Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「コレクションする女」エリック・ロメール

2016-06-16 01:44:39 | cinema
エリック・ロメール・コレクション コレクションする女 [DVD]
クリエーター情報なし
紀伊國屋書店


ロメール1作だけ劇場鑑賞いたしました。
とらねこさんありがとう。

海が近い別荘でのバカンス
その間のつかの間の恋愛というか恋愛未満の微妙な男女の関係を
なぜか2時間にわたって淡々と掘り下げるという
ロメール的贅沢がこれでもかと発揮される作品でした。

素直なんだけど節操がなくしかしどこかで一線は守っているが真意は計り知れないみたいな
ややこしい少女アイデと
それに惹かれつつも静かなバカンスを楽しみたくしかしアイデが自分をひっかけようとしていると思いでも自分から接近しようとして玉砕するみたいなナルシスと青年アドリアンのかけひきは
ほとんど喜劇なんであるが、
コミカルなタッチはほぼ見られず、友人ダニエルとの微妙な関係もからんで
始終淡々と関係性を見つめることに徹している。

アイデの奔放な生き方や
ストイックでありながらどこかギラギラした欲望を秘めているダニエルの魅力や
ナルシスティックなアドリアンの潔癖なところとか
それぞれのキャラクターのありかたも魅力的なんだけれど、
この映画の面白みは、こういうキャラのからみオンリーのネタを
2時間ひたすらに見つめ考え体験させるという、ある種の贅沢さにあると思う。

テーマをうんと絞って時間をかけて考えるという贅沢。
これができるというのが商業的な映画ではないことの強み(というか弱みw)であって
こういう贅沢が生まれるところが、ヌーヴェルヴァーグみたいなムーヴメントの可能性を支えていたんだろうと思ったりする。

限られた時間だがシンプルで濃密な時をすごすという、
ありかたとして、これぞ本当のバカンス映画だよなあ。



@角川シネマ有楽町
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