中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第924話 先に褒めるのか、後で褒めるのか

2020年05月27日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「先に褒めるのと後から褒めるのと、どちらがよいのでしょうか?」

これは、弊社が管理・監督者研修を担当させていただいた際に、必ずと言っていいほど受ける質問です。

それでは、具体的な例で見てみましょう。

A:「説得力のある説明でしたね。しかし、一文が少々長い点が気になりました。」

B:「一文が少々長い点が気になりました。しかし、説得力のある説明でした。」

あなたは、AとBどちらの表現で言われると嬉しいと感じますか。どちらも話している内容自体は同じで順番が逆なのですが、私はAの先に褒める方をお勧めしています。

Aの表現は、はじめに「説得力のある説明」という長所を相手に伝え、次に「一文が少々長いです」と改善点を伝えています。一般的に、人は相手から「承認される」ことによって相手に対しての信頼感を持つことが多いと言われています。これを「ラポールが形成される」と言います。

ラポールとは相互に信頼しあう関係のことですが、Aのようにはじめに「承認される」ことでラポールが形成されると、相手に対し信頼感を持つことができ、後で改善点を指摘されても素直に受け入れることができるのです。

一方、Bの表現はAの反対で、まず改善点を伝えてその次に長所を伝えています。信頼している人からであれば、いきなり改善点を指摘されても受け入れることもできるかもしれません。しかし、そうでなければ人によっては後で褒められたことを、慌ててフォローを付け加えられているように捉えてしまうこともあります。

実際に、管理・監督者研修の中で冒頭の質問を受けた場合、受講者全員にA・Bどちらの表現が受け入れられやすいと感じるか、印象を尋ねることがあります。そうすると、約9割の人がAの表現の方で言われた方が嬉しいと感じると答えています。

さて、新型コロナウイルス対策で導入が進められたテレワークですが、この流れの中で部下を対面で指導する機会は、今後さらに減っていくことでしょう。その分、チャットやメール、オンラインでの指導の割合が増えていくことになります。特にチャットやメールは文章として残ることになりますから、特に前述のように改善点を伝える際には、表現に工夫をすることが必要です。

改善点をいきなり伝えたり、あまりにもストレートに伝えたりすることによって、部下が指摘を素直に受け入られなかったり、やる気を失わせてしまうようなことになってしまっては意味がありません。

これが対面で行っているときであれば、表情や姿勢から相手の気持ちを確認することができますから、その後のフォローも容易です。

しかし、テレワークなどのように直接の対面が少ないと、そうしたフォローもしづらくなります。テレワークであっても、部下に伝えるべきことを躊躇せずに、しかし上手に伝えるための工夫が必要です。

部下に改善点を伝える場合には、ぜひ「褒める」ことから始めてみることをお勧めします。

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