ブラック・ダリア
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ルディ・コーエン、モシュ・ディアマント、アート・リンソン
製作総指揮: ロルフ・ディール
ダニー・ディムボート
ジェームズ・B・ハリス
ヘンリク・ヒュイッツ
ジョセフ・ローテンシュレイガー
アヴィ・ラーナー
トレヴァー・ショート
アンドレアス・ティースマイヤー
ジョン・トンプソン
原作:ジェームズ・エルロイ
脚本:ジョシュ・フリードマン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
音楽:マーク・アイシャム
出演:ジョシュ・ハートネット(バッキー)アーロン・エッカート(リー)スカーレット・ヨハンソン(ケイ)ヒラリー・スワンク(マデリン)ミア・カーシュナー(エリザベス・ショート)
↑なんでこんなに製作総指揮がいるんだ??
なんだか心配だったんだけれど、わりと気に入りました。ああよかった。
もともと映画としての強度や深度をこいつに求めていたわけではないし、
もともとデ・パルマファンでもないので、なんだかニュートラルに安心して娯楽作をみちゃった感じで、
ブラックダリアご当人にはちょっと申し訳ないねえお嬢さん、という気分です。
いくつものエピソードが輻輳する構造になっていて、最初はついていけるか??と心配になりました。
ブラック・ダリアのエピソードのみに絞ったほうがすっきりしていいという意見もありそうですが、見終わったあとの楽しみとしてはあれくらい込み入っていたほうがよかったなと私は思いました。
繰り広げられるフィルム・ノワール的世界の、セット臭というか要するにその嘘くささも、現在真っ当なフィルムノワールというのが存在しえないことからの当然の帰結であって、嘘であることを責めるのはなんとなくむなしい気もします。
これはむしろちゃんとした憧れの表れとして受け止めるべき嘘なのだろうと思います。
***
【おっとネタばれ警報!!】
個人的にはっとしたのは、宣伝で使われていた女性の腰の「BD」のみみず腫れはブラック・ダリアの頭文字ではなかったということです。(ここまでは言ってもいいかな??)
まあ原作を離れてしまうのかもしれないけれど、この点は唯一この映画でミステリアスな符合です。ここに注目してうんとミステリアスに、いやオカルティックなまでに、主人公たちとブラックダリア事件をからませていったとしたらどうでしょう。
それはもしかするとデヴィッド・リンチの世界になっちまうのかもしれません。「ツイン・ピークス」の、「ロスト・ハイウェイ」の、「マルホランド・ドライブ」の、あの世界になったかもしれません。
私はそっちのほうだったら、これ、きっと大好きな映画になっていたでしょう。
でも逆にこのミステリーを、なんの引っかかりもなく、さらっと流してしまったこの映画も、実は捨てがたくミステリアスな存在なのかもしれません。
そのことにより、あるエピソードを特権的に中心に据えることを拒否したと言えるのかもしれません。巧妙に中心の生成を回避し、まさにブラック・ダリアのエピソードさえも傍流のひとつにしてしまったこの映画は、その空疎さに自覚的である点で、まさに現代におけるフィルムノワール(=表層的・時代考証的・歴史的再現)というありかたを現出するという、あるいは「それ「らしさ」にとどまること」に奉仕するという、デ・パルマ的目標をしっかりかなえてしまっているのかもしれません。
(好意的すぎますかね?)
というわけで、はじめに戻っちゃうけれども、すごく表面をなぞる感触と、わらわらとまとわりつくエピソードの流れをまさぐるという快楽に、素直に喜んでしまった私なのです。
***
音楽はもちろん40年代風なんだけど、ちょっとサウンドの艶というのか、そういうレベルで現代臭さを脱し切れなくて、残念でした。意外と、それ風を狙わないほうがそれらしく聞こえるのかもしれません。「カポーティ」ではその線で音楽が成功していたと思うし。
あとキャストには当然のことながら大スター性というのはないのだけれど、これも観ていてそんなに悪くないと思いました。現代のスターを持ち出しても、そのスター性というのは40年代におけるスター性とは違うわけだから。むしろ地味なキャスティングのおかげで、なんだか未見のフィルムを発掘しているような気分になりました。
という予定調和的大団円を、一瞬突破ってしまいそうだったのが、フィオナ・ショウ演じるラモーナ母さん。
あれはまずい。あの人だけがリンチ映画から抜け出てきたみたいだった。いつテーブルの上の料理がもぞもぞ動き出すかとひやひやしちまったですわよのさ・・・・
好き度
人気blogランキングへ
↑しばらくさぼったら急降下。ぼちっとオネガイします。
↑お買い物はこちらで
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ルディ・コーエン、モシュ・ディアマント、アート・リンソン
製作総指揮: ロルフ・ディール
ダニー・ディムボート
ジェームズ・B・ハリス
ヘンリク・ヒュイッツ
ジョセフ・ローテンシュレイガー
アヴィ・ラーナー
トレヴァー・ショート
アンドレアス・ティースマイヤー
ジョン・トンプソン
原作:ジェームズ・エルロイ
脚本:ジョシュ・フリードマン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
音楽:マーク・アイシャム
出演:ジョシュ・ハートネット(バッキー)アーロン・エッカート(リー)スカーレット・ヨハンソン(ケイ)ヒラリー・スワンク(マデリン)ミア・カーシュナー(エリザベス・ショート)
↑なんでこんなに製作総指揮がいるんだ??
なんだか心配だったんだけれど、わりと気に入りました。ああよかった。
もともと映画としての強度や深度をこいつに求めていたわけではないし、
もともとデ・パルマファンでもないので、なんだかニュートラルに安心して娯楽作をみちゃった感じで、
ブラックダリアご当人にはちょっと申し訳ないねえお嬢さん、という気分です。
いくつものエピソードが輻輳する構造になっていて、最初はついていけるか??と心配になりました。
ブラック・ダリアのエピソードのみに絞ったほうがすっきりしていいという意見もありそうですが、見終わったあとの楽しみとしてはあれくらい込み入っていたほうがよかったなと私は思いました。
繰り広げられるフィルム・ノワール的世界の、セット臭というか要するにその嘘くささも、現在真っ当なフィルムノワールというのが存在しえないことからの当然の帰結であって、嘘であることを責めるのはなんとなくむなしい気もします。
これはむしろちゃんとした憧れの表れとして受け止めるべき嘘なのだろうと思います。
***
【おっとネタばれ警報!!】
個人的にはっとしたのは、宣伝で使われていた女性の腰の「BD」のみみず腫れはブラック・ダリアの頭文字ではなかったということです。(ここまでは言ってもいいかな??)
まあ原作を離れてしまうのかもしれないけれど、この点は唯一この映画でミステリアスな符合です。ここに注目してうんとミステリアスに、いやオカルティックなまでに、主人公たちとブラックダリア事件をからませていったとしたらどうでしょう。
それはもしかするとデヴィッド・リンチの世界になっちまうのかもしれません。「ツイン・ピークス」の、「ロスト・ハイウェイ」の、「マルホランド・ドライブ」の、あの世界になったかもしれません。
私はそっちのほうだったら、これ、きっと大好きな映画になっていたでしょう。
でも逆にこのミステリーを、なんの引っかかりもなく、さらっと流してしまったこの映画も、実は捨てがたくミステリアスな存在なのかもしれません。
そのことにより、あるエピソードを特権的に中心に据えることを拒否したと言えるのかもしれません。巧妙に中心の生成を回避し、まさにブラック・ダリアのエピソードさえも傍流のひとつにしてしまったこの映画は、その空疎さに自覚的である点で、まさに現代におけるフィルムノワール(=表層的・時代考証的・歴史的再現)というありかたを現出するという、あるいは「それ「らしさ」にとどまること」に奉仕するという、デ・パルマ的目標をしっかりかなえてしまっているのかもしれません。
(好意的すぎますかね?)
というわけで、はじめに戻っちゃうけれども、すごく表面をなぞる感触と、わらわらとまとわりつくエピソードの流れをまさぐるという快楽に、素直に喜んでしまった私なのです。
***
音楽はもちろん40年代風なんだけど、ちょっとサウンドの艶というのか、そういうレベルで現代臭さを脱し切れなくて、残念でした。意外と、それ風を狙わないほうがそれらしく聞こえるのかもしれません。「カポーティ」ではその線で音楽が成功していたと思うし。
あとキャストには当然のことながら大スター性というのはないのだけれど、これも観ていてそんなに悪くないと思いました。現代のスターを持ち出しても、そのスター性というのは40年代におけるスター性とは違うわけだから。むしろ地味なキャスティングのおかげで、なんだか未見のフィルムを発掘しているような気分になりました。
という予定調和的大団円を、一瞬突破ってしまいそうだったのが、フィオナ・ショウ演じるラモーナ母さん。
あれはまずい。あの人だけがリンチ映画から抜け出てきたみたいだった。いつテーブルの上の料理がもぞもぞ動き出すかとひやひやしちまったですわよのさ・・・・
ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組東宝このアイテムの詳細を見る |
好き度
人気blogランキングへ
↑しばらくさぼったら急降下。ぼちっとオネガイします。
↑お買い物はこちらで
お!!(笑)
『カポーティ』とは逆で 今回はなかなか好意的ですね(笑)
リンチファンの私としましては
リンチと並べないで~!!!ってとこです(笑)
大スター性はない・・というご意見ですが
ジュッシュもアーロンもスカーレットも
十分 大スターだと思いますよ~~~~~~~~~
こちらからもTBさせて頂きますね♪
よろしくです♪
私には込み入り過ぎでした^^;
頭の構造が単純なもので(笑)
でも40年代の雰囲気などはとても良かったです。
劇場ではちょいと睡魔に襲われたので、DVDが出たらちゃんと見直そうかなと思ってます。
しかし、ラストのラモーナお母さんもの凄い形相でしたね。インパクト有った!(笑)。ポチしておきました。本業頑張ってください。
「カポーティ」も決して嫌いな映画ではないんです。こちらも気分でどっちかに偏ってしまうので、いけませんね~
そうですかリンチファンですか~(^^)私も好きですリンチ。
で、みなさん大スターなんですか。でもまあたとえばボギーみたいな超大スターって今はありえないのかなと思って書いたわけです。昔のスターシステムよりもいまはその他の要素、脚本とか音楽とか撮影とかの評価によっても映画の評価が左右される時代ですからね。
また遊びにきてくださいませ~
☆ゆかりんさま☆
劇場で寝るのってものすごく幸せじゃないですか?
惜しいと思う反面なんだかうれしいような・・
DVDではどのように見えるか、楽しみですね。
また遊びにきてくださいね~
☆パピのママさま☆
母さん、一人で異様な世界を背負ってましたね~
私はああいうキャラにはとにかく弱くて、もう目が釘付けになりました。
オシリの痣はな~んだと言う感じでしたね。あれは宣伝が悪いんでしょうかね。
ポチありがとうございます。すこし浮上したようです。
また遊びにきてくださいませ。
感じでしたよね。
まあ、そういう時代だった!って事なんでしょうか?
TB&コメントありがとうございます。
そうですね(笑)悪人ぞろい
きっと人生がいまより複雑だったのではないでしょうか?素直には生きられない。
また遊びにきてください。
初めて知ったわたしです。
で、ずっと興味を惹かれていたので映画化は嬉しかったのです。
ただ…音楽がうるさかったかな―。
押し付けがましいというか。
リンチ映画みたいな艶かしさはゼロでしたね。
あと階段でのシーンで
あの「アンタッチャブル」のデ・パルマなんだから
もっと上手く撮れたんじゃないのかな―とか思ってみたり。
でも、わたしも好きでしたこれ。
「マルホランド・ドライブ」はその1500倍好きですが。
昨日「マルホ・・」見ててレコーディングに遅刻した私です。
買ってから一度も通してみたことがない・・。
見直してみるとたくさんの要素がぎゅっと詰まっていて、これがTVシリーズになっていたらそれはそれで大変はまったのではないかなあと思うのです。
・・とマルホ話になってしまふ
観ている間は、すっかり忘れてました。
上の写真のシーン、そんなに激しくしなくても(笑)って思いませんでした?
鶏肉が・・・。
TB返させていただきました♪
たしかに鶏肉がもったいない・・激しい割には大した展開にならなくてがっかりですよね(笑)
全般にセクシーであるけれどもエッチではなくてものたりませんでした(笑)