ム・厷 コウ
解字 甲骨文は手からのびる前腕の下方に〇印をつけ、そこが「ひじ」であることを示している。篆文第一字は、腕をまげたかたちで「ひじ」を表し、第二字は、「又(右手)+ムコウ(ひじを曲げた形)」の会意形声で、右手のひじを表す。現代字はムと厷(ナ[右手]+ム)になり、いずれも「ひじ」を表す。
意味 ひじ。
イメージ
「ひじ」(肱)
「ひじをまげる」(弘・強)
「まげる」(勾・鈎)
「同音代替」(宏・紘)
「その他」 (雄・私)
音の変化 コウ:肱・弘・勾・鈎・宏・紘 キョウ:強 シ:私 ユウ:雄
ひじ
肱 コウ・ひじ 月部にく
解字 「月(からだ)+厷(ひじ)」の会意形声。厷は、もともと「ひじ」の意。これに月(からだ)を付けて、ひじの意を明確にした。
意味 (1)ひじ(肱)。肘とも書く。上腕と前腕をつなぐ関節。また、その折れ曲がる外側の部分。「股肱ココウ」(またとひじ。手足となって働く家臣) (2)ひじの形に曲がっているもの。
ひじをまげる
弘 コウ・グ・ひろい・ひろめる 弓部
解字 「弓(ゆみ)+ム(ひじをまげる)」の形声。ひじを曲げて弓をひく意。しかし、本来の意味でなく広コウ・宏コウ(ひろい)に通じて、ひろい・おおきい意で使われる。グの発音は仏教用語。
意味 (1)ひろい(弘い)。「弘遠コウエン」(ひろくて遠い)「弘願グガン」(広大な誓願。阿弥陀仏の本願のこと) (2)ひろめる(弘める)。「弘法グホウ」(仏法を世に広める) (3)「弘法コウボウ」とは、弘法大師の略。
強 キョウ・ゴウ・つよい・つよまる・つよめる・しいる 弓部
解字 「虫(むし)+弘(弓をひく)」の会意形声。弘は、もともと弓を引く意。虫は蚕(かいこ)の意で、ここでは天蚕テグスを指す。強は、弓をひく天蚕の糸の意。天蚕は強靭キョウジンであることから、弓の弦に使われており、「強い弓」⇒「強い」意となった。
意味 (1)つよい(強い)。力がある。「強健キョウケン」「頑強ガンキョウ」 (2)つよめる(強める)。つよまる(強まる)。「強化キョウカ」「強制キョウセイ」 (3)しいる(強いる)。「強引ゴウイン」 (4)かたい。こわばる。「強張る」
襁 キョウ 衣部
解字 「衣(ぬの)+強(つよい)」の会意形声。赤ちゃんを(落ちないよう)強く締め付ける背負い帯。
意味 (1)せおいおび。幼児を背負う帯。 (2)おう。負う。おんぶする。「襁負キョウフ」(背負い帯で幼児を背負う)「襁抱キョウホウ」(①幼児を背負うことと、抱くこと。②幼児のころ)「襁褓キョウホウ」(①背負い帯と、うぶぎ。②幼児のころ。③[国]むつき。おしめ。)
まげる
勾 コウ・まがる 勹部
解字 「勹(身体をまげる形)+ム(まげる)」の会意形声。勹は人が身体をまげる形。さらにム(まげる)が付き、まがる意を表す。また、同音である拘コウ(とらえる)に通じ、とらえる意も表す。日本では、降コウ(おりる)に通じ、傾斜の度合いを表す。
意味 (1)まがる。まげる。「勾玉まがたま」 (2)とらえる。(=拘)「勾引コウイン=拘引」(とらえてひきつれる)「勾留コウリュウ」(とらえてとどめおく=拘留。法律用語では、勾留は調べるため、とらえてとどめること。拘留は、とらえてとどめおく刑罰) (3)[国]傾斜の度合い。「勾配コウバイ」
鈎 コウ・かぎ 金部
解字 「金(金属)+勾(まがる)」の会意形声。まがった形の金属。
意味 かぎ(鈎)。鉤コウの異体字で鉤と同字。
同音代替
宏 コウ・ひろい 宀部
解字 「宀(たてもの)+厷(コウ)」の形声。コウは広コウ(ひろい)に通じ、家屋が広く奥深い意。転じて、ひろい意に用いる。
意味 ひろい(宏い)。大きい。すぐれる。「宏大コウダイ」(ひろく大きい)「宏図コウト」(大きなはかりごと)「宏遠コウエン」(ひろく遠い)
紘 コウ 糸部
解字 「糸(ひも)+厷(=宏。ひろい)」の会意形声。ひろい場所に掛け渡す、ひもや、つなの意。また、広く大きい・そのはての意ともなる。
意味 (1)ひも。 (2)つな。おおづな。 (3)広く大きい。 (4)はて。きわみ。「八紘ハッコウ」(八つのはて、即ち四方と四隅。地の果て。転じて天下)「八紘一宇ハッコウイチウ」(世界を一つの家とすること)
その他
雄 ユウ・お・おす 隹部
解字 篆文第1字は秦系簡牘カントク文字(春秋戦国時代)で、「隹(とり)+右ユウ(みぎ)」 の会意形声。右は中国の戦国時代に、左を卑しみ右を上位とする考えがあったことから、上位の隹(とり)すなわちオスの隹(とり)の意。第2字は[説文解字]の篆文で、第1字の右⇒厷に変化した雄になった。厷コウにはユウの発音はなく、強いて言えば厷のナ(右手=又ユウ)の発音がユウである。オスのとりから転じて、いさましい・強い・すぐれる意となる。
意味 (1)おす(雄)。お(雄)。「雄鶏おんどり」「雌雄シユウ」(めすと、おす) (2)おおしい。いさましい。ひいでる。すぐれた人物。「雄姿ユウシ」「英雄エイユウ」
私 シ・わたくし・わたし 禾部
「禾(こくもつ)+ム」 だが、ムシをスキ(耜)とする見解と、ムコウ(ひじ)で囲い込むとする見解がある。どちらが正しいか判断できないので、覚えやすいほうを、覚え方として掲げる。
覚え方 「禾(稲)+ム(ひじをまげる)」 の会意。稔った稲を自分のひじをまげて囲いとり自分のもの(私物)とすること。
意味 (1)わたくし(私)。わたし(私)。自分。自分のもの。自分ひとりの利益や考え。「私益シエキ」「私有シユウ」「私人シジン」 (2)ひそか。こっそり。「私語シゴ」「私通シツウ」
<紫色は常用漢字>
解字 甲骨文は手からのびる前腕の下方に〇印をつけ、そこが「ひじ」であることを示している。篆文第一字は、腕をまげたかたちで「ひじ」を表し、第二字は、「又(右手)+ムコウ(ひじを曲げた形)」の会意形声で、右手のひじを表す。現代字はムと厷(ナ[右手]+ム)になり、いずれも「ひじ」を表す。
意味 ひじ。
イメージ
「ひじ」(肱)
「ひじをまげる」(弘・強)
「まげる」(勾・鈎)
「同音代替」(宏・紘)
「その他」 (雄・私)
音の変化 コウ:肱・弘・勾・鈎・宏・紘 キョウ:強 シ:私 ユウ:雄
ひじ
肱 コウ・ひじ 月部にく
解字 「月(からだ)+厷(ひじ)」の会意形声。厷は、もともと「ひじ」の意。これに月(からだ)を付けて、ひじの意を明確にした。
意味 (1)ひじ(肱)。肘とも書く。上腕と前腕をつなぐ関節。また、その折れ曲がる外側の部分。「股肱ココウ」(またとひじ。手足となって働く家臣) (2)ひじの形に曲がっているもの。
ひじをまげる
弘 コウ・グ・ひろい・ひろめる 弓部
解字 「弓(ゆみ)+ム(ひじをまげる)」の形声。ひじを曲げて弓をひく意。しかし、本来の意味でなく広コウ・宏コウ(ひろい)に通じて、ひろい・おおきい意で使われる。グの発音は仏教用語。
意味 (1)ひろい(弘い)。「弘遠コウエン」(ひろくて遠い)「弘願グガン」(広大な誓願。阿弥陀仏の本願のこと) (2)ひろめる(弘める)。「弘法グホウ」(仏法を世に広める) (3)「弘法コウボウ」とは、弘法大師の略。
強 キョウ・ゴウ・つよい・つよまる・つよめる・しいる 弓部
解字 「虫(むし)+弘(弓をひく)」の会意形声。弘は、もともと弓を引く意。虫は蚕(かいこ)の意で、ここでは天蚕テグスを指す。強は、弓をひく天蚕の糸の意。天蚕は強靭キョウジンであることから、弓の弦に使われており、「強い弓」⇒「強い」意となった。
意味 (1)つよい(強い)。力がある。「強健キョウケン」「頑強ガンキョウ」 (2)つよめる(強める)。つよまる(強まる)。「強化キョウカ」「強制キョウセイ」 (3)しいる(強いる)。「強引ゴウイン」 (4)かたい。こわばる。「強張る」
襁 キョウ 衣部
解字 「衣(ぬの)+強(つよい)」の会意形声。赤ちゃんを(落ちないよう)強く締め付ける背負い帯。
意味 (1)せおいおび。幼児を背負う帯。 (2)おう。負う。おんぶする。「襁負キョウフ」(背負い帯で幼児を背負う)「襁抱キョウホウ」(①幼児を背負うことと、抱くこと。②幼児のころ)「襁褓キョウホウ」(①背負い帯と、うぶぎ。②幼児のころ。③[国]むつき。おしめ。)
まげる
勾 コウ・まがる 勹部
解字 「勹(身体をまげる形)+ム(まげる)」の会意形声。勹は人が身体をまげる形。さらにム(まげる)が付き、まがる意を表す。また、同音である拘コウ(とらえる)に通じ、とらえる意も表す。日本では、降コウ(おりる)に通じ、傾斜の度合いを表す。
意味 (1)まがる。まげる。「勾玉まがたま」 (2)とらえる。(=拘)「勾引コウイン=拘引」(とらえてひきつれる)「勾留コウリュウ」(とらえてとどめおく=拘留。法律用語では、勾留は調べるため、とらえてとどめること。拘留は、とらえてとどめおく刑罰) (3)[国]傾斜の度合い。「勾配コウバイ」
鈎 コウ・かぎ 金部
解字 「金(金属)+勾(まがる)」の会意形声。まがった形の金属。
意味 かぎ(鈎)。鉤コウの異体字で鉤と同字。
同音代替
宏 コウ・ひろい 宀部
解字 「宀(たてもの)+厷(コウ)」の形声。コウは広コウ(ひろい)に通じ、家屋が広く奥深い意。転じて、ひろい意に用いる。
意味 ひろい(宏い)。大きい。すぐれる。「宏大コウダイ」(ひろく大きい)「宏図コウト」(大きなはかりごと)「宏遠コウエン」(ひろく遠い)
紘 コウ 糸部
解字 「糸(ひも)+厷(=宏。ひろい)」の会意形声。ひろい場所に掛け渡す、ひもや、つなの意。また、広く大きい・そのはての意ともなる。
意味 (1)ひも。 (2)つな。おおづな。 (3)広く大きい。 (4)はて。きわみ。「八紘ハッコウ」(八つのはて、即ち四方と四隅。地の果て。転じて天下)「八紘一宇ハッコウイチウ」(世界を一つの家とすること)
その他
雄 ユウ・お・おす 隹部
解字 篆文第1字は秦系簡牘カントク文字(春秋戦国時代)で、「隹(とり)+右ユウ(みぎ)」 の会意形声。右は中国の戦国時代に、左を卑しみ右を上位とする考えがあったことから、上位の隹(とり)すなわちオスの隹(とり)の意。第2字は[説文解字]の篆文で、第1字の右⇒厷に変化した雄になった。厷コウにはユウの発音はなく、強いて言えば厷のナ(右手=又ユウ)の発音がユウである。オスのとりから転じて、いさましい・強い・すぐれる意となる。
意味 (1)おす(雄)。お(雄)。「雄鶏おんどり」「雌雄シユウ」(めすと、おす) (2)おおしい。いさましい。ひいでる。すぐれた人物。「雄姿ユウシ」「英雄エイユウ」
私 シ・わたくし・わたし 禾部
「禾(こくもつ)+ム」 だが、ムシをスキ(耜)とする見解と、ムコウ(ひじ)で囲い込むとする見解がある。どちらが正しいか判断できないので、覚えやすいほうを、覚え方として掲げる。
覚え方 「禾(稲)+ム(ひじをまげる)」 の会意。稔った稲を自分のひじをまげて囲いとり自分のもの(私物)とすること。
意味 (1)わたくし(私)。わたし(私)。自分。自分のもの。自分ひとりの利益や考え。「私益シエキ」「私有シユウ」「私人シジン」 (2)ひそか。こっそり。「私語シゴ」「私通シツウ」
<紫色は常用漢字>
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