日本庭園こぼれ話

日本の歴史的庭園、街道、町並み。思いつくままに
Random Talks about Japanese Gardens

片倉城跡公園・初夏の花(2013年5月上旬)

2013-05-16 | 四季の花話

東京都八王子市にある片倉城跡公園は、市選定の「八王子八十八景」の一つであり、私の好きな散歩コースです。

ここは、その名が示すように、昔、山城があったところで、その小山全体が公園になっています。春先の「カタクリ」の群生地として、よく知られていますが、他にも四季折々、様々な花が咲き、訪れる人の目を楽しませてくれます。

ここで、ご紹介するのは、5月上旬の頃の景色です。

入口では、「ヒトツバダコ」の白い花が出迎えてくれました。この木は「ナンジャモンジャ」の木として知られています。

傍らの池は、コウホネで埋め尽くされています。小さな黄色い花が可憐。

その向こうに見えるのは、花菖蒲の一種でしょうか?

彫刻の公園としても知られ、様々な彫刻が随所に配置され、景を盛り上げています。下の写真は、少女像とシャクナゲ。

 

山道を登りながら、奥に進むと、雑木林に囲まれた谷があります。春先には「カタクリ」が咲き乱れる所ですが、4月半ばから5月初旬には、「ヤマブキソウ」の群落です。今年は開花が早くて、訪れた時には盛りを過ぎていましたが・・・。

(下の写真は、去年、撮影したものです)

 

 

てっぺんは芝生広場になっていて、その一角に「ヤマフジ」の巨木が木々の上に見えました。見上げると、花のシャワーが降り注ぐよう。

この季節、林の中で存在感を示しているのは、「ミズキ」です。水平に伸びた枝に、白い花がビッシリ。

ヤマボウシも、そろそろ咲き始めます。

木々の足元には、山野草の種類も豊富。「キンラン」が、木陰でひっそりと花を開いていました。

この公園は「東京都名湧水地」にも指定されているように、湧き水があり、水辺の植物、特に花菖蒲が、これからの季節に見頃を迎えます。

 

 

 

 

 


なまずを食べに・・・(埼玉県吉川市)

2013-05-03 | 番外編

「なまず(鯰)を食べに行こう」と誘われた時は、「えっ?なまずって食べられるの?」というのが最初の反応でした。

場所は埼玉県吉川市。JR武蔵野線で、千葉県との県境に近い「吉川駅」下車。駅前に黄金の鯰のオブジェがあり、この地における「なまず」の存在感の大きさを実感しました。

目指す鯰料理の店は「糀家(こうじや)」という料亭。駅から約1キロのところにあります。

それまでの道すがらも、「なまず」があちこちに・・・。

吉川は、この地を流れる「中川」の舟運により、江戸時代、北関東一帯の物資の集散地として栄えたという街。また、古くから、淡水魚の豊富な産地としても知られ、「糀家」は、その歴史を今に伝える創業400年の老舗です。

道路沿いに見えた「糀家」と染め抜かれた暖簾を、当然の如く、くぐって、「ごめんください」と声をかけたら、そこは勝手口でした。昔は、店の入口が街道に面していたのでしょう。その面影が残る勝手口です。

で、改めて裏に回ると、そこが表玄関。

中に入ると、窓越しに見える庭と、飾られた美術品に、目を奪われますが、まずはお料理。注文したのは、ランチメニューの「なまず天ぷら御膳」

 

なまずの卵の煮付けの「小鉢」。なまずの切り身の「天ぷら」。そして、中落ちや骨、頭、肝を包丁で叩き、味噌で味付けしたツミレを丸めて揚げた「たたき揚げ」。つみれ団子入りの「汁椀」。「ご飯」。「香物」。「デザート」

以上、なまずづくしの2100円です。なまずは淡白で、白身魚に似ていますが、もっとふわっとした食感でした。

初めてのなまず料理に満足した後は、店内見学。

壁に飾られているのは、谷文晁の「なまず絵」

この他、各部屋、廊下、ホールの壁には、所狭しと、美術品がいっぱい。

また、雪見灯籠や赤玉石を当時のまま残しているという庭園も、格調高く、心地良い佇まいを見せています。

江戸時代初期の創業というこの店には、歴史上の人物も大勢やって来たそうで、近藤勇や板垣退助、勝海舟などが名を連ねています。

そして勝海舟も愛用したという沓脱石ならぬ「草履脱ぎ石」も、そのまま置かれています。多くの人に使われ、すり減って、へこんでいる石の姿にも、歴史が感じられるのでした。