裸体図を凌辱する男、テロリストによる処刑、葬送、ユニオンジャックのうえで交わるゲイ、嘆き悲しむ女などの断片化されたシークエンスの重層的な映像コラージュ。
頽廃・暴力・死・絶望を思わせる映像がスラッシュされ、重なり合い、繰り返される。
音響もまた、ノイズ、台詞、音楽、ヒトラー演説等の引用からなる、サブリミナルに訴えるコラージュである。
デレク・ジャーマンは私にとって、「リアルな」作家なのだと思う。
80年代には間違いなくこういう衝動があったと思う。
頽廃・暴力・死のイメージ、そしてアヴァンギャルドな表現。
希望のない表現。即興的表現。
他のどの時代とも違う表現の荒廃、荒廃の表現があった。
そしてそれらでしか表し得ない何かを憑かれたように追った作家がいた。
あのころ、世界のイメージは確かにこうだったと思う。
そしてそれは今も少しも変わっていないと思う。
しかしサイモン・フィッシャー・ターナーによるサウンドコラージュは秀逸。
このままノイズ作品?音源としてもよいだろう。
でも悪夢を呼びそうだ。
またときおり挿入される、ホームムービーらしき郷愁あふれる映像がまたうら悲しい。
過去とは複雑なものだ。過去は懐かしいとともに忌まわしくもあるものだろう。誰であれ、個人的にも歴史的にも。
つらく苦しい自分だけの90分を過ごせます。
80年代の世界のイメージ、納得です。いわれてみて、なんだか忘れていた当時の感覚を思い出しました。
TB強要しましてどうもすみません。(笑)
->皆様
TB先には「ラスト・オブ・イングランド」のインスピレーションを与えた絵画へのリンクがあるので、ぜひご覧ください。(宣伝)
D・ジャーマンの映画に良く出ている中性的魅力の
ティルダ・スウィントンが天使役で出ていて
『ザ・ガーデン』が観たくなりビデオ発掘作業中でした。
ちなみにわたしは年上の友達からD・ジャーマン教わりました。
その人はディック、バロウズ読みでヴェンダース、ジャーマン好きという
こちらのブログを見つけたら喜びそうな方です。
バロウズは本は持っているけれど、ついて行ってないのです(悲)
この調子でいくと「コンスタンティン」も観ないとといけない感じですねえ。「ザ・ガーデン」も未見なので観たいです。
チャンネル4との関わりがあり実験映画の代表監督みたいにあげられますが、
そんなに実験映画でもないかな~なんて
タルコフスキーなんかをみたりするとおもうんですよね~。
エドワード2が映画館でみた最初の彼の映画だったとおもいます。
ああ、大学生の頃にもどりたい。
なかなか映画みれないんですよ>_<
個人的に音楽イーノがすきというのもありましたし、スミスのプロモーションもてがけてたりとかで私はジャーマンはよくみていたほうです。
ガーデンはなかなかいいとおもいますよ。これは数年前本もだされていたので見てる人がおおいのではないでしょうか。
あと、カラヴァッジオもいいですね。
テンペストは彼が初映画化?でしたね。
イギリスのとある地で撮影されたのですが、
あの場所でないとだめだとインタビューでこだわりをみせてました。
ヴィトゲンシュタインは本人にすごくキャストの人が似ていてびっくりでした。彼の人生をよく表してましたよ。
これはすごく理解しやすかったですね。彼の哲学もすごくわかりやすく映画で説明されていました。
ではまた
カラヴァッジオとエンジェリックカンバセーションは観ました。後者では不覚にも途中寝てしまいましたが・・「ザ・ガーデン」観たくなりました。「テンペスト」も良さそうですね。参考になりますー。