日本庭園こぼれ話

日本の歴史的庭園、街道、町並み。思いつくままに
Random Talks about Japanese Gardens

見どころいっぱいの聖なる小島・江の島

2013-07-18 | 散策

神奈川県の相模湾に浮かぶ小さな島、江の島。江の島といえば、弁天様が有名で、安芸の厳島弁財天、琵琶湖の竹生島の弁財天と並んで、日本三弁財天のひとつに数えられています。

アクセスに一番近い駅は、小田急江ノ島線の「片瀬江ノ島駅」。竜宮城をイメージしたような駅舎を出ると、江の島はすぐ目の前。全長600メートル余りの弁天橋が、島へのアプローチです。

江の島は島全体が、門前町といった感じ。島の入り口から、参道が続き、その細い道の両側に、ぎっしりと土産物店や食堂が建ち並んでいます。

少し歩くと、赤い鳥居の向こうに、辺津宮(へつみや)。浦島太郎の絵本に出て来る竜宮城の門のような建物が印象的です。

島内には三つの宮=「辺津宮」「中津宮」「奥津宮」があり、これらを総称して「江島神社」と呼ばれています。

江の島縁起は、「昔、この辺りに悪龍がいて、人々に災いをもたらしていたところ、6世紀半ば、欽明天皇の時代に、大地の震動とともに、海上に島が出現し、そこに天女が降り立ち、龍に教えを説いて悪いことをやめさせた。以来、江島明神として祀られるようになった」と、弁天信仰の起源を伝えています。

しかし、史実としての江の島信仰が確立されるのは、鎌倉時代のこととか。

辺津宮境内にある「福石」にまつわる話を一つ・・・。

江戸時代に鍼灸を学んでいた杉山和一は、その上達を願い、弁財天に祈願していたところ、ここで大きな石につまづき、転んで気を失ってしまった。その時、弁財天が現れ、気がついた後、竹筒に松葉が入ったものを拾い、そのことから「管鍼術」を考案し、五代将軍綱吉の病を治療して、関東総検校の地位にまで昇ったというもの。

以来、ここで物を拾うと幸運が授かると伝えられ、つまづいた石は「福石」と呼ばれるようになったそうです。

さて、頂上まで続く神社の参拝には、たくさんの石段を登らなくてはなりません。そこで「エーッ!」という人のためには、エスカレーターも設置されています。

頂上には植物園と、灯台を兼ねた展望台があります。(下の写真は、ヨットハーバーの眺め)

 

江の島は、海岸の方から眺めると、円盤のような形に見えますが、実際は、真ん中がくびれた瓢箪形をしています。植物園から先は、そのくびれた部分に当たり、絶壁が両側から迫る地形は「山二つ」と呼ばれています。

その原初的で、荒々しい風景は、ここまでの江の島のイメージを一変させるかのようで、カラフルだった風景も、セピア調に変わり、何となく、安らぎさえ覚えます。

その先にあるのが奥津宮で、そこを過ぎると、道は海岸へと下って行きます。

海岸は、千畳敷のように平らな岩盤が広がる海食台地。背後は絶壁で、そこに波の浸食でできた洞窟があります。

この洞窟は「龍の棲み家」とも言われ、江の島信仰のルーツは、ここに始まったとされています。弘法大師など多くの行者がこの洞窟に籠って修行し、源頼朝が戦勝祈願に訪れたとも。

「お岩屋」と呼ばれていたその洞窟は、落石事故のため昭和46年以来閉鎖されていましたが、平成5年に再整備され、公開されています。第一岩屋(奥行152m)と第二岩屋(奥行56m)から成り、霊場であった当時の様子がギャラリーで紹介されています。

 

 

 

 

 

 

 

    

第一岩屋の突き当たりには柵がしてありますが、行き止まりではなく、まだ先にも続いていそうな雰囲気。向こうからは、かすかに風が吹いてくるような・・・。実は、この洞窟は、富士山に通じていると言い伝えられているのです。

第二岩屋の方は、入った途端、ガォーッ、ガォーッという獣の叫び声のようなものが聞こえて来ます。不気味さを感じながら奥に進むと、最奥部には、稲妻に照らされた龍が!

 

約3時間の江の島散策。この小さな島は、今では俗っぽい様々なものもいっぱいですが、聖なる島の面影は、決してそれに負けてはいません。それは江の島が、弁財天という艶っぽいイメージの神の島だからかもしれません。

弁天橋から岩屋までは、遊覧船もあり、晴れていれば、相模湾に浮かぶ富士山が見えるはず。


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2 コメント

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江の島 (iina)
2014-02-04 11:04:00
短時間で、よく廻られて調べられていますね。
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江の島 (jun)
2014-02-09 13:41:11
iinaさん、コメントをありがとうございました。最近は時間がなくて、ブログの間隔があいているので、コメントに気づくのが遅れ、お礼が遅くなってしまいました。
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