日本庭園こぼれ話

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日本庭園の中の「見立て」・・・①鶴と亀

2017-07-13 | 日本庭園

「見立て」とは、辞書を引くと「なぞらえる」とか「あるものを、それと似た別のもので示す」とあります。本来は、和歌や歌舞伎などに用いられる言葉らしいのですが、日本庭園を眺めると、この「見立て」の手法が、庭園の構成になくてはならないものだと実感します。

庭園の「見立て」の要素の中で、最も多いのは、須弥山や蓬莱山などの聖地ですが、それについては後述するとして、ここでは鶴と亀をご紹介します。

「鶴は千年、亀は万年」と言うように、鶴亀は長寿のシンボルですから、縁起物として、庭に取り込まれたことは想像に難くありません。

上の写真は、「竹林寺庭園」(高知市)の「亀島」。築山全体が、亀の背中を表し、池の水面に接して、亀頭石や手足を表す石組みが組まれています。

下の写真は、鹿児島県知覧にある庭園群の1つ「西郷恵一郎氏庭園」にある鶴亀の石組。

中央に高く聳える石組が「鶴」、その足元に低く組まれた石が「亀」を表しています。

一見、鶴と亀が逆のように見えるのが「芬陀院庭園」(京都)の石組で、向かって右が「亀島」、左が「鶴島」なのだそうです。(下の写真)

この庭園の「鶴」は、折鶴を表しているとのこと。

折鶴を表現した「鶴島」は、湖東三山の1つ「西明寺」(滋賀県)の庭園にも見られます。下の写真の右端手前の石組です。そして、左手にあるのが「亀島」です

松で有名な「栗林公園」(香川県)に見られるのは、亀の形に組んだ石組の上に、鶴が舞う姿を松で表現した「鶴亀」です。(下の写真)

また、「清澄庭園」(東京)の池に浮かぶのは、「鶴島」。そして、「小石川後楽園」(東京)にあるのは、島全体が、亀が蓬莱島を背負っている様子を表したという壮大な構想の「亀島」です。

(上:清澄庭園の鶴島、下:小石川後楽園の亀島)

庭園には、この他にも、様々な姿の鶴と亀がいます。機会がありましたら、是非、眺めてみてください。


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