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盆栽×漢詩のコラボレーション 大宮盆栽美術館

2013年11月09日 16時01分37秒 | 盆栽・桜・花・木・緑・動物


さいたま市大宮区の盆栽村が開村90周年を迎えたという。

これを記念して、盆栽と漢詩をコラボレート(原義は協力する)させたら、つまり、掛け合わせたらどのような効果が生まれるか。

こんな珍しい催しが盆栽村のはずれにある「さいたま市大宮盆栽美術館」で、13年2月1日から13日まで美術館と大宮盆栽協同組合、県漢詩連盟の協力で開かれた。

盆栽は見るのは大好きで、この村に通ってすでに半世紀を超す。漢詩も唐詩選には学生時代からほとんど目を通している。

盆栽村周辺で営業する6つの盆栽園が所蔵、提供した名品に、県在住の漢詩人たちが詩をつけた。

13年2月9日(土)の午後開かれたギャラリートーク「園主が語る」に参加した。

ギャラリーは、館に入って左手にあり、ここに出品作品が詩とともに展示されている。

トークとは、盆栽園の園主が出品作品の見どころなどを紹介するもので、これまで各園を訪ねた際、園主と立ち話ぐらいは交わしたものの、こんなまともな話を聞いたことは無い。

この日、語ったのは、大宮盆栽協同組合理事長の山田登美男氏(清香園園主)だった。

漢詩とのコラボだからまず漢詩の句から始めるのが筋だろう。
 
館の入り口に展示された「松雪園」の「野梅(やばい)」には

「園主説諭盆景趣 騒人舐筆獨敲詩」

園主は説諭す 盆景の趣 騒人(詩人)は筆を舐(ねぶ)りて 
独り詩を敲(たた)く

と、このイベントの趣旨を述べ、

ギャラリーの中の、雑木の盆栽で知られる「芙蓉園」の「欅」には、

「莫道樹高 纔一尺 恰如巨木偉容奇」

道(い)うなかれ樹の高きこと わずかに一尺(いっせき)と
恰(あたか)も巨木の如く、偉容奇なり

と、盆栽の真髄を説く。

「盆栽は、腰をかがめて見上げてみると木ぶりがよく分かる」とよく言われるが、まさにそのとおりである。

吉田茂首相も欅の盆栽を好んだとか。

ギャラリーの奥には、書にあやかって、「行の間」、「草の間」(茶席)、身分の高い人が座る格式高い「真の間」が再現されていて、それにふさわしい盆栽と掛け軸が置かれていた。

「盆栽が最も輝くハレの舞台は座敷なのだ」という。

一番奥の「真の間」には「清香園」の「真柏」が置かれていた。450年という古木でその間にふさわしい貫禄だった。

「雪肌枝幹放輝光」

雪肌(せっき)の枝幹(しかん) 輝光を放つ

という漢詩の句に魅かれた。

漢詩に限らず、手を変え、品を変え、このようなコラボを繰り返していけば、盆栽ファンの裾野も広がっていくことだろう。




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