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SOIGNE TA DROITE
1987フランス
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
音楽:リタ・ミツコ
出演:ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・ペリエ、ジャック・ヴィルレ、ジェーン・バーキン
ひと月前くらいに観たのでもう忘れちまったわい^^;
冒頭見事な飛行機雲があっただろうか?
あれは「パッション」だっただろうか?
見事な空はゴダールには多いので記憶がかぶってしまう。
そういう一瞬が突出する。ゴダールはそこが好き。
これは映画に対するまともな態度なのかどうかはわからないが。
そういう突出を、こともなげに撮って無造作に貼り付けて提示してしまう、その価値の無価値化の感覚。
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話としては、
・どうやら完成した映画を上映にこぎつけようと不可解な旅をする映画監督=白痴=公爵=ゴダールの珍道中
・なにやら車で移動しては妙に詩的な呟きを繰り返すセレブな男女(ジェーン・バーキン)
・終わりなくレコーディングセッションを繰り広げるリタ・ミツコ
の3つの流れが、相互に関連なく切り離されつながれる。
笑っちゃうのは、ゴダール自身がいつになく派手に動き演技する。はしゃいでいるといってもいいかもしれない。せりふもあるし、突然奇声を発するわ、車のまどからジャック・タチよろしくするりと車内に滑り込んでみせるわ、フィルム缶を担いで派手にタラップでスリップしてみせる。がらがら~ん。
大笑いだ(笑)
コメディでもないのにこんなに可笑しいのは、ゴダールが、おれはあのゴダールなんだよというのを隠しもせず臆面もなく全編に匂わせつつおどけてみせる、その白々しさのせいだろうか?
その線でいくと、いつものゴダールだって十分に可笑しい。極度に思わせぶりな画面と音を適当につないで、どうやこれ?みたいなことをされるとね。大手を振って歩くナンセンスって可笑しくないですか?
「右側」や「パッション」の空に、「カルメン」の鉄橋ですれ違う列車に涙しながら、大真面目なばかばかしさに笑う、この泣き笑いが80年代ゴダールの楽しみなんだ。
そういう意味じゃこの「右側」は、むしろ大真面目なばかばかしさにはちょっと欠けるのかもしれない。そのぶんゴダールによる笑いの身振りが占めている。
とすると、この映画では、笑いの身振りを選択することによりむしろ退屈さがいや増すという、そういう脱力するような別種のばかばかしさを充溢させることに成功してしまっているのだろう。
(もはやなにいってんのかよ~わからんのです)
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タイトルは、ルネ・クレマン監督「左側に気をつけろ」1936から来ている。と思われる。(ゴダールに聞いたわけじゃないからね)
「左側」は脚本と主演がジャック・タチ。
そうとうに他愛ない話で、場面も非常にローカル低予算コメディ。笑うというより、タチののっぽで異様にぎこちない所作にむしろぎょっとする。
笑いの身振りで観る者を居心地悪くさせるという点でこの2作は通じるのかもしれない。(と思いつきで語る)
そいから、白痴に公爵というのはドストエフスキーですね。
ムイシュキン公爵はたしかスイスで長期療養をしていたと思うので、ゴダールとはスイスつながりというこじつけ。
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