漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「互ゴ」<たがいに> と 「彙イ」 と 「携ケイ」 

2022年04月05日 | 漢字の音符
 短い記述の3音符を集めました。相互の関連はありません。
 ゴ・コ・たがいに 二部

解字  [説文解字]は、竹冠の下に互をつけた形()を本字とし、互は「或る体」として次に載せている。竹冠のついた互は「縄を収(おさむ)る也(なり)」とし、おおくの字典は「縄を巻きとる道具の形」「繩巻き器」としている。
縄巻きの道具とは何か? 

縄ない機 - 田舎の一軒家/こだわり農家 (muragon.com)
 縄巻きの道具とは、長い縄を運搬したり販売するため、縄を巻きとって円筒状にする道具のようである。 ネットで「縄巻き機」で検索すると、木製の縄巻きが見つかった。これは縄ない機から出てきた縄を巻きとる部分で、縄を均等に巻くため「縄巻き」をはめた外枠が回転し、出てきた縄が左右に少しずつ移動し、順序よく均等に巻き取るように工夫されている。 おそらく、もっと古い時代には、機械でなく手で編んだ縄を巻きとるため、一人が縄巻き器を回し、もう一人は縄を持ちながら左右に動かし縄を巻く位置を調整していたに違いない(両手を使い一人での動作も可能)。
 ところで、この巻き取り道具は木製である。説文解字は竹製と書いてある。竹を使う理由の一つは巻き取る軸に円い竹を必要とするからであろう。おそらく古代の巻き取り器は板に穴をあけて竹の軸の左右の節まではめ込み、竹軸の空洞に棒を差し込んで両脇の支柱に固定したものと思われる。こうすると巻き取り器を回転させることができる。
 ここで古い字形をみると、竹の下の互は上下二線(側板)の間に互いに入り組んだ形が描かれている。著者の許慎は「人が手を握った形」とするが手には見えない。おそらく巻き取っている縄のより目を表現しているのであろう(以上の解字は私見です)。
なぜ「互いに」の意味になるのか
 では、こうした縄巻き器を使うと何故「互いに」「かわるがわる」「双方」などの意味がでてくるのか。それは、縄を巻くとき、縄が片方の側板に行き着くと反転して向かいの側板にむかって進み、そこに行き着くとまた反転する動作を繰り返すからである。のちに字形は竹がとれて互だけとなった。
意味 (1)たがい(互い)。たがいに(互いに)。「互選ゴセン」「互角ゴカク」「互換ゴカン」 (2)かわるがわる。「交互コウゴ」 

イメージ 「たがいに・双方」(互・冱)
音の変化  ゴ:互・冱
たがいに・双方
 ゴ  冫部
解字 「冫(こおり)+互(双方)」の会意形声。こちらもあちらも寒さのため凍り付くこと。
意味 (1)こおる(冱る)。凍結する。「冱寒ゴカン」(いてつく寒さ)「凝冱ギョウゴ」(凍結する)

           
    イ <はりねずみ>
 イ・あつめる  彑部けいがしら・いのこがしら

解字 篆文は、はりねずみが身をまるめている姿の象形とされるが、字形の解釈はむずかしい。はりねずみは、かたい毛が密集しているので、あつまる・あつめる意に用いる。楷書はとなった。強いて楷書で解字すると、「彑(いのこがしら。とげのような毛のあるヤマアラシ)+冖(とげが表面をおおう)+果(果物のように丸い)」で、はりねずみが丸くなった形か。語呂合わせで覚えると便利。
意味 (1)はりねずみ(彙)。 (2)あつめる(彙める)。あつまる。あつまり。「彙報イホウ」(あつめて分類し編集した報告) (3)(毛が密集するさまから)ひと所にあつまる同類のなかま。たぐい。「語彙ゴイ」(ある範囲の中の単語の総体)「彙類イルイ」(同種のもの)
覚え方  くにわか(ク二ワ(冖)カ(果))で、 
※ただし、上部の正式な筆順は、「L+フ+一」と書くので、ク二ワ果と書くより一画少ない。


    ケイ <たずさえる>
[攜] ケイ・たずさえる・たずさわる  扌部
解字 旧字はケイで、「扌(手)+(ケイ)」の形声。ケイは鳥の名とされ、扌(手)をつけたケイは鳥を入れたカゴを手にたずさえる形。複雑な漢字なので早くから俗字「携」ができて、これが使われている。携は、本字の崔⇒隹、冏⇒乃に変化した字。この字も語呂合わせで覚えるしかない。
覚え方 て()に、とり()の()カゴを(たずさ)える。
意味 (1)たずさえる(携える)。身につける。手にさげて持つ。「携帯ケイタイ」「必携ヒッケイ」(2)たずさわる(携わる)。手をつなぐ。「提携テイケイ」(手をつないで互いに助ける)「連携レンケイ」(連絡をとり手をつないで協力する)
<紫色は常用漢字>
           
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