漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「禹ウ」<古代の聖王>・「焉エン」<端正で美しい鳥>

2015年04月07日 | 漢字の音符
 ウ  禸部ぐうのあし

解字 二匹の虫をタテとヨコに組み合わせた形。オスとメスなので頭のかたちが異なる[字統]。金文第二字でタテの虫が頭の大きい蛇のような形になり、ヨコの虫が手のような形に変化し、篆文で現代字に通じる形ができた。虫は蛇とされるが竜とする説もある。もと水神としてまつられ、転じて、中国古代の聖王の名となった。
意味 (1)虫の名。(2)古代中国の夏王朝を開いた伝説上の王の名。「禹行舜趨ウコウシュンスウ」(見かけだけ禹のように歩き、舜のように走っても、聖人の徳は備えていない。うわべだけ聖人の真似をすること。舜は中国古代説話上の五帝の一人)「禹域ウイキ」(中国の別名。禹王が治めた国土の意から)「大禹ダイウ」(禹の敬称)

イメージ 「古代の聖王」の他、二匹の虫が交わるかたちから「むし」のイメージがある。
 「古代の聖王」(禹)
 「むし」(齲)
音の変化 ウ:禹・齲

むし
 ウ  歯部
解字 「歯の旧字(は)+禹(むし)」の会意形声。虫にかまれた歯。
意味 むしば(齲)。「齲歯ウシ・むしば」(虫歯)「齲痛ウツウ」(虫歯が痛い)


   エン <端正で美しい鳥>
 エン・いずくんぞ  灬部

解字 金文は「正(端正な・ととのった)+鳥(とり)」の会意。端正で美しい鳥の意。正の上に一がついているが異体字の正である。篆文は正と鳥が合わさった形となり、現代字は「正+鳥の下部」の焉エンとなった。本来の意味でなく、仮借カシャ(当て字)され、疑問・反語、句末の助字、指示代名詞、また、状態を表す語に用いる。
意味 (1)いずくんぞ(焉んぞ)。なんぞ。(2)これ。ここに。(3)状態を表す形容の語。「終焉シュウエン」(終わりの状態の意。①いまわ。死に臨むこと。②身の落ち着く所。隠居して晩年を送ること)「忽焉コツエン」(たちまち。にわかなさま。=忽然)「我不関焉ガフカンエン・われかんせずエン」(わたしには関係が無いよ、といった態度をとるさま)(5)揚子江と淮河に産する黄色い鳥[説文解字]

イメージ
 「仮借カシャ」
(焉)
 「端正でうつくしい」(嫣)
音の変化 エン:焉・嫣

端正でうつくしい
 エン  女部
解字 「女(おんな)+焉(端正でうつくしい)」の会意形声。端正で美しい女。
意味 (1)うつくしい。女性の体がすらりとうつくしいさま。「嫣麗エンレイ」(うつくしく、うるわしい)「嫣紅エンコウ」(うつくしい紅色)(2)あでやかにほほえむさま。「嫣然エンゼン」(あでやかににっこり笑うさま)

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