日本庭園こぼれ話

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苔寺(西芳寺)庭園訪問記・・・京都市(改編)

2022-10-16 | 日本庭園

ある年の10月下旬、西芳寺を拝観しました。京都の洛西郊外に位置する西芳寺は、通称「苔寺」として、数え切れないほど名園のある京都においても、有数の名園として知られています。

寺伝には、聖徳太子が別業を営まれ、その地に行基菩薩が開山とある古刹。その後、荒廃していた寺を、1339年(南北朝時代)に、松尾大社の宮司が、名僧・夢窓疎石(むそうそせき)を招き、復興に尽力したということです。

夢窓疎石は作庭の名手でもあり、その際に造った庭園が、今ある庭園の原型になっています。

以前は観光名所として、大勢の拝観者が大挙して押し寄せたものでしたが、現在は事前の申し込みが必要となり、3,000円の拝観料を納め、写経をした後に、庭園の拝観ということになっています。

この日は、午後1時からの拝観許可をいただき、西芳寺の門前に集合。40~50人の拝観者が集まりましたが、日本人に混じって、欧米人の方々が非常に多いことに驚かされました。

本堂に入ると、小机がずらーっと並んでいて、早速、「般若心経」の写経を始めます。(小筆を持参するようにと、ハガキに書いてありましたが、各机に用意されていました)

 実際には、薄く書かれた文字をなぞる、という方法ですが、それでも、これだけの文字をなぞるのは、かなり大変でした。

写経の途中で、ご住職の説法と、般若心経の唱和があり、再び写経。ひたすらお経の文字をなぞっていきます。外国人の方々が、一生懸命書いている姿に感心。

この間、40~50分でしょうか。書き終えた人から順に庭園に出ます。(写経は、ご本尊に奉納し、永久保存されるそうです。また、書き終えられない人は、途中まででも良いし、持ち帰り、郵送して奉納することも可能です。)

そして庭園へ・・・

庭園の面積は、約3万平方メートル(9千坪)。上下二段の構成で、上段は枯山水、下段は池泉回遊式庭園になっていますが、庭園の大部分はこの池泉回遊式部分で、さらに、その大部分が「黄金池」と呼ばれる「心字池」(汀線が入り組み「心」の字に似ているため、この名称が付けられたとのこと)で占められています。

 

 

園路に沿って池を巡れば、歩を進めるに従い、複雑な汀線により、変化に富んだ景色が次々に展開します。

 

 

池には、大小の島々が浮かび、それもまた魅力的な光景を生み出しています。

実は、夢窓疎石が造った庭園に、苔はありませんでした。しかし庭園全体を覆う緑の苔が、この庭園に他に例を見ない、荘厳な雰囲気を醸し出しています。苔の種類は、約120種とか。京都の風土によって創出された「造化の妙」と言えるのではないでしょうか。

 

築造当時の姿は、ほとんど失われていると言われていますが、苔の絨毯の中に点在する石群が、当時を彷彿させます。

 

 池を一周し、北側の石段を上ると、開山堂・指東庵に隣接して、豪壮な石組が目に飛び込んできます。夢窓疎石作による「洪隠山枯山水石組」で、禅院枯山水の最も古い形と言われている石組。圧倒的な迫力です。

 

 

* 事前の申込み、その他、拝観の際の注意事項などは、公式HPなどをご参照ください。

 

 

 

 

 

 

 


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