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間接的欲求をしていないか

2016年06月01日 | コンサルティング

受講者 「グループの皆で話し合いをしていますが、まだ意見がまとまっていません」

私    「そうですか。意見がまとまっていないのですね」

受講者 「・・・・」

私    「意見がまとまっていないことは理解しました。それで・・・・?」

 これは先日のある研修の中での、受講者の1人と私との会話の一部です。

この研修ではグループでディスカッションをして、意見をまとめてもらうことを何度か行ったのですが、その際、時間内に意見がまとまらないと判断したグループの受講者が上記のように私に声をかけてきたのです。

 しかし、「意見がまとまっていません」と状況を伝えた後の言葉が続かず、しばし沈黙の時間が流れたため、私が「意見がまとまっていないことは理解しました。それで・・・・?」との発言をしたわけです。すると、ようやく受講者から「意見がまとまっていないので、話し合いの時間を延長して欲しい」と具体的な要望が出てきました。

 最近、このようなやりとりが研修の場面のみならず、日常の生活の中でも行われることが増えているように感じます。こうした自分の欲求を具体的に表明せず、聞き手が自分の意図を察してくれるのを期待して、遠まわしに頼むような間接的な欲求表現です。

 上記の例では、「意見がまとまっていないので、話し合いの時間を延長して欲しい」と初めから求めるのではなく、「それでは話し合いの時間を延長しましょう」と私が言うことを期待しているのです。つまり、文脈に頼って間接的に相手に要求しているわけです。

 これは一体、どうしてなのでしょうか。「直接的には要求しにくい」というように遠慮をしているのでしょうか。それともただ単に甘えているのでしょうか? あるいは断られることを怖れているのでしょうか? 

 直接的に要求をしない理由は状況により、また個々人によってもいろいろあると思いますが、本人がそれを意識している、いないに関わらず、物事をはっきりと言わずに相手が空気や文脈、行間を読んでくれることを期待するコミュニケーションの文化が日本にあるからなのかもしれません。

 私自身、研修で上記のような場面に遭遇することは珍しくはないため、つい間接欲求を受け入れてしまうこともありますが、先日の研修はテーマがコミュニケーションであったため、間接的欲求は受け入れず、直接的な欲求の表現をするように促したのです。

 間接的な欲求は、発言する本人と受け入れる側の双方がそれを意識している場合はよいです。しかし、欲求側がそれに気づかずに発言をしている場合、言われた方は「だからどうしたいんだ」と嫌な気持ちになってしまうことがありますから、気を付けなければいけません。

 つい先日も、身近でこのようなやりとりがありました。

発言者 「暑いんだけど。暑い!暑い!暑い!」

聞き手 「はい、暑いんですね。それで・・・?」

発言者 「エアコンを入れたいんですけれど」

聞き手 「どうぞ」

 このようなやり取り、結構されていませんか?

 自分は間接的な欲求をしていないか?皆さんも時々振り返ってみてはいかがでしょうか。

 (人材育成社)


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