黄[黃] コウ・オウ・き・こ 黄部
解字 甲骨文第一字は、人の腰のあたりに丸いものを巻いた形で、腰に佩玉ハイギョク(礼服着用のときに腰におびた玉)を帯びたかたちとされる。殷代の玉器には黄色いものが多く、そこから黄色の字義を表したと思われる[甲骨文字辞典]。第二字は腰のまるい線が田になった字でこれが後世に伝わった。金文になると上部に廿のかたちがつき、篆文で「大」の両手の部分が⇒ハになり、さらに旧字で、ハ⇒一に変化した黃になった。新字体は、旧字上部の廿⇒艹に変化した黄になった。黄は黄色の佩玉であり、璜の原字。
覚え方
新字体 艹(くさ)一(いち)由(よし)ハ(ハ)で黄色。
旧字体 廿(にじゅう)一(いち)由(よし)ハ(ハ)で黃色。
意味 (1)き(黄)。きいろ。「黄土オウド」「黄河コウガ」「黄金オウゴン・こがね」「黄昏たそがれ」(夕焼けが黄色に染まって暮れるころ) (2)きばむ。黄色みを帯びる。「硫黄イオウ」「黄変オウヘン」
参考 黄[黃]は部首「黄き・きいろ」になる。しかし、主な字は黌コウしかない。この字で黃は、部首であるとともに音符ともなっている。
イメージ
原義である「黄色の佩玉」(黄・璜)
「同音代替」 (横・黌)
音の変化 コウ:黄・璜・黌 オウ:横
黄色の佩玉
璜 コウ・オウ 王部
七璜組玉佩 七璜組玉佩の下部
解字 「王(玉)+黃(黄色の佩玉)」の会意形声。黃コウが黄色の意となったため、原義である「黄色の佩玉」の意を、王(玉)をつけて表した字。佩玉の璜は、薄くて円く中央に穴のあいた璧玉ヘキギョクを半分にした形とされている。写真は七つの璜を組み合わせた七璜組玉佩シチコウソギョクハイ(河南博物院藏)。西周晩期のもので璜は黄色味を帯びている。璜と璜の間は赤色のメノウと青色のルリの貫玉で飾っている。
意味 儀礼用の玉器の名。璧を半分にした形で、祭礼に用いたり、腰に帯びる佩玉にする。「玉璜ギョクコウ」「璜璜コウコウ」(輝くさま)
同音代替
横 オウ・コウ・よこ 木部
解字 旧字は、「木(き)+黃(コウ)」の形声。コウは衡コウ(よこ・よこぎ)に通じ、門などによこに渡して遮るかんぬきの木をいう。よこ・よこたわる意となる。また、縦が従順であるのに対し、横は横柄・横行など秩序に反する意ともなる。
意味 (1)よこ(横)。「縦横ジュウオウ」 (2)よこたわる。「横臥オウガ」 (3)横切る。「横断オウダン」 (4)わがまま。道理にあわない。「横行オウコウ」(道理にあわないことが平然と行なわれる)「専横センオウ」(わがままを押しとおす)「横柄オウヘイ」(偉そうにふるまうさま。押柄(おしから)の音読したことに由来する。「押柄」は押しの強い人柄という意味で、これが音読されて「おうへい」となり「横」の字を当てるようになったもの。)「横死オウシ」(むだに死ぬ)
黌 コウ 黄部
解字 「學(まなぶ)の略体+黃(コウ)」の形声。コウは校コウ(まなびや)に通じ、学ぶ校舎の意。
意味 まなびや。学校。「昌平黌ショウヘイコウ」(江戸幕府の学問所。主に旗本・御家人の子弟を教えた。)「済々黌セイセイコウ」(熊本県立の高等学校の名前)
広[廣] コウ < ひろがる >
広[廣] コウ・ひろい・ひろまる・ひろめる・ひろげる 广部
解字 旧字は廣で、「广(やね)+黃(コウ)」の形声。广ゲンは屋根、発音を表す黃コウは黄色の意味なので、ここでは意味に関係なく発音だけを表している。ではコウは何の音を同音代替したのか。私は同音の光コウ(ひかり)だと思う。廣の古代音(秦)・中古音(隋唐)の復元音(王力系統)は、ともにkuaŋで同一。また光の古代音(秦)・中古音(隋唐)の復元音も、ともにkuaŋで同一。従って、廣と光は同一の発音)。光は、「ひろがる」イメージがあり、これに广(やね)をつけた廣コウは、屋根の下に空間がひろがる大きいスペースをいう。転じて、ひろい意味を表わす。新字体は旧字の黃⇒ムに置きかえた広になった。
意味 (1)ひろい(広い)。「広場ひろば」「広大コウダイ」「広角コウカク」 (2)ひろめる(広める)。ひろがる(広がる)。「広告コウコク」「広言コウゲン」
イメージ
「ひろがる」(広・拡・鉱・礦・曠・壙)
音の変化 コウ:広・鉱・礦・壙・曠 カク:拡
ひろがる
拡 カク・ひろげる 扌部
解字 旧字は擴で「扌(手)+廣(ひろがる)」の会意形声。手でひろげること。新字体は拡に変化。
意味 ひろげる(拡げる)。ひろがる。「拡張カクチョウ」「拡大カクダイ」「拡充カクジュウ」「拡散カクサン」
鉱 コウ・あらがね 金部
解字 旧字は鑛で「金(金属)+廣(ひろがる)」 の会意形声。地中にひろがる金属の原石のこと。新字体は鉱に変化。
意味 あらがね(鉱)。掘り出したままの金属の原石。「鉄鉱石テッコウセキ」「鉱山コウザン」「鉱脈コウミャク」「鉱毒コウドク」
礦[砿] コウ・あらがね 石部
解字 「石(原石)+廣(ひろがる)」の会意形声。地中にひろがっている金属を含む原石。砿は新字体に準じた略字(異体字)。
意味 (1)あらがね(礦)。掘り出した天然の鉱石。「金礦キンコウ」(=金鉱)「礦業コウギョウ」(=鉱業)「礦石コウセキ」(=鉱石)
曠 コウ・あきらか・むなしい 日部
解字 「日(日光)+廣(ひろがる)」の会意形声。日の光がひろがって見通しがよいこと。あきらか・ひろい意となり、久しい・むなしい意も派生する。
意味 (1)あきらか(曠らか)。 (2)ひろい。おおきい。「曠野コウヤ」(=広野)「曠野あらの」(荒野)「曠達コウタツ」(心が広く物事にこだわらない) (3)むなしい(曠しい)。「曠日コウジツ」(無駄に日をすごす) (4)久しい。遠い。これまでに。「曠古コウコ」(昔から前例がない)「曠世コウセイ」(世にまたとない)
壙 コウ・あな 土部
解字 「土(つち)+廣(ひろがる)」の会意形声。土の中にひろがる穴の意味で、墓穴をいう。
意味 あな(壙)。はかあな。「壙穴コウケツ」(墓あな)「土壙墓ドコウボ」(地表面を堀りくぼめて造られた墓穴)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 甲骨文第一字は、人の腰のあたりに丸いものを巻いた形で、腰に佩玉ハイギョク(礼服着用のときに腰におびた玉)を帯びたかたちとされる。殷代の玉器には黄色いものが多く、そこから黄色の字義を表したと思われる[甲骨文字辞典]。第二字は腰のまるい線が田になった字でこれが後世に伝わった。金文になると上部に廿のかたちがつき、篆文で「大」の両手の部分が⇒ハになり、さらに旧字で、ハ⇒一に変化した黃になった。新字体は、旧字上部の廿⇒艹に変化した黄になった。黄は黄色の佩玉であり、璜の原字。
覚え方
新字体 艹(くさ)一(いち)由(よし)ハ(ハ)で黄色。
旧字体 廿(にじゅう)一(いち)由(よし)ハ(ハ)で黃色。
意味 (1)き(黄)。きいろ。「黄土オウド」「黄河コウガ」「黄金オウゴン・こがね」「黄昏たそがれ」(夕焼けが黄色に染まって暮れるころ) (2)きばむ。黄色みを帯びる。「硫黄イオウ」「黄変オウヘン」
参考 黄[黃]は部首「黄き・きいろ」になる。しかし、主な字は黌コウしかない。この字で黃は、部首であるとともに音符ともなっている。
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原義である「黄色の佩玉」(黄・璜)
「同音代替」 (横・黌)
音の変化 コウ:黄・璜・黌 オウ:横
黄色の佩玉
璜 コウ・オウ 王部
七璜組玉佩 七璜組玉佩の下部
解字 「王(玉)+黃(黄色の佩玉)」の会意形声。黃コウが黄色の意となったため、原義である「黄色の佩玉」の意を、王(玉)をつけて表した字。佩玉の璜は、薄くて円く中央に穴のあいた璧玉ヘキギョクを半分にした形とされている。写真は七つの璜を組み合わせた七璜組玉佩シチコウソギョクハイ(河南博物院藏)。西周晩期のもので璜は黄色味を帯びている。璜と璜の間は赤色のメノウと青色のルリの貫玉で飾っている。
意味 儀礼用の玉器の名。璧を半分にした形で、祭礼に用いたり、腰に帯びる佩玉にする。「玉璜ギョクコウ」「璜璜コウコウ」(輝くさま)
同音代替
横 オウ・コウ・よこ 木部
解字 旧字は、「木(き)+黃(コウ)」の形声。コウは衡コウ(よこ・よこぎ)に通じ、門などによこに渡して遮るかんぬきの木をいう。よこ・よこたわる意となる。また、縦が従順であるのに対し、横は横柄・横行など秩序に反する意ともなる。
意味 (1)よこ(横)。「縦横ジュウオウ」 (2)よこたわる。「横臥オウガ」 (3)横切る。「横断オウダン」 (4)わがまま。道理にあわない。「横行オウコウ」(道理にあわないことが平然と行なわれる)「専横センオウ」(わがままを押しとおす)「横柄オウヘイ」(偉そうにふるまうさま。押柄(おしから)の音読したことに由来する。「押柄」は押しの強い人柄という意味で、これが音読されて「おうへい」となり「横」の字を当てるようになったもの。)「横死オウシ」(むだに死ぬ)
黌 コウ 黄部
解字 「學(まなぶ)の略体+黃(コウ)」の形声。コウは校コウ(まなびや)に通じ、学ぶ校舎の意。
意味 まなびや。学校。「昌平黌ショウヘイコウ」(江戸幕府の学問所。主に旗本・御家人の子弟を教えた。)「済々黌セイセイコウ」(熊本県立の高等学校の名前)
広[廣] コウ < ひろがる >
広[廣] コウ・ひろい・ひろまる・ひろめる・ひろげる 广部
解字 旧字は廣で、「广(やね)+黃(コウ)」の形声。广ゲンは屋根、発音を表す黃コウは黄色の意味なので、ここでは意味に関係なく発音だけを表している。ではコウは何の音を同音代替したのか。私は同音の光コウ(ひかり)だと思う。廣の古代音(秦)・中古音(隋唐)の復元音(王力系統)は、ともにkuaŋで同一。また光の古代音(秦)・中古音(隋唐)の復元音も、ともにkuaŋで同一。従って、廣と光は同一の発音)。光は、「ひろがる」イメージがあり、これに广(やね)をつけた廣コウは、屋根の下に空間がひろがる大きいスペースをいう。転じて、ひろい意味を表わす。新字体は旧字の黃⇒ムに置きかえた広になった。
意味 (1)ひろい(広い)。「広場ひろば」「広大コウダイ」「広角コウカク」 (2)ひろめる(広める)。ひろがる(広がる)。「広告コウコク」「広言コウゲン」
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「ひろがる」(広・拡・鉱・礦・曠・壙)
音の変化 コウ:広・鉱・礦・壙・曠 カク:拡
ひろがる
拡 カク・ひろげる 扌部
解字 旧字は擴で「扌(手)+廣(ひろがる)」の会意形声。手でひろげること。新字体は拡に変化。
意味 ひろげる(拡げる)。ひろがる。「拡張カクチョウ」「拡大カクダイ」「拡充カクジュウ」「拡散カクサン」
鉱 コウ・あらがね 金部
解字 旧字は鑛で「金(金属)+廣(ひろがる)」 の会意形声。地中にひろがる金属の原石のこと。新字体は鉱に変化。
意味 あらがね(鉱)。掘り出したままの金属の原石。「鉄鉱石テッコウセキ」「鉱山コウザン」「鉱脈コウミャク」「鉱毒コウドク」
礦[砿] コウ・あらがね 石部
解字 「石(原石)+廣(ひろがる)」の会意形声。地中にひろがっている金属を含む原石。砿は新字体に準じた略字(異体字)。
意味 (1)あらがね(礦)。掘り出した天然の鉱石。「金礦キンコウ」(=金鉱)「礦業コウギョウ」(=鉱業)「礦石コウセキ」(=鉱石)
曠 コウ・あきらか・むなしい 日部
解字 「日(日光)+廣(ひろがる)」の会意形声。日の光がひろがって見通しがよいこと。あきらか・ひろい意となり、久しい・むなしい意も派生する。
意味 (1)あきらか(曠らか)。 (2)ひろい。おおきい。「曠野コウヤ」(=広野)「曠野あらの」(荒野)「曠達コウタツ」(心が広く物事にこだわらない) (3)むなしい(曠しい)。「曠日コウジツ」(無駄に日をすごす) (4)久しい。遠い。これまでに。「曠古コウコ」(昔から前例がない)「曠世コウセイ」(世にまたとない)
壙 コウ・あな 土部
解字 「土(つち)+廣(ひろがる)」の会意形声。土の中にひろがる穴の意味で、墓穴をいう。
意味 あな(壙)。はかあな。「壙穴コウケツ」(墓あな)「土壙墓ドコウボ」(地表面を堀りくぼめて造られた墓穴)
<紫色は常用漢字>
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