「遣ケン」と「遺イ」はよく似ている。違いは遣ケンに含まれる㠯(祭肉=軍隊)と、遺イに含まれる貝(かい)の違いだけ。ポイントは㠯と貝の上にある「中+一」のかたち。これが何を意味するかが分かれば、これらの字は理解できる。
遣 ケン <軍隊をつかわす>
遣 ケン・つかわす・つかう・やる 辶部
解字 甲骨文は祭肉(𠂤タイ)を両手で持つかたちで祭祀名として用いられている[甲骨文字辞典]。金文は、さらに彳(ゆく)と止(あし)が加わり、祭肉を持って行くかたち。この祭肉は軍を意味することが多く、金文で軍をさしむける(派遣する)意で使われる。篆文は「彳+止」が辵チャクになり、両手の間に逆Y字形が入り、祭肉は阜フに変質した。現代字は、辵⇒辶(ゆく)になり、その横に「中+一」(両手で持つかたちの変化形)+㠯(祭肉)」がついた遣となった。意味は軍の派遣のほか、つかわす・さしむける意となる。祭肉は本来、𠂤タイで表される(例:追)が、遣の字では略体の㠯になっている。(この略体は官などでも使われている)
意味 (1)つかわす(遣わす)。やる(遣る)。さしむける。「派遣ハケン」「遣唐使ケントウシ」 (2)[国]つかう(遣う)。使用する。「金遣(かねづか)い」「小遣(づか)い」(=小遣い銭)「仮名遣(かなづか)い」 (3)~しむ。せしむ。使役の助字。
貴 キ <とうとい>
貴 キ・たっとい・とうとい・たっとぶ 貝部
解字 篆文の上部は、逆Y字形のものを両手で持つかたち。遣ケンの字では、下の㠯(𠂤タイの変化形=祭肉)を両手で持つ形であり、貴では、下の貝(財貨)を両手で持つ形となる。貴重なものを両手で持つことから、転じて、とうとい意となる。現代字は上部が「中+一」の形に変化した。つまり、「中+一」は、その下にあるものを両手でもつ形である。
意味 (1)とうとい(貴い)。たっとい。身分や価値が高い。「高貴コウキ」「貴金属キキンゾク」 (2)たっとぶ(貴ぶ)。とうとぶ。 (3)相手への敬意を表す語。「貴殿キデン」
イメージ
「貴重なもの」(貴・遺・潰)
音の変化 キ:貴 イ:遺 カイ:潰
貴重なもの
遺 イ・ユイ・のこす 辶部
解字 「辶(もってゆく)+貴(貴重なもの)」の会意形声。貴重なものを持って行き人に贈り、そこにのこす意。人に贈ると、相手の方にものが残り、自分のほうにはなくなるという二つの側面がある。
意味 (1)おくる。やる。 (2)のこす(遺す)。のこる。「遺産イサン」「遺書イショ」「遺言ユイゴン」「遺憾イカン」(遺はのこる、憾は失望する。失望がのこる。とても残念だ) (3)おとす。わすれる。「遺失物イシツブツ」 (4)すてる。「遺棄イキ」
潰 カイ・つぶす・つぶれる 氵部
解字 「氵(みず)+貴(貴重なもの)」の会意形声。貴重なものが洪水で破壊されること。
意味 (1)つぶす(潰す)。つぶれる(潰れる)。ついえる。「潰滅カイメツ」(こわれてなくなる) (2)敗れる。「潰走カイソウ」(敗れて逃げる)
<紫色は常用漢字>
参考 音符「遣ケン」へ
音符「貴キと遺イ」へ
遣 ケン <軍隊をつかわす>
遣 ケン・つかわす・つかう・やる 辶部
解字 甲骨文は祭肉(𠂤タイ)を両手で持つかたちで祭祀名として用いられている[甲骨文字辞典]。金文は、さらに彳(ゆく)と止(あし)が加わり、祭肉を持って行くかたち。この祭肉は軍を意味することが多く、金文で軍をさしむける(派遣する)意で使われる。篆文は「彳+止」が辵チャクになり、両手の間に逆Y字形が入り、祭肉は阜フに変質した。現代字は、辵⇒辶(ゆく)になり、その横に「中+一」(両手で持つかたちの変化形)+㠯(祭肉)」がついた遣となった。意味は軍の派遣のほか、つかわす・さしむける意となる。祭肉は本来、𠂤タイで表される(例:追)が、遣の字では略体の㠯になっている。(この略体は官などでも使われている)
意味 (1)つかわす(遣わす)。やる(遣る)。さしむける。「派遣ハケン」「遣唐使ケントウシ」 (2)[国]つかう(遣う)。使用する。「金遣(かねづか)い」「小遣(づか)い」(=小遣い銭)「仮名遣(かなづか)い」 (3)~しむ。せしむ。使役の助字。
貴 キ <とうとい>
貴 キ・たっとい・とうとい・たっとぶ 貝部
解字 篆文の上部は、逆Y字形のものを両手で持つかたち。遣ケンの字では、下の㠯(𠂤タイの変化形=祭肉)を両手で持つ形であり、貴では、下の貝(財貨)を両手で持つ形となる。貴重なものを両手で持つことから、転じて、とうとい意となる。現代字は上部が「中+一」の形に変化した。つまり、「中+一」は、その下にあるものを両手でもつ形である。
意味 (1)とうとい(貴い)。たっとい。身分や価値が高い。「高貴コウキ」「貴金属キキンゾク」 (2)たっとぶ(貴ぶ)。とうとぶ。 (3)相手への敬意を表す語。「貴殿キデン」
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「貴重なもの」(貴・遺・潰)
音の変化 キ:貴 イ:遺 カイ:潰
貴重なもの
遺 イ・ユイ・のこす 辶部
解字 「辶(もってゆく)+貴(貴重なもの)」の会意形声。貴重なものを持って行き人に贈り、そこにのこす意。人に贈ると、相手の方にものが残り、自分のほうにはなくなるという二つの側面がある。
意味 (1)おくる。やる。 (2)のこす(遺す)。のこる。「遺産イサン」「遺書イショ」「遺言ユイゴン」「遺憾イカン」(遺はのこる、憾は失望する。失望がのこる。とても残念だ) (3)おとす。わすれる。「遺失物イシツブツ」 (4)すてる。「遺棄イキ」
潰 カイ・つぶす・つぶれる 氵部
解字 「氵(みず)+貴(貴重なもの)」の会意形声。貴重なものが洪水で破壊されること。
意味 (1)つぶす(潰す)。つぶれる(潰れる)。ついえる。「潰滅カイメツ」(こわれてなくなる) (2)敗れる。「潰走カイソウ」(敗れて逃げる)
<紫色は常用漢字>
参考 音符「遣ケン」へ
音符「貴キと遺イ」へ
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