「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

安藤隆人さんの講演を聞いてきました

2012年05月16日 17時56分59秒 | インポート

静岡県沼津市に本社を置くスルガ銀行さんは、都内・六本木ミッドダウンの中に、d-laboというオフィスを持っている。この点については、後日、あらためて紹介するが、そこでサッカージャーナリストの安藤隆人さんの講演が行われたので聴いてきた。

ご存じのように、いまをときめく香川真司選手、本田圭祐選手、岡崎慎二選手、細貝萌選手、内田篤人選手らをユース時代からずっとウォッチし続けていて、業界やサッカーファンの間では「ユース博士」と呼ばれている方だ。このブログの「4月9日(月)の新着情報」欄で、この方の著書「走り続ける才能たち」を書評のような形で紹介しているので、ぜひ、そちらもお読みいただきたい。

そのように紹介していたこともあって、直接お会いしたいと思い聴きにいったのだが、とてもいい講演会だった。

はじめのうちは、ご自分で話されていたが、途中から会場からの質問に答える形式にされ、それでまた話が盛り上がり、いろいろ多岐にわたる話しとなった。以下、その内容をかいつまんでご紹介しながら、当方のコメントもつけてみた。

会場からの質問  安藤さんが「この選手は外してしまったな(つまり、ユース時代)にはまったくノーマークだったのに、その後、大ブレイクしている)」と思う選手は?

答え  (即答で)長友佑都です、東福岡時代に見にいっていて、あり得ないトラップミスとかしていた。あれほどになるとは思わなかったという意味では見抜けなかった。

長谷部誠もそう。代表でキャプテンを務めるほどの選手になっている。

私からのコメント(別に会場でコメントしたということではなく、あくまで、このブログでのコメント)

そういうタイプの選手がトップクラスの中で必ず、何割かを占めるものだとかんがえるのが正しいと思います。高校・ユース時代に、すべての選手の将来像を見抜くことなんてできません。本人ですら、あの時の実力からいって、いまこうなっていることなど、明確に予見できた選手など一人もいないと思います。

高校時代、300人いる部員の中の100番目の選手が日本代表クラスまで駆け上がるのは絶対無理(安藤さんも講演の中で、自分が将来プロ選手になれるかどうか迷っている選手から相談を受ければ、そういう基準で将来を考えてみたら、とアドバイスしていたように)だけれど、すでに高校時代、全国選手権でもある程度戦えるようなチームの中で、レギュラーを張っていたレベルの選手であれば、その後の伸びしろや、本人が大人になっていく過程で目標に向かう気持ちの強さが、より強くなっていく、いわば少年から大人になる脱皮の過程での個人差があるもので、高校時代にはそこまで現われていない資質だったと理解すべきです。

だから、常に日本代表メンバーの中の何人かは、高校・ユース年代の日本代表に選ばれていなかった選手が含まれるのが現実です。

安藤さん、別に見抜けなかったなどと考えなくていいのです。質問された方にも、そういうものだと判っていただければいいなと思います。

会場からの質問(これは私も質問しようと手をあげた項目) 安藤さんが「この選手は将来、大物になる」と見込んでいる現在の高校世代の選手は?

答え  企業秘密なので言いたくないけれど。そういう選手は「○○ノート」というのを作って、ずっと記録している。しょうがないなぁ。(と、ためらいつつ)

大津高校(熊本)のセンターバック 植田(直道)、テコンドー出身でサッカーを始めてから、まだ幾らもたっていない。テコンドー出身者らしく「相手をつぶすことに無上の喜びを感じる」と言っている。

神戸ユースの岩波拓也、いま(オランダ)からオファーもらって練習に参加しているけど、彼は、足元はうまいフリーキックも蹴れるでセンス抜群。これでオランダで対人能力をつければ、代表のセンターバックを、植田と組んで任せられそう。

サンフレッチェユースの野津田岳人、足腰が強くボディバランスがいい。同じサンフレッチェユースの川辺駿

三菱養和の一年生にも一人いる。名前はまだ伏せるけれど。

会場からの質問  成功をつかむ選手を育てる良い指導者とは?

答え ユースの指導はロングタームでやるべきだ。アヤックスとかフェイエノールトなんか、50過ぎのおじさんが、のっしのっしと出てきて若いコーチにいろいろ指示を出している。もう何十年もやっている。Jリーグのユース指導者は2~3年で替わってしまうところが多い。トップチームに上がる前の腰かけのような感じだ。

そんな中、サンフレッチェユースの森山佳郎監督などは素晴らしい。マリノスユースの松橋力蔵監督などもいい。

講演を聴いての感想

安藤さんと、3月初旬に聞いた森雅史さん、驚くほど似ている。顔かたちとかではなく、人柄ということだろう。オープンで誠実、明るいキャラ

会場でも質問が出たように「どうすればサッカージャーナリストになれますか」と問う人は多いが、そういう人は、まず自分を振り返り、生来の資質として、そうした魅力的な人柄に恵まれていないと思ったら、これからでも遅くない、「自分を磨きなさい」と言ってあげなければ。サッカー選手を見ていてもわかるでしょう。一流の領域に達する選手は、自分を磨いてマスコミ対応だってファン対応だって一流でしょう。自分が変わらなければ、この先ジャーナリストへの道は開けないと思わなければ。今日の安藤さんを見ていても、つくづく、そう感じる。

ここまでこれた要因は? と問われ「ここまでこれたと言っても、まだジャーナリストとして駆けだしだと思っているし、自分の目指すものもある。それまでの道のりはまだ長いけれど、曲がりなりにもここまでこれたのは、自分に正直に、自分を偽らずにやってきたからではないかと思う」と話した。

ご本人の許しを得ていないので、プライベートなことなるべく伏せるが、会社勤めを辞め東京に出てくるにあたり、実に多くのことを故郷においてきたという。本人は笑い飛ばす感じで話しているがディープな話しだった。

辞める決心をつけるまで1年以上悩んだという。その結果、最後は自分に正直になって決断したという。東京に出てくるのに、最後はホームレス生活になることも覚悟して大きめのテントも用意したもという。それぐらいの覚悟で転身したのだ。

ある質問者が「私はサッカーには興味がないけれど、「夢を叶える力」という主題で話すということで、何か誰も知らないことを知っているのではないかと思う。それを聞かせて欲しい」という質問をした。

鼻もちならない、視野の狭い人間特有の質問だ。こういう人に限って大会社のサラリーマンだったりする。自然と「上から目線」の質問をしていることに、自分は気づいていない。

まぁ、こういう人は、これからもサッカーの世界が持つ魅力をわからないまま人生を終えるだろう。土台、サッカーの世界の魅力にとりつかれれば、そういう質問の発想が湧かない。

サッカーの世界が、地球上のありとあらゆる事象、政治であったり経済、社会、文化、宗教、芸術はては戦争までも含めた全てと繋がっている世界だということを知る。だから、なおさらサッカーの世界が面白くなる。そう教えてやろうとしても、知ろうとしない人間には無駄なことだ。

講演の部屋は多少暑かった。安藤さんは半そでだったが、それでもしきりに汗をぬぐって一生懸命話してくれた。主催者が「講演が終わったらサイン会をやるので、ぜひ立寄って欲しい」と話すと、安藤さんも「サイン会にたった3人ぐらいしか来なかったとなると、一生の汚点になるので、どうかもう少し来てくださるようお願いします」と繰り返していた。

当然、私も行ったがサイン会は列をなしていた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 京川舞選手、下を向かないで | トップ | 5月15日、Jリーグ20年目... »

コメントを投稿

インポート」カテゴリの最新記事