中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

No.813 「変なパワハラ理論」が会社をつぶす!

2019年06月09日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「部下がパワハラだと思ったら、それはパワハラになります。管理職の皆さん、気をつけましょう!」ある研修講師がこう言ったそうです。私はこの「珍解釈」に思わず吹き出してしまいました。

なぜなら「パワハラであるかどうかの判断は受けた側ができる」ということになってしまうからです。

ここで、厚生労働省のホームページから「パワーハラスメントの6類型」について引用してみましょう。

(1)身体的な攻撃
暴行・傷害
(2)精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
(3)人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
(4)過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
(5)過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(6)個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること

さて、「部下がパワハラだと思ったら、それはパワハラになります」理論?から言えば、次のようになることもあり得ます。

(1)工場などで部下が危険な場所に立ち入ろうとしたので、後ろから背中を軽くたたいて「危ないから入っちゃだめだよ!」と声をかけた。
→部下「いま、背中をたたきましたね!暴行だ!パワハラだ!」

(2)部下と一緒に客先に営業に行った際、お客様に大変失礼な言葉を使ったので、後で「失礼だぞ!お客様にあんな言葉を使うなよ!」と言った。
→部下「なんですって!?ひどい暴言だ!名誉棄損だ!パワハラだ!」

(3)昨日、部下を何人か連れて飲みに行ったら、そのときたまたまいなかった部下が翌日こう言ってきた。
→部下「昨日、私が帰ったのを見計らってみんなと飲みにいきましたね!仲間外し、人間関係からの切り離しだ!パワハラだ!」

(4)入社5年目にもなったので、成長してほしいと思ってちょっと難しい仕事を任せてみた。
→部下「なぜ遂行不可能な仕事を強制するんですか!パワハラだ!」

(5)(4)があったので、仕方なく簡単な仕事を頼んだ。
→部下「能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じましたね!パワハラだ!」

(6)正月は故郷(くに)へ帰るの?と聞いた。
→部下「私的なことに過度に立ち入ってます!パワハラだ!」

いや、いや、笑い事ではありません。理屈から言えばそうなります。

「そんな変な部下なんて、うちの会社にはいないよ」と思ったあなた、人の心の中は見えませんよ。一見まともな部下でも何かの拍子に恨みでも買ったら、あるいは完全に部下の方が誤解をしていたとしても、「今の言動、パワハラ扱いにしてやろう!」と思えばできてしまうことになります。

「その行為がパワハラであるかどうかの判断は受けた側ができる」などという戯言(たわごと)を本気で信じている管理職は、実はあまり多くはいません。まともな大人はそこまで無能ではないからです。

ただし、その戯言を隠れ蓑にして職場のマネジメントを放棄している「手抜き管理職」はたくさんいます。こちらの方が厄介です。

大企業なら業績低下で済みますが、中小企業の場合、「無能」も「手抜き」も会社をつぶします。

社長さん、くれぐれもご注意ください。

(参考)

職場のパワーハラスメントについて(厚生労働省)

注意するとパワハラだなどと言って,上司の指導を聞こうとしない。(四谷麹町法律事務所)

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ

 




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