象庁により「平成30年北海道胆振東部地震」と命名されたこの地震の最大震度は7で、気象庁震度階級(10段階)の中で最も階級の高い「震度7」の激震は、北海道では初めて観測されました。

この地震では、厚真町(あつまちょう)で震度7、安平町(あびらちょう)・むかわ町で震度6強、千歳市・日高町・平取町・札幌市東区で震度6弱を観測したほか、北海道から中部地方の一部にかけて震度5強~1の揺れが観測されました。
ちなみに、私の暮らしている札幌市西区では、震度5弱の揺れが観測されました。








この地震により、震源に近い厚真町吉野地区の山林では大規模な崖崩れが広範囲に発生して多数の住宅が巻き込まれ、また、厚真町・安平町・むかわ町などで多くの住宅が倒壊するなどの被害が発生しました。
道央地域(石狩・胆振管内)を中心に、道路などの損壊も相次ぎました。






私が暮らす地域一帯では、人的な被害や、物理的な損壊の被害はほとんど無かったようですが(但し2階以上の高さのフロアでは本棚の本が散乱した等はあったようですが)、地震発生と同時に北海道電力管内の全戸(つまり北海道内の全て)が停電し、この一斉停電(ブラックアウト)により札幌市内では、一般の家屋やビルの灯りだけでなく街灯や信号機なども全て消え、完全に暗闇に包まれました。
停電していた具体的な時間は、地域によって差異がありましたが、私が暮らす地域一帯ではほぼ2日間、停電が続きました。

そして、地震が発生してから暫くの間、少なくとも当日の午前9時頃までは、ネットワーク接続状況は概ね正常だったのですが、それ以降は、携帯電話大手3社の、電波を端末に届ける基地局が道内各地で機能を停止した事などにより、携帯電話・スマホ・wifi等の電波状況が著しく悪化し、ネットへの接続も困難になりました。
地震発生の当日や翌日は、北海道全域で物流も交通も停止し、停電のためテレビも見られない、インターネットも使えない、という状況になり、大半の道民達にとって、停電が解消されるまでの間、有効な情報収集手段は、暗闇の中でも配達される新聞(但しウチでは新聞は定期購読しておりません)と、乾電池で作動するラジオのみ、といった状況になりました。
私にとっても、このような経験は人生で初めての事で、普段は情報の収集も発信もネットに依存している部分が大きかったため、一時的とはいえそれが出来なくなったのは、やはりちょっと辛かったです。

というよりも、そもそも、全国的にはテレビでもネットでも、今回の地震は連日大きく報道されていたはずですが、肝心の現地(北海道)で、一番情報を仕入れたい時にそれが出来なかった、というのが、私に限らず多くの北海道民にとってかなり辛い状況だったと言えます。

とはいえ、それでも私は、かなり恵まれていました。自身にも家族にも周りの人達にも、幸いにして怪我を負った人はおらず、私が暮らす地域一帯では建物の損壊等もありませんでしたから。
北海道全体でみると、本日(今月20日)現在、大変残念な事に、今回の地震により41人の死亡が確認され、負傷者は690人以上にものぼりました。
また、建物の損壊は2,700棟以上で、今もなお多くの方々が避難生活を強いられています。
被災地が一日も早く復旧されます事を、そして、犠牲となられた方々の御霊(みたま)の安らかなる事を、心よりお祈り申し上げます。

また、甚大な被害が生じた地域で、救命・救助のため懸命に精力的な活動をされた消防・自衛隊・警察・海上保安庁・自治体・医療機関・赤十字・その他関係者の皆様方には、心から敬意を表します。
そして、地震直後の大変厳しい状況の中、早期復旧に向けて尽力して下さった行政・自治体関係の皆様方、迅速な送電再開に努めて下さった北海道電力はじめ電力関係の皆様方、停電で制約のある中でも生活物資を届けて下さった物流・小売関係の皆様方、その他御支援下さった全ての皆様方に、私も北海道民のひとりとして、改めて心より御礼申し上げます。




この記事の最後に、この地震による鉄道への影響についても触れさせて頂きます。
地震発生当日は、JR北海道の全路線(在来線・新幹線)で全列車の運転が見合わせとなり、東北新幹線の列車も、北海道新幹線への直通運転を停止しました。
地震そのもの(揺れ)による影響というよりも、地震により発生した一斉停電を直接的な原因として、札幌市営地下鉄、札幌市電、函館市電、道南いさりび鉄道も、全路線で運転を停止しました。
地震発生当日は、鉄道のみならず、道内各空港を発着する航空路線や、道内の都市間バスやその他の路線バスなども全て運休となったため、北海道の交通は完全に“死んだ”状態になりました。

しかし、翌日(7日)には北海道新幹線や札幌市電が運転を再開し、それ以降も、具体的な被害(軌道変位、盛り土亀裂、倒木など)が出ているJR在来線の一部区間を除いて順次、運転が再開されていきました。
今月10日からは、この地震に伴なう節電対策として、JR北海道は「ライラック」「カムイ」「すずらん」などの電車特急の運休を始めましたが、北海道電力の電力供給が地震発生前のピーク時を上回った事を受け、それら電車特急の運行も本日から再開されました。

まだ完全には復旧していませんが、現在、道内の鉄道は、ほぼ平常の運行が行われている所が大半を占めているようです。
とはいえ、今回の地震により、JR北海道の列車は直接的影響だけで6,471本が運休し、更に、節電協力などで200本以上の列車が運転を見合わせており(9月分)、経営再建途上のJR北海道にとって、今回の地震とその直前の台風21号によるダブルパンチが相当な痛手となった事は間違いありません。
もし、路線の復旧費用にも莫大な資金がかかる事になれば、経営再建計画の見直しも迫られかねず、JR北海道にとってはまだ当分の間、“茨の道”が続く事になりそうです…。

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