日本庭園こぼれ話

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玉堂美術館の庭 (東京都青梅市)

2016-06-18 | 日本庭園

玉堂美術館は、近代日本画壇の巨匠と評される日本画家・川合玉堂の美術館です。

東京の西方、奥多摩と呼ばれるこの地に、昭和19年、玉堂が移り住み、アトリエを構え、昭和32年に亡くなるまでの10数年を過ごしたのを記念して、建てられたということ。

JR青梅線・御嶽(みたけ)駅から徒歩3分。多摩川の清流を眼下に望む高台に、美術館はあります。

美術館の建築設計は、数寄屋建築の名手として知られた吉田五十八(よしだ いそや)氏。

庭園は、国内で数々の名園を手がけただけでなく、世界各国においても、日本庭園を作庭した造園家・中島健氏の初期の作品です。

築地塀に囲まれた空間、その白砂地の中に、いくつかの景石を配しただけの枯山水庭園は、 竜安寺の石庭を彷彿させます。

しかし、ここでは、直線的な延段が加わることによって、古典的枯山水の景が、モダンな庭園へと変化しているのを感じます。

また、周囲の自然は、借景として庭園の景に取り込まれていますが、低く抑えた築地塀は、人工と自然の対比を際立たせるのに効果的です。

その他、建物との調和やつなぎの部分にも、細やかな配慮がなされているのが見てとれます。

と、こうした分析は、さておき、清々しい佇まいが、内部に展示されている川合玉堂の画と調和して、訪れる人を爽やかな気分にしてくれることでしょう。

そして、美術鑑賞の後は、渓流に沿った遊歩道の散策も、お薦めです。

「おもてなし」の心が、道端にも表れています。

 

※ 入館案内など、詳しくは、玉堂美術館公式HPをご参照ください。

 http://www.gyokudo.jp/