日本庭園こぼれ話

日本の歴史的庭園、街道、町並み。思いつくままに
Random Talks about Japanese Gardens

津軽リンゴと宣教師

2011-04-29 | 番外編

前回、弘前市内には明治・大正時代の教会が点在していると書きましたが、そこでご紹介した日本最古のプロテスタント教会として知られる「日本キリスト教団弘前教会」は、東奥義塾の英語教師として招かれた宣教師「ジョン・イング」によって創立されたものです。

さて、津軽地方は、日本有数のリンゴの産地ですが、津軽における西洋リンゴの発展に貢献したのが、このイングだったそうです。

イングが学んだ大学は、米国のインディアナ州にあり、そこはリンゴの産地。そこでイングは、クリスマス会で若者にリンゴをご馳走し、そのおいしさに驚いた若者の一人が、リンゴの苗の取り寄せを頼み、リンゴ栽培の会社を興します。

これが津軽における西洋リンゴ振興の礎となったということです。

現在、品種改良されて「王林」や「陸奥」といった種類のリンゴになっているのが、このときの「インドリンゴ」だとか。

その名の由来は、それがインディアナ州から来たからとも、あるいはイングが訛って、インドリンゴとなったという説もあります。

以上、弘前散策の「こぼれ話」でした。

 

 


片倉城跡公園:2011年4月22日(ヤマブキソウ)---東京/八王子市

2011-04-23 | 四季の花話

東京都八王子市の八十八景の一つに選定されている「片倉城跡公園」は、カタクリの群生地として、近隣では知られた公園ですが、四季折々、いろいろな花が楽しめます。今回はヤマブキソウのご紹介。

片倉城跡公園は、その名の通り、室町時代に築城されたと伝わる山城跡。空堀や土塁跡も残る雑木林に覆われた丘です。

JR横浜線片倉駅から徒歩約5分で入口です。

(上: 片倉城跡公園入口の景)

公園の下部には池があり、北村西望の作品など、20近い彫刻が点景となっています。

上の写真は、入口にある池で、カワセミが来るので、いつも写真愛好家がカメラを構えて待っています。

すぐに園路は上り坂。3月末~4月初めにかけては、小道の両側は、カタクリの群落で覆われますが、今は二輪草が咲き乱れていました。

(上: 二輪草。葉の上の茎が2本に分かれてそれぞれに花をつけています)

二輪草に混じって、一輪草もチラホラ。

(上: 一輪草は、二輪草に似ていますが、花が一つで、二輪草より大きな花です)

そして少し歩くと、「奥の沢」へ。ここもカタクリの群落地ですが、主役交代。ヤマブキソウの出番です。

(上: 山側の景)

(上: 谷側の景)

あたり一面、黄色の波が広がっていました。

奥の沢から上は、桜に囲まれた見晴らしのよい広場、下に下れば、花菖蒲園などのある湿地帯で、それぞれの花のシーズンには、目を楽しませてくれることでしょう。今の季節の湿地帯は、セリとコウホネでした。

(上: セリの花。湧水が様々な植物を育んでいます)

(上: コウホネの花。満開は1週間先でしょうか?)

 

 

 


Cherry Hills in Hachioji

2011-04-17 | ...and all the others

The cherry blossom is regarded as a national flower of Japan. Every spring, people look forward to seeing cherry vlossoms. When cherry trees burst into bloom, they realize the real spring has come.

Many people go to see cherry blossoms. There are a lot of cherry-blossom viewing sights all over Japan. One of my favorite places is "Tama Shinrin Kagaku-en" located at the foot of Mt. Takao in Hachioji.

This place used to be a forestry-research station where a variety of trees including cherry trees are planted and preserved.

(5 photos above are the view at the beginning of April)

Particularly, the beauty of cherry blossoms is well known lately.

(4 photos above are the view in the middle of April)

According to the brochure, about 1,700 cherry trees with more than 70 kinds are planted on the undulating hills.

 

Although cherry trees bloom for a short period of time (about one week), here are a lot of different varieties and you can enjoy the beautiful flowers from the middle of March to the beginning of May. 

(4 photos above are the view at the beginning of May)

Access: 10 minutes on foot from JR Takao Station

For further information: 
www.ffpri-tmk.affrc.go.jp/


桜山・多摩森林科学園---東京都八王子市

2011-04-14 | 四季の花話

八王子市・高尾山の麓にある多摩森林科学園は、以前は林業試験場だったところ。その昔は、小田原の北条氏が武田の軍勢を迎え撃った古戦場という丘陵に、多様な動植物の生態系が保全されています。

(上: 園路沿いには、樹木の名前を当てるクイズ標識も・・・)

市街地の近くにありながら、四季折々、豊かな森の自然を楽しめますが、なんといっても、春のサクラが圧巻。各地の著名なサクラの遺伝子を保存するための「サクラ保存林」となっているこの場所には、全国から集められた様々な種類のサクラが植えられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

一番早く開花するカンザクラから、一番遅いミヤマザクラまで、パンフレットによれば、約1,700本、70種類以上のサクラがあるので、3月下旬から5月上旬まで、長い期間楽しめるのも魅力。

 

 

 

 

 

 

 ここまでの写真は、4月上旬頃の桜風景。ソメイヨシノはもちろん、シダレザクラ、各種ヒガンザクラなどが丘陵を覆います。

上の4枚の写真は4月中旬のもの、シダレザクラも豪華に咲き誇ります。

4月中旬から下旬にかけては、芽吹き始めた若草色の樹木の中で、「関山」「御車返し」「白妙」「市原虎の尾」など、八重桜が華やかに丘を彩ります。(下の写真)

 

 

 

 

 

 

 

御衣黄(ギョイコウ)」「鬱金(ウコン)」など、緑や黄色の桜も、目を楽しませてくれます

(上: 八重桜は花の色が多彩)

また、4月末から5月にかけては、ウワミズザクラが咲きます。初めて見た時は、「エッ?これも桜?」と驚いたものでした。(下の写真)

「白妙」「楊貴妃」「薄墨」など、雅趣に富んだ名前から、「飴玉桜」「帆立」「大提灯」など、変わった名前のサクラまで、名前も花の姿も実に様々。木に付けられた名札を見て、名前と花を見比べるのも一興です。

園路はアップダウンが多いので、歩きやすい服装でお出かけください。それと、一般の行楽地ではなく、あくまでも科学園なので、サクラの下での酒盛りはできません。(指定箇所での食事だけは許可されています) 

※ アクセス: JR高尾駅北口から徒歩10分(駐車場はありません)

※ 多摩森林科学園公式HP: www.ffpri-tmk.affrc.go.jp/


伊勢神宮「おはらい町とおかげ参り」---三重県

2011-04-10 | 歴史を語る町並み

内宮の門前、宇治橋から五十鈴川に沿って、800メートルほど続く町並みは、通称「おはらい町」と呼ばれる旧参宮街道。石畳の道の両側に、赤福本店、岩戸屋、すし久、藤屋窓月堂など、伊勢名物の老舗が軒を連ねる門前町が、近年の修復によって整えられて、情緒豊かな雰囲気を醸し出しています。

(上: 見て楽しく、食べておいしい「おはらい町」)

「おはらい町」をぶらぶら歩けば、赤福餅に神代餅、てこね寿司、伊勢うどん、生姜糖、干しアワビなどなど、気分はもはや「花よりだんご」。

(上: 赤福本店に付属する五十鈴茶屋。石庭を眺めながら、抹茶と季節の和菓子で風雅なひととき)

「おはらい町」の途中にある「おかげ横丁」は、江戸時代から明治にかけての伊勢の町並みと風情を再現した一画。伊勢路の伝統的な民家が20棟移築・復元され、そこには街道筋の老舗や茶屋、土産物店がひしめいていて、活気を呈しています。

「おかげ横丁」の名前は、江戸時代の「おかげ参り」にちなんだもの。お伊勢参りの歴史を知りたい方は、横丁奥の芝居小屋風歴史館「おかげ座」へどうぞ。映像と模型で、江戸時代、一大ブームとなったお伊勢参りの実態に迫ります。

(上: 伝統的な民家建築を集めて、かつての伊勢路の賑わいを再現した「おかげ横丁」)

御師(おんし)の存在と伊勢講、「おかげ参り」と「ぬけ参り」、参宮の人々を手厚くもてなす伊勢の人々・・・。中でも圧巻は、2分の1の縮尺で再現された参宮街道の町並みと古市遊郭。そこに行き交う人々のリアルさ。語り部さんの解説もユーモアたっぷり。

それにしても、江戸の昔のお伊勢参りへのエネルギーには驚かされます。「せめて一生に一度でも」と、お伊勢参りへの憧れはつのり、1803年、「文政のおかげ参り」には、半年間に約500万人が参宮したということ。当時の日本の人口が約3、000万人といいますから、ものすごいブームとしか言いようがありません。

「おはらい町」を抜けたところにある猿田彦神社は、天孫降臨の際、道案内をしたと伝わる猿田彦大神を祀り、その故事から、万事を最も良い方に導く開運招福のご利益があるといわれています。

その脇の坂道を少し上って行くと、清楚なたたずまいを見せる小坡(しょうは)美術館。猿田彦神社の宮司の娘で日本画家であった伊藤小坡の作品と、神社と伊勢に関わる作品を展示しています。ロビーから眺める庭園は、狭いながら、伊勢の山々を借景とし、大ぶりな石を組んでダイナミック。

(上: 遠くの山並みを効果的に取り込んだ小坡美術館の庭)