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「はっきり言わない人との付き合い方」

2016年02月03日 | コンサルティング

 「日本の女性はニコニコとしていてスマートにしているけれど、本当のところ何を考えているのかわからないので、困る時があります。でも、この人ははっきり言ってくれてとてもわかりやすいから、付き合いやすいです」

これは先週行った研修の受講者の中国人の女性の言葉です。研修では2人1組でロールプレイングを行い、「相手の良いところを具体的に褒める」ことをしてもらったのですが、3年前に来日したこの女性は日本人(特に女性)に対する印象を「こういう感じです」とおしとやかな感じのポーズをとりながら、「顔はこういう表情です」と作り笑いをするのと同時に、はっきり言わない人との付き合いにくさも指摘していました。

外国人から見ると、我々日本人の微笑などの表情や態度は意味不明で、何を考えているかわからないという話は私自身これまでにも何度も聞いていましたが、ここまではっきり言われたことは初めてのことでした。正直に言って目が覚めるような思いがしたのと同時に、思わずそれこそ意味不明?の苦笑いをしてしまいました。

この「はっきりしない」についてのやりとりで思い出したのが、セールスの電話に対して買う気持ちが全くないのにもかかわらず、はっきり断らない、また、居留守を使う人がいるということです。

以前、私が会社員をしていた時にはそれこそ1日に何度もセールスの電話を受けましたが、社長あてにかかってきた電話を転送しようとすると、「留守だと言って」と言われたものです。

翌日同じ会社から電話が入り、再び転送しようとすると、また「留守だと言って」と言われるなど、同じことが繰り返し起きていました。

こうしたことを何度か繰り返すうちに、相手の名前を聞くと同時に「社長はただいま留守にしております」と答えていましたが、これが新人や派遣社員だと、勝手に判断してはまずいと思うからか、繰り返し社長に転送しては「出かけております」を繰り返していました。

こういうことが何度も起きる理由の一つには、「はっきり断ってしまうのは何となく相手に悪いのでは」といった相手のことを思いやり?過ぎてしまう、日本人に多いメンタリティがあるのかもしれませんが、私は当時から「買う気がないのであれば感じの悪くない言い方で、しかしはっきり断った方が相手にとっても良いのではないか」と思っていました。

また、逆に私自身が以前営業職をしていた時に、相手に居留守を使われていると気づくまでに2度3度と電話をかけてしまったことがありますが、それに気づいた時にも「それなら最初の電話の時に断ってくれれば良いのに」と思ったものでした。

確かに「こちらが頼んでもいないのに相手が勝手に電話をしてきたのだから、相手が無駄骨になっても仕方がないだろう」と言われればそれまでですが、買う気もないのにはっきり断らず相手に期待を持たせて何度も電話を繰り返させてしまうような行為は、結果として電話を受ける自社の社員の時間も無駄にしているのです。必要がないのであれば、はじめからはっきり断った方が双方にとって良いはずです。

しかし、ビジネスの現場でも未だに居留守を使うことなどが少なくない理由の1つには、たとえば多くの会社では新人研修で電話の受発信の練習はしても、セールスの電話への対応については研修はもちろんのこと職場に配属後も先輩社員などからも教えてもらう機会がないからといったこともあるのでしょう。

そのため、つい「お断りします」といったようにはっきりとした態度を示さず、逆に相手に空気を読むことを求める、冒頭の中国人の女性が言ったような「はっきりしなくてわからない」と思われてしまう暗黙のルールのようなものがいまだにビジネスの現場では使われていると思います。

しかし、今後ビジネスパーソンにはさらに仕事の効率化や時間の有効利用が求められるわけですから、はっきり態度を示すことで無駄な時間や手間をなくしていくことが大事なはずです。

それに加えて言えば、最近はニュースなどで外国人観光客の大幅な増加が報道されていますし、今後もオリンピックなどに向けて我々が外国人に接する機会がますます増えていくことは間違いありません。

これまで、日本人同士でははっきりした態度を示すと、場合によっては「空気を読まない奴」と思われることも少なくなかったですが、今後は外国人ともわかりやすいコミュニケーションをとっていくためにも、我々自身はっきりと態度を示す、はっきり言うことを少しづつ意識していくことが大切です。

「はっきり言わない人」との付き合い方に迷うことがない世の中に変えていきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

(人材育成社)


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