Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「地下鉄のザジ」ルイ・マル 再観

2009-10-16 22:54:50 | cinema
地下鉄のザジ【HDニューマスター版】 [DVD]

紀伊國屋書店

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地下鉄のザジZAZIE DANS LE METRO
1960フランス
監督:ルイ・マル
原作:レイモン・クノー
脚本:ルイ・マル、ジャン=ポール・ラプノー
出演:カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、カルラ・マルリエ、ユベール・デシャン、ヴィットリオ・カプリオーリ


50周年リバイバルで劇場にて観賞。
冒頭の列車の先頭につけられた(実際は列車のかどうかはわからないけれど)カメラで延々追う線路、すれ違う列車。
これが劇場だととても豊かな感じがする。
ああ、いいなあ、のんびりするなあ。どたばたなのにのんびりするなあ。

ザジが闊歩するパリの街も、なかなかにのんびりしている。
シャンゼリゼを走る車も車線などなく、思い思いの位置でぐんぐん走っている。
車線がちゃんとできたのはいつ頃なんだろう?

サイショにザジと伯父さんを拾ってくれるタクシーのオンボロさも
とてもよくて、型式だってなかなかにレトロ。

そう、ZAZIE DANS LE METROならぬZAZIE DANS LE RETRO?
レトロなパリの空気をそっくりパッケージしてしまったのだ。
観光映画なのでは全然ないのに。
そしてこっそり劇場でパックを開けてみる。
匂い立つ香りにくらくらだ。

****

ザジが瞬間移動するような、メリエス的マジックをふんだんに使っているのだが、今回観て思ったのは、そういう技法は映画的な世界を作るためではなくて、
原作の小説のアナーキーな部分を映画に移し替えようとした試みなのだなあ、ということ。

映画の技法としてどうこうというよりも、小説の持つ時空間を越えてしまうアナーキーに対して、時空間の常識的制約を受ける映画をどう対峙させるかへの、一つの答えとしてあったのだ。

それが成功しているかどうかを知りたくて、原作にもがぜん興味がわいて来たね。
地下鉄のザジ (中公文庫)
レーモン・クノー
中央公論新社

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********

もっとも緊張を強いられるのは、エッフェル塔のくだりだろう。
あの一連のばか騒ぎにはマジでキモが冷えた。
大きなスクリーンでまいったよ。

撮影はどうやっていたんだろうか。
実は命がけだったのかもね~^^;
命がけでドタバタを撮る。
なんだかチャップリン的だ。

ということでは終盤のドタバタは命がかかっていないせいか
ちょっと眠くなってしまった。
中盤まではすごく冴えているのにな。

帰りの列車のシーンはなにか物悲しい。
「僕の伯父さんの休暇」の終わりにちょっとにた感覚を覚える。
終わるのが残念な感じ?



と雑感で終わる。

あ、ニューマスター版がDVD出るんですね。




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コメント (2)
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