時間ができたので更新します。
異文化と出会ったときに人はどのように振る舞うか、というテーマで書かれた小説は数多いとおもうが、これもそのうちの1冊。
しかもかなり地味な1冊(笑)
各分野の最先端の研究者の身に降りかかる、さまざまな「異変」。
入り組んだ事柄から些細な事柄まで、様々なことが起こる。
これは果たして本当に超文明との接触なのだろうか?
どういうわけか「子供」がまとわりつくようになった男。
殺人の汚名を着せられかけている男。
どこかの所長職を押しつけられかけた男。
おかしな電報を受け取ってあわくって帰宅する女。
その他ありとあらゆるおかしなことがちまちまと起きる。
思案するなかで、どうやらこれは彼らが行っている研究を疎外しようとする力の仕業ではないかということになる。
しかし逡巡の末、登場人物達がとった行動はそれぞれであり、おのおの正誤も勝敗も定かでない。
なにしろ相手にするのは「ホメオスタティックユニヴァース」なのかもしれないのだ。
そもそも我々の常識的な発想で行く末を考えたところで、途方に暮れるばかりだ。
舞台もストーリーもシンプルなのに、奥行きは途方もなく深い。
背景説明もなく、謎解きもなく、手記の断片という形で提示されるこの小説。
とっても好きなセンスだ。
というわけで、初めてストルガツキイ兄弟の本を読んだ。
面白かった。
語り口もレムのような精緻さを持ちながらも、結構下世話なところもあって読みやすい。
巻末に「自伝」が付いているが、これもまた迫力があった。
特に兄のアルカージィは結構日本に縁が深いんですね。初めて知りました。
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次に読み始めたのはこれ
まだ読み始めだけれど、いやもうのっけから強烈に飛ばしてくれますわ。
ハードSFとひとくくりにできないですね。理系的なハードさの裏に、我々の立っている地面ってどうなの?という存在論的潜みを常に持っていて、しかもそれがまだ小道具だっていうんだからほんとにビックリだ。
私の読書傾向としては短編より長編を好むんですけど、イーガンさんも長編のほうがいいかもしれません。
(まだ読了前の感想ですけど)
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ということで、再び休業期間に入ります。
再開は5月6日以降の予定です。
私は「世界終末」は未読なんですが、いつか必ず読みますとも!
現在「モスクワ妄想倶楽部」を手に入れ、読み始めたところです。
なかなかユーモラスで面白いです。
「万物理論」は買ったのに読んでません。厚さにビビリ気味なので(笑) なんだか最近の文庫にしては字も小さいですよね。
引っかかっていた作者ですが(『願望機』でしたっけ?)、
こちらの本は
ソクーロフの『日陽はしづかに醗酵し』の原作、
というか、元になった作品...。
相も変わらず、映画からのネタですが、
しかも、読んでないし...。
タルコフスキーの後継者的な扱われ方をしたりもした、
ソクーロフですが(近作は見損ねてます。)、
タルコフスキーと大きく隔てるのは、
実は、ソクーロフには特撮魂がある(笑)、
正確にはミニチュア魂ですが...。
と、真面目な映画ファンが怒りそうなことを書いてみつつ、
画面が静かなのに、視線を逸らすことが出来ないという、
凝視を強いられる映像の魅力は両者に共通する所でしょう。
ってなところで。
「万物理論」面白いですよ!厚さと例によって難解な理論部分にもめげないエンタメ性で読ませます!
->st/ST様
この作品、映画の脚本版も出版されているのは知っていましたが、ソクーロフだったんですね。観たいです。しかし特撮魂のあるタルコフスキー後継者というのも(笑)
タルコフスキーも結構ミニチュア使いますよね、特撮じゃないど。
「ストーカー」はたしか「路傍のピクニック」ではなかったかと・・・
うーん、逆に読みたくなったような気が...。
早川文庫版はストルガツキー表記なんですね。
アマゾン見に行って判明。
表記統一してくれないとアマゾンは出ないから
困りますね。
タルコフスキーの映画とは全く違う世界が描かれていますよ。
ご参考までに、私のブログにレヴューあり。
「ストーカー」いつか買おうと何年も思っているうちに、いまは絶版みたいでショックを受けているところです。図書館狙いで読もうと思っています。