140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

第九交響曲

2009-03-31 06:29:24 | 音楽
第九交響曲からは人格が感じられない。
この曲からは人の手により作曲されたということがまるで感じられない。
それでいながら私たちは曲の始まりとともに広大な世界へと引きずり込まれてしまう。
そして時間の感覚をなくし曲に同化して作曲家の提出した問題を共に考えることになる。

Alle Menshen werden Brüder
全ての人間は同胞となる。

以下、Wikipediaによる
「初演は1824年5月7日、作曲者立会いの下、ウィーンのケルントネル門劇場にて行われた。
ベートーヴェンは当時既に聴力を失っていたため、ウムラウフが正指揮者として、
ベートーヴェンは各楽章のテンポを指示する役目で指揮台に上がった。
ベートーヴェン自身は初演は失敗だったと思って、演奏後も聴衆の方を向くことができず、
また拍手も聞こえず、聴衆の喝采に気がつかなかった。
見かねたアルト歌手のカロリーネ・ウンガーがベートーヴェンの手を取って聴衆の方を向かせ、
はじめて拍手を見ることができた、という逸話がある。」

ベルリンの壁が崩壊した1989年の年末には、
バーンスタインがアメリカ・イギリス・フランス・ソ連の混声オーケストラを指揮した。
第二次世界大戦中の1942年4月19日には、「ヒトラー生誕祝賀前夜祭」が開催され、
フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルにより演奏された。
害のないヒューマニストから害のあるファシストにまでこの曲は乱用され続けている。
日本では年末になると各地で演奏される。

Alle Menshen werden Brüder
全ての人間は同胞となる。

初演から185年を経て未だに達成できない理想ではある。
しかしそれを実現するためにこの曲があるわけではないだろう。
歓喜に陶酔して安っぽい思想を押し付けるための道具ではないだろう。
指揮者が譜面を見て、今一度この曲の演奏について考え直すように
私たちもまた、この曲を聴く度に、今の自分とこの曲との距離について
考え直す機会が与えられるのだと私は考えている。

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