8.実家帰省
久し振りに長崎実家に帰省し、母と再会して母は喜ぶと同時に私の不自由な身体をを見て嘆いた。
子供が障害者になったのだから悲しむのは当然である。
改めて、横浜・長崎が遠く隔たっていることを感じ、何故長男でありながら長崎を出て東京方面に就職したのか悔やまれてしまう。しかしこんなことで後悔しては少しも前向きになれない。吉川英治「宮本武蔵」の中に「我事において後悔せず」は、万事において実践すべきことである。
入院当初長崎帰省は不可能と思っていたが、退院後妻と同行であるが1年間に3回帰省できた。少々不具合になったが、都会で頑張って成果を出したではないか。今度は独りで帰省するつもりである。
実家は外風呂の為、身障者にとって風呂に入ることが一大事であり、実家帰省できたとしても入浴は介護施設の世話にならざるを得ないと思っていたことをベースに置くと独りで風呂を使えるのだから以前と変わらない。悔やむことは無い。
本年初めに幼なじみの訃報を聞きお墓参りをした。食道がんの発見から1年前後で亡くなったと聞きまた彼の蔵書2000冊の所有を知った。
定年後地域の為に私設図書館を開設し、憩いの場の提供を夢見ていたとのことで彼の無念さの大きさを推し測ることが出来なかった。それに比べて私は何と弱腰になっているのか。もっと目標があったではないか。彼の奥さんから
「少し位の不自由さを与えられたとしても長生きして下さいね。奥様の為に!!」
と励まされた。
強く生きることは義務であると思う。