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壊れた窓を放置してはいけない

2014年10月08日 | コンサルティング

ここ何年もの間、日々近所の道路の掃除をしてくださっている男性がいます。以前、その道路にはたばこの吸い殻をはじめとして、ポイ捨てされたゴミが散乱していることがありました。

その男性は片手にトングを持ち、たばこの吸い殻を一つ一つ拾い上げてはゴミ袋に入れて、道路を綺麗にしてくださっているのです。

その姿を見るたび、頭が下がる思いがするのと同時に、ゴミのポイ捨てに対しての嫌悪を感じていました。

日々、そのように感じていたのですが、ある日ふと気が付きました。それは最近、前に比べてゴミが落ちていることが減ったということです。もちろん、男性が定期的に掃除してくれているからなのですが、そもそも捨てる人自体も減ったのか、ゴミが明らかに少なくなったと感じたのです。

それはなぜでしょうか。

そこで、思い出したのが「窓割れ理論」です。窓割れ理論とは、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案したもので、「建物の窓が壊れているのを放置すると、そこに誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓も壊されることになってしまい、最後は全て壊される」という考え方です。

窓割れ理論によれば、どのような犯罪でもそれが発生するまでにはある程度同様の経過をたどるため、治安を悪化させない、もしくは回復させるには、一見無害と感じられるような軽微な違反行為であってもきちんと取り締まる(例えばポイ捨てはしないなど)ことで、その経過を断ち切って犯罪の発生を防ぐというものです。

冒頭の例でいえば、道路にゴミが散らかったままにしておかないことでゴミのポイ捨て自体が減ったわけで、「たかがポイ捨て」と簡単にすませてしまってはいけないということです。

私が仕事でいろいろな企業を訪問する中でいつも気になるのは、社屋の清掃を意識的に行っている企業がある一方で、研修室にゴミが落ちていていてもそのまま放置されている企業もあります。

以前伺ったある企業では、研修室に捨てられたティッシュペーパーが落ちているのに、研修の担当者も次々に部屋に入ってくる受講者も誰もそれを全く気にしないのか、片づけられずに放置されたままになっていました。

仕方なく私が拾い上げたところ、今度はそれを捨てるゴミ箱がないのです。別の機会に同じ企業を訪問した時には、今度はビニール袋が床に落ちていましたが、やはり誰もそれを拾う人がいないのです。まるで、そこにゴミが落ちていることが当たり前の光景とでもいうように、皆無関心を装っていました。

たかがゴミ、されどゴミ。しかし、ゴミをそのまま放置しておくことは、組織にとっての大きな変化の前触れなのかもしれません。

さて、皆さんの組織ではゴミが落ちたままになっていませんか?

 (人材育成社)


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