「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

エル・ゴラ誌スタッフのツィート事件と2~3のテレビ番組に思う

2013年01月07日 19時35分27秒 | スポーツ

サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」のデザイナーをしている人がツイッターで「もうヨーロッパに日本人選手はいらないし、不快だ」などと発信していた件について、エル・ゴラ紙がどういう対応をとるのか関心を持っていた。

この発言、どこにでもある辛辣なサッカーフリークの発言だが、エル・ゴラ紙のデザイナーという看板を背負ってしまうと、当然問題にされる。

当の本人は、そのことをまだ理解できないレベルだったのだろうか? あるいは看板を背負っていても、あまり気にしないタイプだったのだろうか?  はたまた、よく、仕事に忙殺されたり失敗して怒られたりすると、ムシャクシャして会社を貶めるような行動に走る人がいるが、そのケースだったのだろうか? いずれ、そのあたりの情報も漏れてくるだろう。

で、私が関心をもっていたエル・ゴラ紙の対応だが、サッカーファンの皆様、及び関係者の皆様に対して極めて不適切なものであったことを深くお詫びいたしますとした上で、本人には厳しく注意し、今後ツイッターなどWeb上での発言は自粛するという。

まぁ、これはマイナーメディアの対応なので、エル・ゴラ紙は自ら「まだマイナーレベルです」と発信しているのと同じだ。

エル・ゴラ紙は、新聞タイプの唯一のサッカー専門誌なので、当サッカー文化フォーラムでも、とびとびにバックナンバーを保存している。この新聞はコアなファンに支えられているタイプの媒体だと思うので、別に営業的には大きな影響を受けないのではないか。

今回の対応も、そのような「影響の大小」を勘案して決められたように思える。

このように人も会社も「事件・事故が起きた時」、そのレベルが対外的にばれてしまうもので、はからずもエル・ゴラ紙がそうなってしまった。

ところで、そのツイッターで「不快だ」とこき下ろされたうちの一人、インテルの長友選手のことを、6日のフジテレビ21時からの「Mr.サンデー拡大版」が取り上げていた。

「ニッポンの底力スペシャル」というサブタイトルで、日本の素晴らしさ、日本人の素晴らしさを見直して、もっと自信をもってやっていこうよ、というメッセージの番組だろうと思う。

長友選手は、彼の地イタリアで「お辞儀を広めたジョカトーレ」であり、いまホームタウン・ミラノでは「日本といえばお辞儀」というほどのブームになっていると紹介している。

なんでも、以前「お辞儀」は、日本人を侮蔑的に表現する時の動作だったようだが、長友によって「お辞儀とは相手に感謝し敬意を払う日本人の心、特に武士道の心からきている素晴らしい動作なのだ」と理解されるようになったというのだ。

テレビでは「お辞儀とは、武士が、あなたに敵意はありませんよという意思を示すために、敵ならば切り落とされかねない『頭』を差し出すように下げるところからきている」という説明までついていた。

この番組をみていて思ったことがある。

1995年~1996年頃、来日したアーセン・ベンゲルやドゥンガなどが次々と単行本を出した。その前から日本でブレーしていたジーコも同様に単行本で語っている。

それらを読んで、世界のサッカー関係者は、単にサッカー論を語るのではなく「サッカーというものが、その国のもつ文化、精神を色濃く反映するものなので、異なる国でサッカーの仕事に就く場合には、その国の文化、国民性・精神といったことを理解することが不可欠だ」と口を揃えることに強い印象を受けた。

その後、私がサッカーのことを話したり書いたりする際には、これらの教えが常に念頭にある。

そして時は流れ、いま長友選手の話だ。日本のトップクラスの選手たちが徐々に海外での経験を積み、はじめは自然に自分を出すことに慣れていなかったところからスタートしたが、今は、彼のように自然に自分を出すことができるようなところまで来た。

日本人の持っている特質は、海外からも敬意を持って受け入れられるものなのだ。チームに対するあくなき貢献、それでいて決して奢らないふるまい、それがチームメイトからますます信頼を深め、いい形で進化していく。

「日本人は、なぜ、もっと日本の持つ素晴らしい文化、日本人が持つ素晴らしい特性に自信をもって、積極的に発信し行動していこうとしないのか、不思議で仕方がない。自分たちに自信をもってサッカーにも取り組みさえすれば、必ず日本サッカーにも素晴らしい未来が待っている」

かつて、そう予言していたベンゲルやドゥンガ、ジーコたち。まさしく、そのとおりになった。

そして、いま「ニッポンの底力」を表す一例としてジャパンフットボウラーが、テレビを見ている多くの日本人に紹介されている。誇らしい限りだ。

「もうヨーロッパに日本人選手はいらないし、不快だ」などと発信していたツイッター氏にはなかなか理解してもらえないかも知れないが、せめてエル・ゴラ社内で「サッカーというものが、その国のもつ文化、精神を色濃く反映するものなのだ」ということについて、どう思うか議論してもらえればと願う。

ところで、この一つ前のブログで、ビデオテープ映像のHDD取り込みで1982~1983シーズンのブンデスリーガ、奥寺康彦選手が活躍したベルダーブレーメンの試合のことを紹介したが、実は奥寺康彦選手も、当時ドイツで、日本人のメンタリティを持った素晴らしい選手と評価されていた。

献身的なチームへの貢献、奢らない謙虚な人間性などサッカー選手としての能力の高さだけでなく、日本人の素晴らしさへの称賛につながる評価だった。すでに30年前にして、そういう日本人選手を私たちは財産として持っていることを付け加えたい。

そのような切り口で紹介してくれるのかどうか不明だが、NHK-BSで「欧州サッカーの日本人先駆者・奥寺康彦選手の挑戦」という番組を11日(金)23時から放送してくれるという。

いまはサッカーの試合解説に登場することも少なくなった奥寺さんなので、現役当時のことをあまりご存じない方はぜひ見て欲しい。奥寺さんの活躍が日本人への敬意、日本文化への理解の深まりにも貢献したというあたりについても、誇張する必要はないが多少なりともわかる内容だといい。放送後、紹介できればと思う。

最後に正月のサッカー特番の話題を一つ。

BS民放5局共同制作の番組「STEP FORWARD~前進、その先 へ~: 世界の頂点へ~サッカー日本代表の軌跡~」という放送があった。

その名のとおり、BS民放の各社が、自分たちの番組編成で都合のいい日に再放送するので、いまだに同じ番組がBSの番組表に時々出てくる。

6日(日)は、BS-TBSで16時からの放送だったので「ながらテレビ」した。番組は2時間たっぷりのドキュメンタリータッチで、日本代表の節目となった試合・出来事などを、キーマンとなった選手へのインタビューを交えて見せてくれる。

番組は、1992年ハンス・オフト監督を迎えた日本代表が、アジアカップ広島大会で優勝、翌年の「ドーハの悲劇」へと続く時期から始まる。語り部は、闘将・柱谷哲二氏、ゴン中山こと中山雅史氏だ。あとに登場する宮本恒靖氏、遠藤保仁選手、長谷部誠選手も「あの時、わたしは・・・・」という形でインタビューに答える。遠藤保仁選手は全体を通してまんべんなくインタビューを受けていたように感じた。

そして1997年ジョホールバルの歓喜へと続き、1998年W杯初出場・フランスでの闘いへ。このへんの語り部はゴン中山氏、

次いで、トルシエ就任から2002年日韓W杯へ。さらにジーコ就任、2004年アジアカップ重慶大会、ドイツ大会での敗北へ。こりあたりの語り部は宮本恒靖氏、

さらにはオシム就任、オシム病魔後の岡田監督、2010年南アフリカW杯でのグループリーグ突破、遠藤保仁選手と長谷部誠選手へのインタビューが続く。

そして最終章、「日本代表の課題は?」と問われ、柱谷哲二氏は明快に「個です、個の力で得点力をあげること」と答えた。

柱谷哲二氏が「ワクワクするような選手」と評した香川真司選手、そしてサッカージャーナリストの多くが、日本人ナンバーワン選手と評価している本田圭祐選手、さらにはインテルで3年間の契約延長を果たした長友選手。

南アフリカ大会で足りなかった「個の力で得点力をあげる」課題が克服できそうな選手たちだ。

この番組のことを紹介したのは、日本代表の軌跡を辿る時に、歴史のどの部分を切り取るかに注目しているからだ。

この番組の場合、日本代表の出発点は1992年だ。わたしもそれが自然だと思う。これから先は、出発点は1992年もしくは1993年がスタート地点として定着していくと思う。

なぜ、そんなことを書いたかというと、どこから物語を始めるかということを結構議論すると思うからだ。ちょっと前の時代であれば、1985年のメキシコW杯アジア予選での木村和司選手の伝説のフリーキックあたりからスタートしていた。

このタイプの番組は、だいたい新年特番で、ここ10年以上、何回か、どの局かは別にして放送されている。私は、それらを並べてみたいと思っている。

テレビ局の切り口の違いもあるだろうし、時間の経過とともに埋没していった出来事もあると思う。またキーマンとして登場した選手の変化も見たい。いろいろな楽しみがある作業だ。

いずれ、その時は、このブログでも紹介したい。

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