数ある日本酒の中でも、この酒は「イチロー」のように世界に認められた幸運な酒…。
実力があってもメジャーになれず、
脚光を浴びることなく消費されていく多くの酒を思えば、本当に幸運な酒だと思う。
写真は純米大吟醸、多分オイラが口にしたのは純米吟醸の方だったと思うが…。
以前、とある店でこの酒を勧められ、とても美味しかったのを覚えていたが、
その後、この酒がJALのエグゼクティブクラスで出される酒になったとか、
ニューヨークやドバイのセレブが愛飲しているという報道をみて気持ちが遠ざかっていた。
あまのじゃくなのかもしれないが、酒の文化も知らん外人が喜んでもてはやすような酒より、
「人知れず、地元で愛される本当にうまい酒が本当の酒なんだ!」と青臭い考えで息巻いていた…。
「有名な美味しい酒」よりも「有名ではないうまい酒」があると思っていたあの頃…。
そんなもんあるかっ! 今更ながらお恥ずかしい。
うまい酒は誰が飲んでもうまいし、うまい酒はおおかた有名なものである。
45を過ぎて、いっぱしに口も肥え、少々高くてもおいしい酒を飲みたいと思うようになり、
「贅沢」だと思いながらも、「外で飲むより安いじゃん!」と嫁さんを説得し、(納得していないが)
ちょくちょくいい酒を買うようになってきたのだが、なかなかこの酒ともう一度出逢う事がなかった…。
そんな時に今回の震災…。
しばらくして、各地の復興を伝えるニュースの中でこの酒の蔵元の奮闘ぶりが流された。
そして、ぜひもう一度飲んでみたい…、いや、せっかくだから大吟醸を…。
大きな力に押し流されながらも生き残った強運の酒…、
皆の思いが詰まった酒をどうしても飲んでみたいと思った。
そして、やっと今日…。
遠路はるばる宮城県の酒屋からクロネコに乗ってやってきた。
瓶の裏にはこんなシールが…。
同封のパンフレットには、「お求めいただいた酒は、移動により旅疲れしている場合もありますので、
本来の味でお召し上がりいただくには、最低1晩以上、冷蔵庫で休ませて下さい。」とある。
もったいつけやがって!
普段ならこう言うオイラも、今回ばかりは「あっそうですか、ではゆっくりとお休みください」と
そそくさと冷蔵庫にスペースを作るのだった…。
さあ、いつ飲もうかな~? 誰と飲もうかな~?
たのしみだぁ~~!