玉堂美術館は、近代日本画壇の巨匠と評される日本画家・川合玉堂の美術館です。
東京の西方、奥多摩と呼ばれるこの地に、昭和19年、玉堂が移り住み、アトリエを構え、昭和32年に亡くなるまでの10数年を過ごしたのを記念して、建てられたということ。
JR青梅線・御嶽(みたけ)駅から徒歩3分。多摩川の清流を眼下に望む高台に、美術館はあります。
美術館の建築設計は、数寄屋建築の名手として知られた吉田五十八(よしだ いそや)氏。
庭園は、国内で数々の名園を手がけただけでなく、世界各国においても、日本庭園を作庭した造園家・中島健氏の初期の作品です。
築地塀に囲まれた空間、その白砂地の中に、いくつかの景石を配しただけの枯山水庭園は、 竜安寺の石庭を彷彿させます。
しかし、ここでは、直線的な延段が加わることによって、古典的枯山水の景が、モダンな庭園へと変化しているのを感じます。
また、周囲の自然は、借景として庭園の景に取り込まれていますが、低く抑えた築地塀は、人工と自然の対比を際立たせるのに効果的です。
その他、建物との調和やつなぎの部分にも、細やかな配慮がなされているのが見てとれます。
と、こうした分析は、さておき、清々しい佇まいが、内部に展示されている川合玉堂の画と調和して、訪れる人を爽やかな気分にしてくれることでしょう。
そして、美術鑑賞の後は、渓流に沿った遊歩道の散策も、お薦めです。
「おもてなし」の心が、道端にも表れています。
※ 入館案内など、詳しくは、玉堂美術館公式HPをご参照ください。