中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,040話 「北風と太陽」と部下育成

2021年07月21日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「部下が私と話すときだけ表情が硬いですし、反抗的な態度になるんです。どうしたらよいのでしょうか?」

これは先日弊社がオンラインで担当させていただいたある企業の研修後に、一人の受講者から受けた質問です。

研修は管理職を対象として部下の育成をテーマに行ったのですが、質問をした管理職(A氏)は部下(B氏)との関係がしっくりいかないことに悩んでいるとのことでした。

A氏に詳しく状況をお尋ねしたところ、部下のB氏との間で仕事の進め方や仕事に対する考え方に異なる部分があり、指導をしてもなかなか聞き入れてもらえないとのことでした。もともとお互いの価値観の違いもあり、A氏としては自分の考えをわかってもらいたい一心で厳しい言い方をしたり、自分の考えをわかってもらうためにメールを送ったりしたこともあったそうです。

しかし、それらを繰り返せば繰り返すほどB氏の態度はますます硬化してしまい、今ではオンラインで指導する際も、あるいは対面であっても、A氏と接するときのB氏はまるで心を閉ざしてしまったように、自ら積極的に話をすることはないそうです。

一連の話を聴いていて思い出したのが、イソップ物語の「北風と太陽」です。多くの方がご存知と思いますが、あるとき北風と太陽が力比べをすることになり、旅人の上着をどちらが先に脱がせることができるかという勝負をすることになった話です。北風は旅人の服を脱がせるために、力いっぱい北風を吹かせて上着を吹き飛ばそうとしたのですが、旅人は北風が吹いたことで、逆に上着をしっかりと押さえてしまい、結局旅人の服を脱がせることができなかったのです。次に太陽は旅人の上着を脱がせるために、暖かく日差しを照らしたところ、旅人は暑く感じられたため、自ら上着を脱いだのです。

これが「北風と太陽」の顛末ですが、この話からは声高に自分の考えを押し付けたり、厳しい言葉で人を動かそうとしたりすると、言われた方の気持ちは反対に離れてしまう。本当に相手の理解を得たいと思うのであれば、相手の気持ちに寄り添ったり思いやりのある態度を示したりすることで、言われた人はそれを受け入れることができるようになるという教訓が得られると思います。

冒頭のA氏の話に戻ると、もしかするとA氏の指導は管理職としての権威を笠に行ってしまったのかもしれませんし、一方的だったのかもしれません。部下のB氏から話を聴いていませんので、どうしてA氏へ対して頑なになってしまったのか本当のところはわかりませんが、A氏の話から判断するとA氏の対応は少々拙速だったのかもしれないと感じました。管理職としてA氏が部下のB氏へ伝えた内容は正論ではあったのでしょう。しかし、それが正論だったとしても、強い口調で一方的に言われたりしたら、B氏でなくても心を閉ざしてしまうのではないでしょうか。「この人には何を言っても無駄だ。分かり合えない」と考えてしまうのも無理のないことかもしれません。

部下の育成に限ったことではありませんが、自分の考えを相手にわかってもらいたいと思うのであれば、北風と太陽の教訓のように自分の考えを押し付けたり声高に言ったり、一方的に伝えたりするのではなく、太陽のように時間をかけたり、対話を続けることが大切だということです。

管理職の皆さん、あなたの指導は北風になっていないか、一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。