日本庭園こぼれ話

日本の歴史的庭園、街道、町並み。思いつくままに
Random Talks about Japanese Gardens

杉並区立「太田黒公園」---東京都杉並区(改編)

2019-11-20 | 日本庭園

杉並区立「太田黒公園」で、11月22日~12月1日まで紅葉ライトアップが行われると、新聞にありました。

「太田黒公園」は、若い人はご存じないかもしれませんが、NHKのラジオ番組「話の泉」の解答者として知られた音楽評論家・太田黒元雄氏の自邸跡地につくられた公園です。「話の泉」は、戦後間もない昭和21年から39年まで続いた人気長寿番組で、後に知ったところによると、日本の放送界で初めてのクイズ番組だそうです。私は、内容は詳しく覚えていないのですが、よく聴いていたのを記憶しています。

公園は、太田黒元雄氏の遺志により、杉並区に寄贈された屋敷跡につくられたもので、杉並区の区立公園としては、初めての日本庭園として整備され、昭和56年に開園されました。名称は「公園」ですが、「庭園」と呼んだ方がふさわしい意匠で、細部にわたり見応えがあります。

JR中央線荻窪駅南口から7分ということでしたが、そこに至る道は、商店街を通り抜け、住宅街に入り・・・といった具合で、迷いながら辿り着いたので、実際には、もう少し時間がかかりました。道が分かりにくいのか、それとも単に、私が方向オンチだからなのか?

(上: 築地塀のある正門は武家屋敷のような佇まい)

正門を入ると、御影石貼りのアプローチに沿って、イチョウの古木が聳えています。

改修に当たっては、できる限り原形保存を図ったというだけに、以前からあった池を再現し、園内には、前記の樹齢100年を越えるというイチョウ並木や、ケヤキ、アカマツなどの巨木が林立し、住宅地の中に、別世界を創りだしています。

 

(上: 大きな木々の存在が心地良い芝生広場)

庭園は、休憩室前に広がる芝生広場と、その先の池、池に注ぐ流れで構成されています。それらの洋と和の景色の調和が見事です。

(上: 休憩室から芝生広場を眺める。手前の和の空間が効果的) 

 

 

 

 

 

 

 

 

(上: 四阿のある池)

庭に、さらなる景趣を添えているのが、流れの存在です。石組の配置や、セキショウなどの植栽が、自然の沢を切り取ってきたような雰囲気を醸し出しています。

(上: 見事な沢の構成が、既存の深い緑によって、より一層、魅力を増している)

庭を一周し、竹林の小径に沿って、歩を進めれば、突き当たりにあるのが太田黒氏の記念館です。昭和8年に建てられたというレンガ色の洋風建築。室内には、愛用のピアノをはじめ、太田黒氏の生前が偲ばれる、様々な遺品が展示されています。

(上: 竹の小径と、瀟洒な記念館)

 

# 詳しくは「太田黒公園管理事務所」へ、お問い合わせください。