一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

948  「なんだっけ」口癖にして梅雨籠る

2013年06月12日 | 

 会うたびに、「私の物忘れは半端じゃない、困ったものだ」とおっしゃる御仁がいる。単に挨拶言葉かもしれないし、話題の提供に持って来いなのかもしれないが、なんとなく自慢気でもある。

 そういう私も自慢ではないが、一日にたぶん数回「なんだっけ」と呟く。例えば、自分が何をしに2階に来たのか、何を取りに来たのか、分からなくなるのだ。まあ、子供でも同じことがあるようだから、気にするほどのことではないかもしれない。しかし、支障はないにしても、一日数回は困ったものだ。

ヒメシャラ(姫沙羅) ツバキ科ナツツバキ属の落葉 高木

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947  全身に古刹の霊気山法師  松子

2013年06月11日 | 

①  古くは、霊気(りょうげ)と言い、生霊や死霊の類。もののけ、つきもの、を言う。どちらかと言うと悪い霊に近い。

②  霊気(れいき)は、神秘的な気配、雰囲気をいう。好ましい霊である。

この句の場合は、由緒のある古い寺、古刹(こさつ)なのであるから、勿論②であろう。作者の鋭敏な感性が、古刹の清浄で神聖な気配を感じ取ったのだ。

アジサイ

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946  山雀に序列ありけり水を浴ぶ

2013年06月10日 | 

 山雀が餌を食べているところへ、山雀が飛んで近づいた時、が逃げる場合とが逃げる場合がある。それは、山雀同士の力関係に拠るのだろう。

親子とか、兄弟とか、山雀の区別が、私たち人間にはさっぱり分からない。しかし、彼ら山雀には、個体識別がはっきり分かっているに違いない。ということは、私にも分かる・・・・・分からないことが分かった、のでは話にならないのだが・・・・・・・・・。

ガクアジサイ(額紫陽花) ユキノシタ科の落葉低木

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945  番犬に鎖が重し大藪蚊

2013年06月09日 | 

 屋外で、犬を鎖につないで飼うなんて考えられない。歴史を見ても、犬と人間は寝起きを共にする家族だったからだ。敵や毒蛇などの侵入を知らせてくれるし、狩りでは未だに大活躍している、忠実で有能な仲間だからだ。

 玄関前につながれて、藪蚊にまとわりつかれてフィラリアなどになったら大変なことになる。犬小屋の近くに糞があったりするのを見ると、悲しくなる。一体、飼い主は何を考えているんだ。

エゴノキ  エゴノキ科の落葉小高木

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944  藪蚊打ちぽつくり地蔵に詣でけり  華子

2013年06月08日 | 

 ポックリ願望とは、ボケて徘徊したり、寝たきりになって人に迷惑を掛けて生きるよりは、ぽっくり死にたい、と思うこと。PPK(ピンピンコロリ)も同義である。誰だって、苦痛に耐えて生きるのは嫌に決まっているからだ。

 それにしても、日本全国にポックリ寺、ポックリ地蔵、ポックリさんのなんと多いこと。金儲けでポックリ寺として突然宣伝し始めた寺や、勝手にぽっくり寺にされて憤慨している住職もいるそうだ。

 さてこの句、藪蚊をぽっくり安楽死させて、お地蔵さんに詣でたところで、この作者がぽっくり死ねるかどうか、大いに疑問である。

ムラサキカタバミ(紫片喰、酢漿草) カタバミ科カタバミ属

 

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943  甕に口壼に肩梅雨はじまりぬ   狩行

2013年06月07日 | 

 気象庁の梅雨明け宣言が出て、一度雨が降ったきりで、今日ようやく再びの雨だ。6月7日だから、今日あたりが入梅で丁度良い。ところが天気予報では、再び晴天が続くという。今のところ、今年は空梅雨である。

 さて、甕でも壷でも茶碗でも、焼き物には形の要所に人間の体の名前が当てられている。口、首、肩、胴、腰、足などである。しかしさすがに、頭や胸、背中は聞いたことがない。

キョウカノコ (京鹿子 ) バラ科

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942 人肌の温み恋しきあぢさゐ忌  映子

2013年06月06日 | 

①    博多の選擇寺では、江戸から明治にかけて、遊郭で亡くなった遊女たちの投げ込み寺だったとか。そして、江戸末期、遊女雪友が母親の菩提を弔うために何百両も寄進したことから、雪友とともに、無縁仏になった遊女たちの霊を慰める、「紫陽花忌」が6月27日に営まれるようになった。

②    「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」と詠んだ林芙美子の命日(6・28)も「紫陽花忌」と呼ばれている。

③    最近では、石原裕次郎の忌日(7・17)も「紫陽花忌」と呼ばれているそうです。

 さて、この句の「あぢさゐ忌」誰の忌日か分かりませんが、どれでも良さそうですね。

バイカウツギ(梅花空木)

 

 

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941  つかの間の人類に虹立ちにけり  長

2013年06月05日 | 

 「つかの間の人類に つかの間の虹 立ちにけり」から、「虹」にかかる「つかの間」を省略したのが掲句。

 虹の一生は、長くてせいぜい数分だが、人類の一生は、あと何年であろうか。作者が人類滅亡を信じているのは確かで、それは私と変わらない。私の場合それは、イギリスの理論物理学者、スティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士に教えてもらった。

 博士に興味のある方は、「天国を否定したスティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士のすごい発言」←をクリックして下さい。

 

ユキノシタ(雪の下) ユキノシタユキノシタ

 

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940  蓮華咲くユメマボロシと唱えれば  鞠

2013年06月04日 | 

 人生ユメマボロシ・この世ユメマボロシ、昨日ユメマボロシ、今日ユメマボロシ、

愛ユメマボロシ、恋ユメマボロシ、悩みユメマボロシ、苦ユメマボロシ

私ユメマボロシ、貴女ユメマボロシ、我が子ユメマボロシ、孫ユメマボロシ

犬ユメマボロシ、猫ユメマボロシ、からすユメマボロシ、金魚ユメマボロシ・・・・・

お金ユメマボロシ、地位ユメマボロシ、名誉ユメマボロシ、

家ユメマボロシ、車ユメマボロシ、電車ユメマボロシ、橋ユメマボロシ

海ユメマボロシ、山ユメマボロシ、空ユメマボロシ、風ユメマボロシ、

青葉ユメマボロシ、蓮華ユメマボロシ、紫陽花ユメマボロシ

・・・・・ユメマボロシ、ユメマボロシ、ユメマボロシ・・・・・・

錦空木ユメマボロシ

 

 

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939  十薬や後期高齢者証届く  多可

2013年06月03日 | 

 十薬とは、ドクダミ(蕺草)のこと。庭の日陰に生え、独特の臭気があるので、嫌う人が多い。しかし、民間治療薬としてはかなりの信頼性があるようだ。

 調べてみると、動脈硬化の予防、高血圧、血液浄化、腎機能向上、利尿、便秘、疲労回復、強壮、強精、慢性鼻炎、急性腎炎、むくみ、アトピー性皮膚炎。生葉の外用として、抗菌作用があり、おでき、はれもの、あせもに効くという。なるほど、10の効用があって「十薬」と名付けられた理由も理解できる。

 さてこの句、ドクダミ茶を愛飲している作者としては、後期高齢者証などという訳の分からないものが送られてきて、きっと不快に思っているに違いない。大体「後期高齢者」という名付けが良くない。日本語には、長老・翁(おきな)、など、別の呼び方があるのだから、もう少し考えて欲しかった。

スイカズラ(吸い葛)はスイカズラスイカズラ属の常緑つる 性木本。

別名、ニンドウ(忍冬

 蕾は、金銀花(きんぎんか)という生薬、

秋から冬の 間の茎葉は、抗菌作用や解熱作用があるとされる。

 

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938  マヌカンの一足早き更衣  香杞

2013年06月02日 | 

(マヌカンの ひとあしはやき ころもがえ)

 マヌカン(mannequin)は、フランス語で衣服を身に着けたり、化粧品を使ったりして見せて、商品の宣伝・販売をする女性のことをいう。しかし、日本の現代では、特に有名デザイナーのファッションショーのモデルの女の子を指すらしい。

 ところが英語でマネキンとなると、いわゆるマネキン人形のことになる。本来は同じ意味だが、日本ではそれぞれ意味を変えて使っている。

 作者に聞くと、マネキン人形のことを少しきどってマヌカンと使ったとか。まだコートを着ているような寒い日に、商魂逞しいデパートなどのショーウィンドーでは、一足も二足も早くマヌカンたちは寒そうなうすものを着ている。

ムラサキシキブ(紫式部) クマツヅラ科の落葉低木

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937  わすれないで5月の薔薇と僕のこと

2013年06月01日 | 

 5月27日、朝日俳壇の長谷川櫂選に「青嵐窓の下には神田川  正文」という句を発見して、大笑い。これはかの有名な「かぐや姫」の「神田川」の中の一節のパクリなのだ。長谷川櫂先生がこのことを知ってか知らずか、とにかく採ったので・・・・・知っていたに決まっているとは思うのだが・・・・・

 そこでそれなら私もと、いたずら心を出して作ったのが掲句。これは、亡き尾崎紀世彦の「五月のバラ」のパクリなのです。句会に出してみたら、皆さんパクリとも知らずに結構点が入ってしまい、照れくさいやらで驚きました。

 ところで、もう昔のことですが、「五月のバラ」はカラオケで随分歌いました。(←クリックして下さい。聞くことができます)

ドクダミ(蕺草)  ドクダミ科ドクダミ属の多年草

別名、ジュウヤク(十薬)、ドクダメ(毒溜め)

ギョセイソウ(魚腥草)、ジゴクソバ(地獄蕎麦)

 

 

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