パオと高床

あこがれの移動と定住

鶴見俊輔・上村冬子『対論異色昭和史』(PHP新書)

2009-06-15 23:26:35 | 国内・エッセイ・評論
帯に「165歳の激論」とある。が、対論は白熱してというわけではない。お互いが、お互いを認め合っている上に、自らの中に、核となる頑固さを持ち合わせているお二人。むしろ節度ある自在さとでもいえるような印象かも。
鶴見俊輔の柔軟な頑固さとでもいえる語りは、独特の反骨さを伴って、そのくどさも、また味わいかなと思わせたりする。自身の価値観に則った、言い切りのぶれなさは、それはそれでいいのかもしれない。
会話のくり返しの中で、この人は、学力エリートやレッテル張りや主義に対して強い反発心と嫌悪と束縛性を感じているのだということが伝わってきた。風通しの悪さを怖れ、しっかりと筋を通さない、いい加減さを嫌い、かりに正当性を欠いたものでも、その人がひたむきに賭けているものがあれば、その価値を認める姿勢は、対話と議論を重ねる思考にとって大切なものなのかもしれない。

「思想の科学」の時代を語っている章が、面白かった。

ニュース23で筑紫哲也と交わした対談が、懐かしかった。

憲法9条、靖国。日本にっての戦後の意味と道筋は、さらに、いよいよ、継続的に問い、かつ、考える問題なのだ。
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