中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,127話 主体的な人が求められているわけ

2022年08月03日 | 仕事

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「積極的に、前向きに、主体的に取り組んできたことがよかったのだと思います」

これは、つい先日お会いした、ある製造業に勤める女性(Aさん)から聞いた言葉です。

Aさんは34年前に高校を卒業後、新卒として製造業であるB社に入社したとのことです。入社後何度か異動し、その都度主体的に精一杯働くことでキャリアを重ねてこられ、現在は総務部で育成と採用の仕事をされています。

Aさんは入社後の自身のキャリアを、次のように話してくれました。

「はじめは営業管理部に配属されました。そこでは、自社の製品を覚えることができたのです。また、電話を積極的に取っていたら、どういう会社と取引しているのかを知ることもできるようになり、次第に相手の声を聴いただけで、どのお客様からの電話で、どういう用件でかけてきたのかがわかるようになりました。次は生産管理に行きました。そこでは、生産を管理するのですから、一気に製造業の理解が深まりましたね。その次は製造部門でした。男性ほどには重いものを持ち上げることはできませんでしたが、プレス加工の現場に女性として入りました。面白かったです。でも、製造部門にいるときにリーマンショックがきてしまい、会社は人員の整理もすることになりました。その次に起きたのは東日本大震災でした。そのときは、初めての夜勤もしました。大変でした。そうしているうちに、今度はインドネシアからも実習生がやってくるようになりました。何とか彼らとコミュニケーションをとりたくて、インドネシア語の会話集を購入して勉強したら、ようやく挨拶ができるようになり、少しずつコミュニケーションもとれるようになりました。その後、帰国してしまっても次の実習生がまたやってきて、前に来ていた人からの手紙を言付かってきてくれたりしたため、元気にやっている様子がわかりました。そして、18年前から総務部で仕事をしています。それまでの経験を買ってもらえたようで、声がかかったのです。現在は採用や育成をしていますが、とても楽しいですし、幸せです」とのことでした。

これがAさんの34年間のキャリアですが、この話をした後に「積極的に、前向きに、主体的に取り組んできたことがよかったのだと思います」と、生き生きとした表情で語ってくれました。

「主体的」という言葉、これは企業の経営者が新卒を採用する際に、切に願うキーワードではないでしょうか。2018年度まで毎年日本生産性本部が実施していた「経営者が大卒新人を採用時に重視すること」で、10年連続で主体性が2位にはいっていました(因みに1位は16年連続でコミュニケーション能力でした)。

この「主体性」については、様々な企業の経営理念や求める人材像に取り上げられることの多いワードだと感じます。自分から率先して行動できる人材を求める、何事にも好奇心を持ち、チャレンジできる人材を求めるなど、多くの企業が主体性に関わる人材を求めていることがよくわかります。これだけ多くの企業が求めている主体性ですが、裏を返せば主体的な人はさほど多くないからこそ、重要視され求められているということなのではないかと思うのです。

実際のところ、主体的に仕事をしたり生きていくということは、口で言うほど簡単なものではないのだと思います。だからこそ、主体的な人が求められるわけですし貴ばれるのです。そして、主体的に生きてきた人だからこそ、手にできる経験やキャリアがあるのだとも思います。

Aさんの様々な部署での経験は、一朝一夕で培うことができるものばかりではなかったでしょうが、それを経たからこそ今があるわけです。

Aさんの話には続きがあります。昨年技能検定を受験し、合格をしています。さらに、今後別の科目で技能検定を受験することも視野に入れて、現在は中学の理科の教科書を読み直しているそうです。「勉強も楽しくて」と語るAさん、どこまでも前向きで主体的な人です。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。