日本庭園こぼれ話

日本の歴史的庭園、街道、町並み。思いつくままに
Random Talks about Japanese Gardens

片倉城跡の花たち(早春~夏)・・・東京・八王子市

2017-05-20 | 四季の花話

片倉城跡公園は、その名が示すように、戦国時代の山城跡にある公園。雑木林の丘陵に囲まれ、湧水も豊富な自然環境に恵まれ、野鳥観察にも人気のスポットですが、特に四季折々の花を愛でる人々が多く訪れます。

横浜線片倉駅から徒歩5分くらいというアクセスの良さも魅力的。私のお気に入りの散策コースなので、このブログでも度々ご紹介してきましたが、早春から夏にかけての眺めをまとめてみました。

(上:コブシ)

(上:ヤマザクラ)

もっとも賑わうのが、3月末。「コブシ」の花や「ヤマザクラ」が雑木林を彩る頃、「カタクリ」が花開きます。

 

雑木林の根元に広がる群落が見事。

その可憐なたたずまいに惹かれるのでしょうか?

カタクリの花は大人気です。

カタクリほどの群落ではありませんが、足元に目をやれば、「ニリンソウ」や「ヒトリシズカ」・・・

(上:ニリンソウ、下:ヒトリシズカ)

他にも名前を知らない花が、花盛り・・・

 

てっぺんの広場では、サクラが満開です。

(以上、3月30日撮影)

 

その後、4月中旬頃の目玉は「ヤマブキソウ」

「奥の沢」と呼ばれる一帯が黄色の花で埋め尽くされます。

そして「ウワミズザクラ」の開花もこの時期です。

いわゆるサクラの花とは、全く別物ですが、これも「サクラ」の仲間。

その木が古代の占いに使われたということで、その名は『古事記』にも登場しているとか。

(以上、4月20日撮影)

初夏の光がまぶしい5月の初め。来園者のお目当ては、通称「なんじゃもんじゃ」の木と呼ばれる「ヒトツバダコ」の花でしょう。

公園の入口にあります。

また、入口にある池を覆い尽くすかのような「コウホネ」の黄色い花も見頃です。

この池にはカワセミが飛来するので、池端には、カメラを設置して待つ人々も・・・

「キンラン」もこの附近で花開きます。

そして林の中では、「ミズキ」や「ガマズミ」の花が開花します。

(上:ミズキ、下:ガマズミ) 

また、毎年とは言えないのですが、運が良ければ、上の広場で巨大な「ヤマフジ」がみられるかも。

近づくと、花が滝のよう。

(以上、5月5日撮影)

この時期を過ぎると、池の中には「スイレン」開花しますが・・・

公園全体では、花の時期が一段落。でも、足元の緑の中を注意して眺めれば、小さな山野草がひっそりと花開いています。

(上:オカタツナミソウ)

(上:フタリシズカ)

(上:ナルコユリ)

「ギンラン(下の写真)」は、ちょっと、盛りを過ぎてしまいました。

下の花は「ヤマグルマ」と教わったのですが、通称のようで、正しい名前は他にあるようです。

クレマチスに似た花でした。

(以上、5月16日撮影)

6月になると、公園入口近くにある菖蒲園のハナショウブが見頃を迎えます。

豊富な清水が菖蒲園を満たし・・・

水車や八つ橋が風情を添えています。

(以上、6月16日撮影)

そして盛夏の頃。7月末には「奥の沢」が再び賑やかになります。

「キツネノカミソリ」の群落です。

 「奥の沢」は公園の谷間に当たる部分ですが、ここに春から夏にかけて、カタクリ、ヤマブキ、キツネノカミソリと、順番に花の群落が姿を見せるのです。

 

それから「ウバユリ」も、この時期、群落というほどではありませんが、そこかしこで、姿を見せてくれます。

そして夏の山野草が、あちらこちらに・・・。

 

 (上:コバギボウシ、下:ヒヨドリバナ)

(以上、7月30日撮影)

 

# 写真は、2017年に撮ったものですが、今年(2021年4月2日現在)は、カタクリ、ヤマブキソウが、当時より2週間前後、開花が早くなっています。

 


塩船観音のツツジと渓谷散策(5月2日)

2017-05-03 | 四季の花話

冬が去り、春が来て、やがて、周囲の景色は新緑が輝く季節になりました。

ウメもサクラも散ってしまいましたが、これからは、初夏の花々が見頃を迎えます。

ツツジもその1つ。東京・青梅市の塩船観音寺は、このあたりでは有名なツツジ観賞のスポットです。

青梅線・東青梅駅から、ぶらぶら歩いて30分ほどのところにある塩船観音寺の歴史は古く、寺伝によれば、7世紀半ば、若狭の国の八百比丘尼が、この地を訪れ、観音像を安置したのが始まりとか。

寺名の由来は、8世紀半ば、行基上人が、丘に囲まれて船の形に似ている地形から、仏が衆生を救おうとする願いの舟である「弘誓の舟」になぞらえて、「塩船」と名付けたとあります。

参道を奥に進んだ先の境内は、ツツジに埋め尽くされています。

四方八方に咲き誇るツツジを眺めながら、高台に上れば・・・

寺名の由来となった「弘誓の舟」の光景が眼前に広がっています。

ツツジを満喫した後は、再び青梅線で、御嶽駅へ。東青梅から8つ目の駅です。

(上: 御嶽駅)

駅の前、多摩川の対岸に「玉堂美術館」があります。

日本画の巨匠・川合玉堂の美術館です。

玉堂の作品はもちろんのこと、建物、庭園ともに、日本を代表する建築家、造園家の手によるもので、見応えがあります。

美術館の後は、1つ前の沢井駅まで、御岳渓谷の景色を眺めながら、遊歩道の散策。

新緑に囲まれ

橋のアーチを額縁にした眺めや

岸壁を映した川面

岩にぶつかり、白い波しぶきが砕ける急流 

そんな中、カヌーを操る人々

いろいろな川の姿を眺めながら歩いて

20分ほどで、沢井駅。本日の散策の終点です。

沢井駅近くには、清酒「澤乃井」で知られる小澤酒造があり、酒造見学や「きき酒」を楽しむこともできます。(酒造見学は予約優先です。詳しくは、小澤酒造のHPをご参照ください。)

 

* 塩船観音寺へは、青梅線・河辺(かべ)駅北口より、バス便もあります。

* 塩船観音寺と玉堂美術館については、以前にも、本ブログで詳しくご紹介しているので、よろしければ、ご一読ください。(「塩船観音のツツジ=2013-05-10」「玉堂美術館の庭=2016-06-18」)

* また拝観、入館などの詳しい情報は、それぞれのHPをご参照ください。