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第906話 ステイホーム週間は本を読もう(2)

2020年04月26日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間に合わせて「お薦めの本」を紹介しています。2冊目です。

「百人一首」

 百人一首は、飛鳥時代から鎌倉時代初期までの歌人百人の和歌を一人一首ずつ集めて作られた歌集です。かるたでおなじみですね。高校の古文でも少し習いました。ただし、古文の授業については約9割の人が「苦手だった」、「寝ていた」、「記憶にない」、「理系クラスだったので最初から無かった」と言っています(狭い範囲での聞き取り調査による)。

 この本「百人一首 (講談社学術文庫) (日本語) 文庫」は逐語訳、現代語訳も優れているだけでなく、作者の紹介や鑑賞の仕方などもわかりやすく解説してあります。この本以外にもたくさんの解説書や、「ちはやふる」のような競技かるたを扱った漫画もありますから、百首の歌を知ることは非常に簡単です。

では、百首から3首を選び、好き勝手に鑑賞してみます。

 

天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ

(あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ)

 12番歌、僧正遍昭(そうじょうへんじょう)の歌です。弘仁7年(816年)生まれとありますから、かなり昔の歌ですね。僧正遍昭は六歌仙の一人です。六歌仙とは古今和歌集に記された代表的な6人の歌人です。今でいえば「神セブン」のような方です。さて、現代語訳です。

「空吹く風よ、雲の中にあるという(天に通じる)道を吹いて閉じてくれないか。(天に帰っていく)乙女たちの姿を、しばらくここに引き留めておきたいから。」

 これは天皇が主催する宴席で踊る舞姫たちを天女に見立てた歌です。要は、宴会で盛り上がった頃に、踊り子さんたちが出てきて舞っているのを見たお坊さんが「ああ、もうちょっとあの娘たちの姿をながめていたいなあ~」と妄想している様子を表しています。

 おもしろいのは、上の句の壮大さです。「天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ」、ビジュアル的には、天空を流れる雲が強い風に乗って一方向に飛び去って行くダイナミックな様です。ところがその直後の「乙女の姿しばしとどめむ」です。え?なに?自然の壮大さを讃えた歌じゃないの?しかも「乙女の姿」って、あなた僧侶ですよね? ということで、このギャップに面白さを感じます。

 

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に

(はなのいろはうつりにけりないたづらに わがみよにふるながめせしまに)

 9番歌、小野小町(おののこまち)の歌です。平安時代の女流歌人です。世界三大美女の一人としても有名です。非常に有名な歌ですからご存じの方も多いと思います。次に現代語訳です。

「花の色は、すっかりあせてしまいました。むなしく長雨が降り、物思いにふけっている間に。」

 これはもう、小野小町だから成り立つ歌です。自分の容姿が時とともに変わっていくことを、花に仮託して情緒的に(あるいは隠喩的に)詠んだ歌です。絶世の美女であったことを自他ともに「わかって」いなければ、自分の容姿を「花」などと表現しづらいでしょう。仮にしたとしても「ふーん、あなた、むかし自分が美人だったってことを言いたいんだね」で終わりです。しかし世の中の評価は「小野小町の歌か。じゃあ納得」です。無常観を歌いながらしっかり「女優」しています。

 

長らへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき

(ながらへばまたこのごろやしのばれむ うしとみしよぞいまはこひしき)

 84番歌、藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)の歌です。才能に恵まれながらも父親と仲が悪く、挫折の多い人生を経験しました。

 この歌は残念な境遇にいる自分を慰めるために詠んだのではないかと思います。私たちがいま置かれてる状況に当てはまる感じもしますが、いかがでしょうか。現代語訳です。

「この先もっと長く生きていれば、辛いと思っている今この時もまた懐かしく思い出されてくるのだろうか。辛く苦しいと思っていた昔の日々も、今となっては恋しく思い出されるのだから。」

 

百人一首 (講談社学術文庫) (日本語) 文庫

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