親衛隊士の日 | |
ウラジーミル・ソローキン | |
河出書房新社 |
ソローキンは3冊持っているが、読むのはこれが初めて。
(積ん読ですな)
近年は小説らしい体を成してきたというウワサのソローキンですが
たしかに読み易いです。
近未来設定だと思うんだけど、
ロシアで再び帝政のようなものが布かれていて、
その親衛隊のメンバーの1日を描くんだけど。
帝政に反逆するものと認定された貴族の元にはこの親衛隊が出向いて粛清するんだけど、
まあ帝政でなくても粛清のあった歴史のあるロシアでは痛烈な描写だと思うんだよね。
酷いことをやりながら描写はコミカルで。
親衛隊の仕事はいろいろで、税関でのトラブル収拾にかりだされたり
劇場での演目の監視をしたり
皇帝の奥方のいいつけで占星術師だかなんだかの(なんだっけ?)ところにいったり
親衛隊内部の結束も高く、序列は厳格に守られるにしても友情とそれ以上の忠誠心のようなもので
がっちり団結していて、
屈強な男ばかりで浴場にいき、非合法ドラッグみたいなものでぶっとんだりするし
それどころか◯◯◯を×××に次々に突っ込んで繋がってみたりする(!!)
なんなんだろうこの小説は。
体制がどうなろうともやることは変わらないよということなんだろうか。
ロシア的なものにはこれまでも惹かれつつも理解を拒絶されているような不思議な魅力があって気になるのだけれど、
ここでのロシアは例えばタルコフスキーなどとは肌合いが違う
しかしまた同じように引力と斥力が同居する変な感触のある世界である。
**
現代史といちいちつきあわせて読むとかなり面白いと思われる。
人物の名前がことごとくどこかのだれかを想起させるようなものになっていたりするようであるし。
ブルガーコフを思わせるところもある。ドラッグでぶっとんでいるところの描写はそんな感じがする。
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