Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

ティム・バートン「ビッグ・フィッシュ」

2006-07-19 05:40:52 | cinema
ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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2003アメリカ
監督:ティム・バートン
原作:ダニエル・ウォレス
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ
   ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム=カーター、アリソン・ローマン

のっけから水中の映像。
スターウォーズさながらに画面の上後方から通り抜ける大きな魚。
なんだろうこの映画?

と思っていると、ホラ話の得意な父親と、
なにかと言うと始まるホラ話に幼少の頃からつきあわされて
うんざりを通りこして、父親の真の姿を見失ってしまっている息子の物語だった。

病床につく父親。
駆け付ける息子夫婦。
しかしそんな状況でも相変わらず耳タコのホラ話を繰り広げる父親。
その内容はすてきなおとぎ話。

なにより大きな魚のはなし。(素敵な話なので書かない)
村にいる魔女の目を見るとそこに自分の死ぬ時の姿が見えるという話。
村に現れて家畜を殺す大男を言いくるめて都会へ出て行く話。
途中でであったスペクター(幻)という村でのユートピアン生活の話。
サーカスでであった運命の女と結ばれるまでの話。
戦争に行き、パラシュートで敵陣に乗り込み、下半身はひとりだけど上半身はふたりという双子の芸人に助けられ、はるばるアメリカまで脱出する話。

などなど

息子は、幼い頃はそうした物語を信じていたが、成長するにつれて、父親と本当の心で話し合うことがないという思いにとらわれ、内向的な性格に育ってしまう。

だが、息子は父の物置き小屋を整理しているとき、不思議な証文を見つける。
それはスペクターのある一件の家の権利放棄書。
スペクターは実在する村なのか?

スペクターへ向かう息子。
権利書の家を訪ねるとそこにはおとぎ話にとうじょうするジェニファー(だったっけ?)という女性が子供にピアノを教えている。
息子はジェニファーを父の浮気相手だと思うが、ジェニファーから、スペクターの本当の物語を聞かされる。

父のホラ話に含まれる真実に気づきはじめる息子。
しかし父は危篤に。
意識を失った父に付き添う息子。
ある朝、意識を取り戻した父は、息子に、自分が死ぬ時の話をしてくれとせがむ。
その話は聞いていないと答える息子。
でもしてくれと促す父。
息子は、思いを込めて父の最期の物語を語りはじめる。

ううう・・・泣けるんだよな~ここから。

父の葬儀では、ホラ話の住人たちがどこからともなく集まってくる。

ホラ話と真実の絶妙のバランスがとてもいい。
夢物語の中の真実に気づく時、父と息子は言葉を交わさずとも和解し、
その父に息子は最後の贈り物をすることができたのだ。
謎解きに偏らず、和解の物語に偏らず、
その両方をうまくからめて描いているあたりが、この映画のとてもいいところ。

庭いっぱいの水仙がとてもきれい。
主人公親子の名前がブルームっていうのもすばらしくおとぎ話的。
その父と息子の溝が決定的となったのがビッグ・フィッシュのホラ話だったとすれば、その逸話を一番最後に和解の印にもってきたというのも、実にうまい。泣ける。


ユアン・マクレガーはあの時代の好青年を演じてグッド。
ヘレナ・ボナム・カーターは美しいなあと思ったらびっくり、魔女役も演じているし。
個性的な顔立ちのスティーヴ・ブシェミも、本当に個性的な顔で出てくる。

おとぎ話のそれぞれが、本気で撮られていてみどころ満載なのも魅力。
ティム・バートンのブラックな側面はあまり出ていないのかも。


あ、そうそう、
サーカスの小人のピエロ、
どこかでみたことがある。う~~んどこだっけ?
ピークスかなあ?いや違うかなあ?



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コメント (6)
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