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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

信濃川下流部の市街地や農地を守る4つの県営ダム

2022年07月08日 | 土木構造物・土木遺産
紹介した三条の母なる川・五十嵐川を筆頭に、守門岳や粟ケ岳、八十里越といった雨雲を受け止める山々を水源にし、信濃川に流れ込む川がある。ここにもありました!洪水調節機能を主目的とした県営ダム。
さほど規模は大きくはないものの、信濃川下流域の都市部や越後平野の穀倉地帯を守るという大事な役目を担う新潟県土木部が設置・管理する4つのダムを紹介していく。



大河津分水を経て、中ノ口川と本流が分水する前(上流)で合流しているのが刈谷田川。守門岳を源として栃尾・見附・中之島などの市街地を流れて、三条市尾崎付近で信濃川に合流。丁度以前紹介した「横田切れ」の対岸だ。
「刈谷田川ダム」は、栃尾がすでに山の中といった感じではあるが、栃尾市街地からはかなり近いところにある。1981年完成の重力式コンクリートダム。堤高83メートル、堤頂長202メートル。
貯水量はさして大きくはないが、平成16年(2004年)の豪雨時には下流の被害低減に威力を発揮した。上越新幹線が湖の上を走っていたと表現した水害だが、下流域の低地で浸水被害があったものの、刈谷田川ダムは写真上の二枚目で確認できるように対岸のラインまで満水にして町を守ったのだ。



話題の五十嵐川上流、八十里越の国道289号線の工事が進むその途中、下流にかかる大谷大橋から美しいロックフィル式のダムが見えてくる。これが「大谷ダム」だ。(本来の「八十里越街道」は、五十嵐川支流の守門川に沿って県境に向かうコースで、県道183号で三条市遅場・吉ケ平を経由するルート。)
1994年完成。堤高75メートル、堤頂長360メートル、総貯水量は今回紹介する中でい一番大きく2110万立方メートル。水害の町・三条を守る要として、新潟県が初めて採用したロックフィル方式で建設されたのがこの大谷ダムだ。
ダム湖畔には広場や遊歩道が整備されていて、浮桟橋もある。ダム湖畔の資料館は閉鎖中(閉館?)だったが、国道289号線の開通(予定は2026年)は、かの「峠」の映画化も相まって、この地が観光ルートして脚光を浴びることに期待が寄せられている。



「笠堀ダム」は、五十嵐川の支流の笠堀川にある。大谷ダムのすぐ隣。重力式コンクリートダムで、堤高78.5メートル、堤頂長251メートル。今回紹介する中では一番歴史のあるダム。(県営ダムでは、以前紹介した三面ダムに次ぐ2番目の古い礫。)
五十嵐川が引き起こす水害を一番長く見てきたダムということもあって、放流能力の増強のため堤体の一部を取り壊しクレストゲート増設したり平成23年の水害後には堤体を4メートル嵩上げして貯水量を上げるなど、改修工事による進化を続けているダムだ。
国の特別天然記念物「ニホンカモシカ」の生息地として早くから知られる場所であるが、現在も縄張りを保ちながら20頭ほどが生息しているという。保護色なのでなかなか見つけられないというが、それだからこそ探したくなるよね!



今回、最後に紹介するのは「下条川ダム」。新潟県土木部の資料では高館山が水源となっているが、この山は標高138メートル。大丸山北側の水も集めているが、この山とて180メートル程度だ。なぜ粟ケ岳(1292メートル)を源とする加茂川ではなく、下条川にダムだったのだろう?
まあ加茂川には、加茂市民の上水道の水源として早くから貯水池1号(1954年)、2号(1960年)が設置されていたからか?加茂川自体も度々氾濫・浸水被害をもたらしてきたが、川幅を広げるなどの河川改修も行われてきた。おっと!主役は下条川の下条川ダムだった!
下条川ダムは重力式コンクリートダムだが、規模的には今回紹介する4つのダム中で一番小さい。市街地に近く、市民にしたし生まれている場所だが、行くまでの道が狭い!ダム建設の際、どうやって資材を運びこんだのか、謎の多いダムでもある。あと、クマ出没に注意して!平気で釣りを楽しんでいる人がいましたけど!

今回紹介した4つのダムとも、洪水調整が主目的であるといったとおり、この時期(私がお邪魔したのは6月末)は貯水量を減らして大雨に備えている姿が印象に残る。来るなら来い!ってな感じだろうか?


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