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いっそ全部ひらがなとカタカナで書いてしまおうか

2013年11月17日 | コンサルティング

パソコンを使うようになってから、すっかり漢字が書けなくなった・・・このセリフ、一度ならず口にしたことがあると思います。

わが身を振り返ると確かに「読めるが、書けない漢字」が年々増えています。それは多くの人の前で(ホワイトボードに)文字を書きまくる講師という商売をしている人間にとって切実な問題です。

先日も研修の最中に漢字が思い出せなくなり「いっそ全部ひらがなとカタカナで書いてしまおうか!」と思ってしまったほどです。

さて、わが国で漢字を廃止してひらがなとカタカナにしようという話は過去に何度かありました。特に、第2次大戦後に漢字廃止の動きがあったことはよく知られています。

終戦直後の1946年(昭和21年)4月、志賀直哉は「日本語を廃止して、世界中で一番うつくしい言語であるフランス語を採用せよ」と雑誌で提案しました。また、讀賣報知(読売新聞)は「漢字を廃止せよ」という社説を掲載しました。

さらに遡って1866年に、前島密が将軍・徳川慶喜に漢字御廃止之議を献じたとあります※。また、福澤諭吉が徐々に漢字を廃止して仮名を用いるべきであると主張したり、原敬らが漢字節減に関する具体的な方針を発表したこともありました。

漢字廃止または節減論者が依っていた根拠には(1)習得するのが難しいこと、(2)活字印刷技術上の問題(活字の母型がたくさん必要になる)があったようです。

しかし、この点については(1)日本人の漢字識字率が圧倒的に高いこと、(2)日本の印刷技術の急速な発展(たくさんの中小企業が支えました)によって消えていきました。

現在、中国および中華民国以外の国で漢字を主に使っているのは日本だけです。

そして日本は、漢字もアルファベットも受け入れてとても豊かな文字文化をつくりました。実際、漢字と仮名とアルファベットが混在する文章を読んでも全く違和感がありません。

日本語の文章は複雑な表現であっても全体としての美しさを保っています。その上個性のある文章を誰もが比較的簡単に書くことができます。

よく考えてみると、これは奇跡に近いことかもしれません。

大げさではなく、日本の文字文化を世界遺産にしてほしいとさえ思っています。

私がホワイトボードの前でいかに大きなプレッシャーを感じているか、お分かりいただけると思います。

(人材育成社)

※ http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/guest/pdf/maejimahisoka.pdf


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