鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

容認・黙認・諦認

2022-02-20 20:42:35 | 日本の時事風景
鹿児島県の離島である種子島の西之表市に属するさらなる離島「馬毛島」に、米軍のFCLP(艦載機離着陸訓練)のための飛行場建設を巡って、当の西之表市と中種子町および南種子町との間がぎくしゃくした関係に陥った。

そのわけは、飛行場建設を巡り反対の市長を持つ西之表市と、賛成の首長を持つ中種子、南種子の3市町のあいだに関連する自衛隊施設の構築のための予算配分を巡って大きな齟齬があり、政府が基地建設に反対する西之表市には少なめに交付し、自衛隊施設を中種子と南種子に優先的に交付すると言って来たからだ。

具体的に言うならば「補助金」、要するに現ナマの配分に相当な差のできたプランを防衛庁から示されたのである。

環境アセスメントの報告が出てもいないのに、政府は米軍の言い成りになり、馬毛島にFCLP対応の米軍基地が生まれるように仕向けているのだ。「強固な日米同盟(日米安全保障条約)」がある限り、このような「上から目線」的取り決めをやめさせることはできないのが実情だ。

西之表市長は「馬毛島の基地化には反対だ」という初期の信念から「環境アセスメントが済んでから基地建設の是非を考えるべきだ」と若干留保するような主張に変わり、それが政府防衛省予算に整備費(約3500億円)が盛り込まれてしまったことで、そうなった以上は反対してもしょうがないという気持ちになったのだろう。

先に防衛省を訪れ、西之表・中種子・南種子の3市町の自衛隊施設建設にあたっては、差別的な待遇をしないでほしいという要望書を提出したが、もう声高に反対するようなことはなかったと聞く。

これを取り上げて、市長は「容認」したのか、いや「黙認」してしまったのかという見方が出て来ているが、私に言わせればこれは「諦認」だろう。つまり「諦めの境地」に入ったということである。

どれほど反対しても、日本の防衛に関しては「日米安全保障条約」が「最高法規」なのだ。別言すれば「防衛は民主主義を凌駕している」のである。

我々一般市民が防衛問題で意見を述べても決して通らないという状況は、沖縄の普天間移設問題で明確なように、これまでもこれからも民主的な解決は不可能だろう。