日本庭園こぼれ話

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粉河寺庭園=庭園回廊・和歌山(1)・・・(再編)

2021-01-12 | 日本庭園

ある時、国指定名勝庭園のリストを眺めていて、和歌山市とその周辺には、いくつもの名園が集中していることに気づきました。まるで庭園めぐりの回廊のように・・・。さすが紀州徳川家のお膝元。

最初に訪れたのは粉河寺(こかわでら)。西国三十三所観音霊場第三番札所に数えられています。

和歌山駅から、紀の川を遡るように延びるJR和歌山線で約30分、粉河駅下車。駅から約800メートル、はるか前方に見える朱塗りの大門が目印になります。

この大門、近づくとかなり巨大な楼門です。その傍らに、小さな神社があるのですが、脇にあるクスノキの巨木も必見です。

ここから右折する参道に従い進むと、広い境内には、仏足石や本尊・千手観音の化身が出現したという池やお堂が並んでいます。

上: 千手観音の化身が現れたという出現池と、化身を祀るお堂)

粉河寺は、寺伝によれば奈良時代(770)の開創。『枕草子』にも「・・・霊山は釈迦仏の御すみかなるが、あはれなるなり。石山。粉河。志賀。」とあるように、古くから多くの人々の信仰を集め繁栄しました。

しかし、天正十三年(1585)、豊臣秀吉の紀州攻めにより全焼。現在の伽藍は、江戸時代の再建です。

四天王を安置した中門をくぐった広場の先に見えるその本堂は、西国三十三所の中で最大級という規模。そしてその前には、巨大な本堂にも負けない、圧倒的な迫力を持つ庭園(名勝)があります。

(上: 本堂と庭園。どちらもスケールが大きい)

本堂前に、3メートルほどの高低差の擁壁を兼ねて築かれた庭園は、大量の巨石を自由奔放に積み上げたと見える豪壮な石組と、サツキの刈込み、ソテツなどの植栽で構成された、「枯山水観賞式蓬莱庭園」と呼ばれるもの。

使われている石は、紀州産の青石、紫石、龍門石などの名石が目白押し。色味のある石が一層の豪華さを醸し出し、日本庭園の一般的イメージとは、一線を画す造形美を見せています。作庭は桃山時代。茶人としても知られる武将・上田宗箇の作と伝わっていますが、真偽は不明。

本堂脇のクスノキもまた、年代を経た巨木で、枝振りもさることながら、根元の自然造形に目を奪われます。

* お断り==最新の記事ではないので、変化しているところがあるかもしれません


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