「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

育成年代の指導者を育成するプログラム、協会の答えが欲しいです。

2017年08月20日 12時57分42秒 | サッカー選手応援
今月中旬、毎年恒例の「SBS杯国際ユースサッカー」が行われました。何年も前からスカパーさんが必ず放送してくれているので楽しみにしていましたが、今年はJリーグがDAZNに契約替えしたこともあり、スカパーのチャンネル契約を最低限に絞ってしまい、見ないでいました。

数日前、ネットで、そのSBS杯に出場していたU-18日本代表が、地元代表のU-18静岡選抜にも負けて2連敗、最終戦に勝利したものの、4チーム中3位に終わったというニュースを知りました。

今年のU-18日本代表は2年後のU-20W杯をめざすチームで、本格始動して間もないみたいですが、何よりも静岡選抜に敗れたという結果は、言い訳できないものです。

レポート記事を書いた浅田真樹さん(2017.08.17「戦う姿勢が見えないU-18日本代表。U-20W杯の連続出場が危うい」webスポルティーバ)は、こう指摘しています。

「日本選手の倍はあろうかというほど、選手の体に厚みがあるチリを相手に、スコア以上の内容で圧倒された初戦を経て、迎えた第2戦。フィジカル的には互角以上に戦えるはずの静岡ユースを相手にしてもなお、戦う姿勢に火がつくことはなかった。

 それどころか、サッカー王国・静岡のプライドから「日本代表とはいえ、同年代の相手には負けられない」という静岡ユースの気迫が上回っているようにさえ見えた。」

そして、そのことについての影山監督のコメントを紹介したあと、次のように指摘しています。「結果的に、最終戦でようやく目を覚ました選手たちは、体格で日本を上回るチェコを下すことができた。これはこれでひとつの成果ではある。

 だが、これが今後彼らが出場するであろうU-20W杯、あるいは東京五輪のグループリーグなら、2敗した時点でゲームオーバー。目を覚ますチャンスが2度もありながら、みすみす逃し、3度目でようやく火がついたのでは、遅きに失する可能性は十分にあるのだ。」

最後は、願望と期待を込めて、こう締めくくっていました。
「彼らはまだ18歳以下の選手たちであり、いまだ成長途上。経験を重ねることで覚えていくこともたくさんある。すでにトップチームでリーグ戦に出場している選手が少なくないチリなどと比べれば、あらゆる意味で経験不足は仕方がないことでもある。

 とはいえ、世界との差を少しでも埋めるべく成長スピードを上げていくには、2度の失敗で気づくところを1度の失敗で気づくようにし、1度の失敗で気づくところを失敗する前に気づくようにしていかなければならないのだ。

 それを考えれば、彼らに拍子抜けするほどの物足りなさがあったことは否めない。

 前途多難――。今大会のU-18日本代表を、厳しいようだが、あとは上がっていくだけという期待も込め、そんな表現で総括しておきたい。」

この記事を読んだ流れで関連コラムのタイトルを追っていきましたら、やはり同じwebスポルティーバが、5月の時点で中山淳さんのレポートによる「U-20W杯に思う。今こそ日本サッカーは「育成指導者」の育成が必要」(5/21(日)配信)
というコラムをリリースしていました。

タイトルを見ただけで同感でしたので、紹介しながら、我が「サッカー文化フォーラム」は、「これに対して協会はどう答えるのか、いや、どういうプログラムを考えているんですか?」と問い質したいと思います。

コラムでは、まず「育成先進国のヨーロッパでは、この世代を育成年代とは捉えられていない。育成は18歳までに終え、19歳以降は年齢に関係なく、一人前の選手としてプロの競争社会にさらされる環境がある。

優秀な選手なら、17、18歳のうちにクラブでトップデビューを飾り、チャンピオンズリーグの舞台に立つ選手もざらにいる。10代の有望選手の移籍に、ビッグクラブが数十億円という大枚をはたくことも珍しくなくなっているのが、近年の傾向だ。」と指摘しています。

「それに対して、日本およびアジア諸国では、いまだに五輪に出場するU-23のカテゴリーまでが育成年代と考えられている。昨年からJ3にJクラブのU-23チームを参戦させ、若手の成長を促しはじめたばかりというのが実情だ。(中略)

「残念ながら、日本の選手にとってはU-20W杯が経験を積むための最高の舞台であり、そこにあらためて育成面における世界との差を痛感させられる。」というわけです。

そして、次のように提言しています。
「では、日本はその差を埋めるために何をすべきなのか? その答えは、やはり世界各国にコピーされているフランスの育成システムがヒントになる。中でも、育成におけるフランスと日本との決定的な違いとなっているのは、「育成専門指導者」の育成だ。(中略)

フランスが、ヨーロッパの移籍マーケットで注目される若手選手を毎年のように輩出できるのは、「ダイヤの原石」の質と量はもちろん、彼らを育てる有能な指導者が数多く存在しているからに他ならない。これは卵が先か、にわとりが先かの話ではない。いくらいい畑や種があっても、優秀な農家がいなければ良質な作物は育たない、という論理だ。

かつて日本サッカー界も、現在のフランスの育成システムの基礎を作り上げたクロード・デュソー氏を招き、若年層からエリートを養成すべくJFAアカデミーを作った。しかし残念ながら、当時は選手の育成だけにスポットを当ててしまい、肝心の育成指導者のプログラムを取り入れるには至らなかった。

当時、もし日本がフランスから優秀なフォルマトゥールを招へいするなどして、指導者育成のメソッドを取り入れていたら、現在の深刻な人材(選手)不足を招くことはなかったかもしれない。」

そして、アメリカや中国などがフランスに学ぼうとしている様子を紹介しながら、次のように提言を結んでいます。

「「育成の成否=年代別代表の成績」という考え方だけに捉われず、いかに優秀な若手をトップレベルの選手に育て上げるか、という視点を忘れていては、A代表の成功は永遠に叶わないだろう。

 日本サッカーが世界のトップレベルに近づくためにも、ハイレベルな育成専門指導者の養成と、彼らのステイタス確立を図る必要がある。そのための組織と環境作りは、U-20W杯で結果を残すことより重要だと思われる。」

日本にはアーセン・ベンゲル監督やフィリップ・トルシエ監督を通じてフランスと強いパイプがあることは周知の事実です。

そして、おそらくサッカー協会の上層部もフランスの育成指導者システムのことは、言われなくてもわかっているはずです。

にもかかわらず良いモノを取り入れようとしない、問題はそこにあるのです。いまの指導部は、ベンゲルさんやトルシエさんの世話にはなりたくないのです。それは何故か?です。

大人の世界というか、権力者の世界といったほうがわかりやすいのですが、そういう世界にいる人間の中には「いいものはいい」とわかっていても、別の判断基準に邪魔されて取り入れない判断をする人たちが多いのです。

だから閉鎖社会なんです。正論がまかり通らない社会というのが、権力者たちの握っている「上層部」という社会なんです。

久しぶりに「サッカー文化フォーラム」が石つぶてを投げた感じです。今日のコラムに「育成年代の指導者を育成するプログラム、協会の答えが欲しいです。」と書いたところで、答えなどかえってくるはずはありません。

答えを持っているようであれば、とうの昔にフランスの育成システムを取り入れているはずなんです。ベンゲルさんやトルシエさんがいた頃に・・・。

JFAが2005年に発表した、いわゆる「2005年宣言」では、「JFA2015年の約束」として、「日本代表チームは2015年、世界のトップ10のチーム」になると目標を立てていました。

それは2015年に策定された次の中期計画で「2030年までの目標」として「日本代表はW杯に出場し続け2030年までにベスト4に入る」という形に置き換えられています。

2005年には、翌年のジーコ監督指揮によるW杯ドイツ大会惨敗もまだ見ていない時期でしたから、多くのサッカーファンが夢を持てるプランだと感じました。

しかし、アジアのレベルが、じわじわと上がってくる中で、本大会出場常連国の地位さえも揺るぎ始めている今日、よほど長期的、抜本的な対策が講じられない限り、世界のベスト4は難しいと感じ始めています。

今回の「育成指導者」の育成についての提言は、もはや過去のしがらみやメンツにこだわっている時期ではないことに強い警鐘を鳴らしています。

何が取り組みを妨げているのか、取り組みの障害になっている元凶はどこにあるのか、誰なのか、そういった視点で問い質さないと、実は先が見えてこない問題だと指摘しておきます。

さぁ、天下分け目の豪州戦まで、あと10日ッスよ。プレミア・レスターの岡崎慎司選手は2戦連発だそうで、キレッキレみたいです。あとはDF陣ですよね。吉田麻也選手は試合終了間際に自分が相手ペナルティーエリアにいてPKをゲットしたといいますから大丈夫みたいです。

もう一人にあげている昌司源選手も昨日の清水戦を無失点に乗り切り落ち着いているでしょう。
これで、ハリル監督も選手選考を終えたでしょうから、選手たちも天命を待つ気分でいると思います。

海外組には今日試合がある選手も多いので、明日再度点検したいと思います。
では、また。


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