中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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「管理職になりたいですか」

2016年05月11日 | コンサルティング

 「実施要領に明記してはいませんが、管理者登用試験にチャレンジする人を増やすことが、この研修の1番の目的です」

 最近、キャリア研修の依頼をいただき、研修担当者との打ち合わせを行うと、このようなお話を伺うことが少なくありません。

 表向きの研修の目的とは別に、本音の部分の目的があるのですが、実施要領にそのことを書くと応募者が減ってしまうので、記載することを控えるとのことです。

 女性活躍推進法を受け、今春、大手企業を中心に女性管理職が続々と誕生しています。しかし、実際のところ当の女性自身が必ずしもこの動きを歓迎している人ばかりではないようですし、女性だけでなく男性でも管理者を希望する人が減少していると言われて久しいです。

 では、その理由は一体何なのでしょうか?

 理由はいろいろあるとは思いますが、マスコミにいる知り合いは「現場から離れたくない」と言っていました。「管理職になることは事実上現場から離れること、管理職になればこそ得られる権限もあるのだろうが、現場にいることこそが自分の本命だ」とのことです。

この知り合いの場合は、前向きな理由で現場にいることを望んでいるようですが、一方、管理職になることには「業務の負担が増えることはもちろん、責任とリスクが増すだけなので全く魅力を感じない」といったマイナスのイメージを持っている人もいます。「多少給料が増えたからといって、残業手当がつかなくなれば金銭的なメリットは少ない」「管理職を勧める人は、「管理職になったからこそできる仕事がある、権限を得ればこそ仕事はこの上なく面白い」と言うけれど、下のポジションから管理職を見ていて、それほどの権限を得ているようには見えない」と言っている人もいます。

 これらの話を聞いていると、管理職になりたくないという人が決して少なくないという感想を持ちます。

 そんな中、先日、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」を見ていたら、上司を選挙で決める「株式会社OWNDAYS」のことが取り上げられていました。

 メガネ業界の「OWNDAYS」は、5年前より選挙によって管理者を決めることを行っているそうです。現社長の田中氏が社長に就任した当時、会社は倒産しかけ離職率は50%を超えてしまうなど危機的な状況であり、これを打開するためにも社員が納得するようなやり方で上司を決めることを考えたのだそうです。

 販売部門の管理職124人の中からエリアマネージャー5人を選ぶため、社員450人が一堂に会して、各候補者のスピーチを聞いてスマホで投票して決定していました。

その様子を見ると、立候補者は各々管理職としての公約を熱く語っており、一方、聞き手は熱心にそれを聞いて最終的な決断をしていました。因みに、この選挙にかかる費用は約1,200万円だそうです。

もちろん立候補した人全員が管理職になれるわけではなく、当然落選する人もいるのですが、管理職になりたい人、管理職を選ぶ人、どちらも共に主体的な取り組みだと感じました。

 すべての企業で、このような管理職の決め方を採用できるわけではないことはもちろんのことですが、前述のように管理職になりたい人が減っている中で、こうした取り組みが行われていることは非常に頼もしい感じがしました。

 私が特に印象に残ったのは、選挙後に社長が語った「今回、管理職に当選した人の中には自分が嫌いな人も入っている。私が管理職を決めたならば、その人のことは選ばなかった。だからこそ、この選挙の意味がある」という言葉です。

 管理職になりたくない人がいる一方、管理職になりたくてもなれない人がいる中で、こうした透明性のある方法での管理職を決める方法、一長一短はあるとは思いますが、1つの有効なやり方だと思うのですが、皆さんはどう思いますか。

 (人材育成社)


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