2015年1月に書籍が、3月に電子書籍が発行された。本書は日本全国にある巨大仏を探す巡礼をし写真に収めた仏像等の写真集である。写真が主体で、そこに少し解説が書き加えられている。
巨大な大仏という言葉を聞けば、奈良・東大寺の大仏殿に鎮座する大仏(銅造毘盧遮那仏坐像)と現在は野外に鎮座した鎌倉大仏(高徳院銅造阿弥陀如来坐像)をまず常識的には連想することだろう。さらに、奈良・飛鳥寺堂内の銅造釈迦如来坐像(飛鳥大仏)を思い浮かべるかも知れない。これら3大仏は銅造製である。
『仏教辞典』(岩波書店)によれば、大仏は「通常の化身仏の身高は1丈6尺(丈六、4.85m)とされ、それ以上の巨大な仏像を<大仏>という。巨大な仏身観に基づいた大仏の成立は、仏陀の神格化や理想化をさらに誇大に表現したとも考えられる。」と説明されている。つまり、丈六のサイズ以上の巨大な仏像はすべて大仏という定義に当てはまる。
本書でも最初に身高が1丈6尺以上が大仏と称される定義を説明したうえで、さらに巨大化した様々な大仏が全国各地に数多くあるという事実について巡礼を重ね、写真を撮り写真を中心に、巨大仏という範疇でまとめている。
本書読了後の第一の感想は、全国にこんなに多くの巨大仏が実在するのかという驚きである。逆に、今までなぜその存在を知らなかったのだろうという気すらした。
手許に仏像の事典や解説書が数冊あるが、それらは仏像の種類を採りあげて解説することが目的で、大きさに着目している訳ではない。つまり巨大仏という視点は殆ど無い。毘盧遮那如来という説明で、東大寺の盧舎那仏坐像が例示されるというに過ぎない。そういう意味では、巨大仏という視点はこれらの書には意識されていない。それ故たまたま知っている範囲の各地の巨大仏は、仏像のある種類が巨大化された事例と認識しただけである。私自身大きさという観点で調べてみたいという思いは無かった。本書を知って、そんなにもあるのか・・・と気づかされた次第である。
著者によると本書で採りあげられた類いの巨大仏は今も増え続けていると言う。その真偽は私にはわからないが・・・・。
巨大仏を扱いながら、本書には奈良大仏、鎌倉大仏は掲載されていない。あまりにも有名で常識の枠内にあるので外したのかもしれない。また、飛鳥大仏は、わが国最初の丈六金銅仏の坐像であるが、像高275.2cmだから巨大仏という視点からは対象外になるのだろう。
本書はどれだけの巨大仏を採りあげているのか。本書の構成の紹介を兼ねてその数を括弧書きで占めそう。構成が巨大仏に対する著者の視点を示していると言える。
其の壱 超高層建築仏 (13)
其の弐 巨大坐像仏 (20)
其の参 個性派巨大仏 (17)
其の四 秘境大仏 ( 5)
其の伍 巨大弘法大師列伝 ( 7)
其の禄 廃墟巨大仏 ( 2)
そこで、著者のこの分類枠をはずして、都道府県別にどの巨大仏が採りあげられているか並べかえてみよう。この雑文をお読みいただく読者の身近にも巨大仏があることを発見しやすいだろうから。そこから関心の波紋を広げてみてほしい。
北海道 札幌大仏・札幌薬師大仏・涅槃大仏・登別からくり閻魔
浪切不動明王・御涙観音
宮城 仙台大観音・愛子大仏・成田山大仏
福島 会津慈母観音
茨城 牛久大仏・大子地蔵尊・一乗院毘沙門天
千葉 東京湾観音・日本寺大仏
埼玉 鳥居観音・空滝大不動尊
群馬 高崎白衣大観音・中之嶽大黒天・あかがね薬師如来
袈裟丸山釈迦涅槃像
東京 駒込大観音・塩船平和観音・東京大仏・大井の大仏五智如来
神奈川 大船観音・鷹取山弥勒仏・三浦大仏
新潟 親鸞聖人像・越後七浦観音・白馬大仏・新潟大弘法
富山 髙岡大仏・庄川大仏・宇奈月温泉平和の像・新湊弁財天
石川 加賀大観音・能登大仏・ハニベ巌窟院
福井 越前大仏
静岡 八幡野観音・焼津千手観音・阿吽だるま・縁結び大仏・井川大仏
愛知 聚楽園大仏・名古屋大仏・布袋の大仏・平成大仏・子安大師像
勝川大弘法・春日井大弘法・御花弘法大師・印場大弘法・新居大弘法
岐阜 岐阜大仏・聖徳太子像
三重 純金開運寶珠大観世音菩薩
奈良 壺阪寺
大阪 石切大仏
兵庫 兵庫大仏・鵯越大仏・世界平和大観音
沖縄 沖縄平和祈念像
本書に採録されているのは以上である。本書は巨大仏巡礼の始まりであるだけということなのだろう。
東日本でいえば、青森・岩手・秋田・山形・栃木・山梨・長野は入っていない。
西日本でいえば、滋賀・京都・和歌山・岡山・広島・山口・鳥取・島根、さらに四国と九州の各県は入っていない。
私の住む京都でいえば、京都市東山区に「霊山観音」という巨大仏がある。滋賀県長浜市には「長浜びわこ大仏」(28m)がある。福岡県篠栗(ささぐり)町の南蔵院には「釈迦涅槃像」(全長41m)などがある・・・・・。
巨大仏探しをネット検索でしてみようか・・・・そんな関心も芽ばえてきた。
いずれにしても、手軽に巨大仏の存在を知るには便利な一冊である。
巨大仏という視点を改めて意識すると、既にこのジャンルでも幾冊か本が出版されていることにも気づくという副産物を得ることができた。
『巨大仏巡礼』のパート2を期待したい。
ご一読ありがとうございます。
本書には未掲載で、上に触れた巨大仏のネット情報等をまとめておきたい。
霊山観音 :ウィキペディア
湖面を後光に、護国願う 長浜びわこ大仏 :「京都新聞」
【28mの阿弥陀如来像!】『長浜びわこ大仏』の駐車場・写真ガイド
:「琵琶湖アウトドアマップ」
和歌山にも巨大仏像あり :「いなか伝承社(地域活性化支援)のブログ」
大千手十一面観世音菩薩像 紀三井寺の仏像 :「紀三井寺」
大千手観音菩薩 美物、秘仏!和歌山の仏像7選、ぶらぶらお寺巡り:「ロカルわかやま」
世界最大級 41メートルの巨大涅槃像 ねぼとけさん「お身ぬぐい」 :「毎日新聞」
篠栗町【南蔵院】世界一のブロンズ涅槃像と金運アップのパワースポット★すす払いは12/26 :「福岡たのしか」
インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。
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その点、ご寛恕ください。)
巨大な大仏という言葉を聞けば、奈良・東大寺の大仏殿に鎮座する大仏(銅造毘盧遮那仏坐像)と現在は野外に鎮座した鎌倉大仏(高徳院銅造阿弥陀如来坐像)をまず常識的には連想することだろう。さらに、奈良・飛鳥寺堂内の銅造釈迦如来坐像(飛鳥大仏)を思い浮かべるかも知れない。これら3大仏は銅造製である。
『仏教辞典』(岩波書店)によれば、大仏は「通常の化身仏の身高は1丈6尺(丈六、4.85m)とされ、それ以上の巨大な仏像を<大仏>という。巨大な仏身観に基づいた大仏の成立は、仏陀の神格化や理想化をさらに誇大に表現したとも考えられる。」と説明されている。つまり、丈六のサイズ以上の巨大な仏像はすべて大仏という定義に当てはまる。
本書でも最初に身高が1丈6尺以上が大仏と称される定義を説明したうえで、さらに巨大化した様々な大仏が全国各地に数多くあるという事実について巡礼を重ね、写真を撮り写真を中心に、巨大仏という範疇でまとめている。
本書読了後の第一の感想は、全国にこんなに多くの巨大仏が実在するのかという驚きである。逆に、今までなぜその存在を知らなかったのだろうという気すらした。
手許に仏像の事典や解説書が数冊あるが、それらは仏像の種類を採りあげて解説することが目的で、大きさに着目している訳ではない。つまり巨大仏という視点は殆ど無い。毘盧遮那如来という説明で、東大寺の盧舎那仏坐像が例示されるというに過ぎない。そういう意味では、巨大仏という視点はこれらの書には意識されていない。それ故たまたま知っている範囲の各地の巨大仏は、仏像のある種類が巨大化された事例と認識しただけである。私自身大きさという観点で調べてみたいという思いは無かった。本書を知って、そんなにもあるのか・・・と気づかされた次第である。
著者によると本書で採りあげられた類いの巨大仏は今も増え続けていると言う。その真偽は私にはわからないが・・・・。
巨大仏を扱いながら、本書には奈良大仏、鎌倉大仏は掲載されていない。あまりにも有名で常識の枠内にあるので外したのかもしれない。また、飛鳥大仏は、わが国最初の丈六金銅仏の坐像であるが、像高275.2cmだから巨大仏という視点からは対象外になるのだろう。
本書はどれだけの巨大仏を採りあげているのか。本書の構成の紹介を兼ねてその数を括弧書きで占めそう。構成が巨大仏に対する著者の視点を示していると言える。
其の壱 超高層建築仏 (13)
其の弐 巨大坐像仏 (20)
其の参 個性派巨大仏 (17)
其の四 秘境大仏 ( 5)
其の伍 巨大弘法大師列伝 ( 7)
其の禄 廃墟巨大仏 ( 2)
そこで、著者のこの分類枠をはずして、都道府県別にどの巨大仏が採りあげられているか並べかえてみよう。この雑文をお読みいただく読者の身近にも巨大仏があることを発見しやすいだろうから。そこから関心の波紋を広げてみてほしい。
北海道 札幌大仏・札幌薬師大仏・涅槃大仏・登別からくり閻魔
浪切不動明王・御涙観音
宮城 仙台大観音・愛子大仏・成田山大仏
福島 会津慈母観音
茨城 牛久大仏・大子地蔵尊・一乗院毘沙門天
千葉 東京湾観音・日本寺大仏
埼玉 鳥居観音・空滝大不動尊
群馬 高崎白衣大観音・中之嶽大黒天・あかがね薬師如来
袈裟丸山釈迦涅槃像
東京 駒込大観音・塩船平和観音・東京大仏・大井の大仏五智如来
神奈川 大船観音・鷹取山弥勒仏・三浦大仏
新潟 親鸞聖人像・越後七浦観音・白馬大仏・新潟大弘法
富山 髙岡大仏・庄川大仏・宇奈月温泉平和の像・新湊弁財天
石川 加賀大観音・能登大仏・ハニベ巌窟院
福井 越前大仏
静岡 八幡野観音・焼津千手観音・阿吽だるま・縁結び大仏・井川大仏
愛知 聚楽園大仏・名古屋大仏・布袋の大仏・平成大仏・子安大師像
勝川大弘法・春日井大弘法・御花弘法大師・印場大弘法・新居大弘法
岐阜 岐阜大仏・聖徳太子像
三重 純金開運寶珠大観世音菩薩
奈良 壺阪寺
大阪 石切大仏
兵庫 兵庫大仏・鵯越大仏・世界平和大観音
沖縄 沖縄平和祈念像
本書に採録されているのは以上である。本書は巨大仏巡礼の始まりであるだけということなのだろう。
東日本でいえば、青森・岩手・秋田・山形・栃木・山梨・長野は入っていない。
西日本でいえば、滋賀・京都・和歌山・岡山・広島・山口・鳥取・島根、さらに四国と九州の各県は入っていない。
私の住む京都でいえば、京都市東山区に「霊山観音」という巨大仏がある。滋賀県長浜市には「長浜びわこ大仏」(28m)がある。福岡県篠栗(ささぐり)町の南蔵院には「釈迦涅槃像」(全長41m)などがある・・・・・。
巨大仏探しをネット検索でしてみようか・・・・そんな関心も芽ばえてきた。
いずれにしても、手軽に巨大仏の存在を知るには便利な一冊である。
巨大仏という視点を改めて意識すると、既にこのジャンルでも幾冊か本が出版されていることにも気づくという副産物を得ることができた。
『巨大仏巡礼』のパート2を期待したい。
ご一読ありがとうございます。
本書には未掲載で、上に触れた巨大仏のネット情報等をまとめておきたい。
霊山観音 :ウィキペディア
湖面を後光に、護国願う 長浜びわこ大仏 :「京都新聞」
【28mの阿弥陀如来像!】『長浜びわこ大仏』の駐車場・写真ガイド
:「琵琶湖アウトドアマップ」
和歌山にも巨大仏像あり :「いなか伝承社(地域活性化支援)のブログ」
大千手十一面観世音菩薩像 紀三井寺の仏像 :「紀三井寺」
大千手観音菩薩 美物、秘仏!和歌山の仏像7選、ぶらぶらお寺巡り:「ロカルわかやま」
世界最大級 41メートルの巨大涅槃像 ねぼとけさん「お身ぬぐい」 :「毎日新聞」
篠栗町【南蔵院】世界一のブロンズ涅槃像と金運アップのパワースポット★すす払いは12/26 :「福岡たのしか」
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