眔 トウ 目部
解字 甲骨文字は目の下に水滴を表す小点を加えており涙を表した文字。仮借して並列を表す助辞[および]などに用いられる[甲骨文字辞典]。金文から「目+水に似た形」になったが、助辞や人名で用いられた。篆文から本来の涙をながす意で用いられる。
意味 (1)なみだ・みおくる (2)およぶ。および。
イメージ 涙をながす(眔・鰥・褱)
音の変化 トウ:眔 カイ(会意):褱 カン(会意):鰥
涙をながす
鰥 カン 魚部
解字 「魚(さかな)+眔(涙をながす)」の会意。同音の鰔カン・鳡カンに通じ、コイ科の淡水魚である大魚のハクレン・ボウウオをいう。『孔叢子』(年代不詳)には「衛人、河に釣り鰥魚カンギョを得たり。其の大なること車に盈(み)つ」とあり。車いっぱいになるほどの大魚だとされる。
また、鰥は魚が涙をながす形であることから、捕獲された大魚(オス)が群れに戻れずに涙をながすと考え、人に移して「結婚できない男」また「妻を失った老いた男」の意味で使われる。
意味 (1)大魚の名。ハクレン。ボウウオ。「魴鰥ホウカン」(魴ホウという魚を釣りの餌にしたが、見向きもしない大魚の鰥カン) (2)やもお(鰥)。妻のない男。また妻をなくした老いた男。男やもめ。「鰥寡カンカ」(男やもめと女やもめ)「鰥寡孤独カンカコドク」「鰥夫カンフ・やもお=鰥民カンミン」「鰥居カンキョ」(妻を失って一人暮らしする)」
褱 カイ 衣部
解字 「衣(ころも)+眔(涙を流す)」の会意。衣は上下に分かれている。死者の衣の襟(えり)もとに涙をたれる形。別れを惜しむ意で死者との儀礼を意味する。褱を音符に含む字は、「別れを惜しむ」イメージがある。
意味 なつかしい(=懐)。
参考 音符「褱カイ」へ。