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80分の1丁目16番地

ペーパースクラッチによる車両作りを中心に1/80、16.5ミリゲージの鉄道模型を楽しんでいます。

峠の釜飯の泣ける話

2017-12-24 13:23:56 | 信州全般方面
先日の投稿で軽井沢へ行った話を書きましたが、道中、やっぱり昼メシはこれに限るよなぁということで横川S.A.に立ち寄り「峠の釜飯」を食しました。で、捨てるに忍びず空き釜を持ち帰ったわけですが・・・




皆さん、釜の裏側ちゃんとご覧になったことあります?「実用新案登録番号 3150274 益子焼」と書いてあります。これ前から気になっていたんで調べてみました。



その前に実用新案は特許とどう違うのかですが、『特許は「物(プログラムを含む)・方法」を保護対象にしますが、実用新案は「物品の形状、構造又は組合せ」を保護対象にします。』だそうです。権利の存続期間は、特許権は出願日から20年、実用新案権は出願日から6年とのこと。詳しくはこちらの解説などを参考にしてください。

で、この益子焼のずっしり重い釜飯容器、巷では「ご飯がふっくらおいしく炊ける」など評判が高く、販売元のおぎのやでもホームページでレシピを公開しています。一見なんの変哲もないこの釜ですが、誰でも失敗なく炊けるものすごい秘密が隠されているに違いありません。それがまさに実用新案登録番号3150274なのか!?


調べてみて驚きました。この実用新案、ご飯がふっくら炊けるどころか料理には全く関係のない「水栽培用の鉢として再利用する」というアイデアでした。同じような検証をする方はいるもので詳しくはこちらのページをご覧ください。何が“実用新案”なのか要約するとこんな感じです。図も引用しておきます。ちなみに出願者は「株式会社つかもと」、なんと釜飯容器を製造している益子焼の窯元でした。
・空いた釜飯容器を捨ててしまうのはもったいないので再利用方法を考えた。
・以前、底に穴を開けて鉢にするアイデアも出願されたが、業者としては加工がコストアップとなり、消費者がうまく穴を開けるのも難しい。
・なので、もっと簡単に再利用できるよう、球根の水栽培に適したフック付きの“落とし込み蓋”様のものを考えてみましたよ!
・これを釜飯とセットで配布すれば(←ここ重要)消費者も簡単にリサイクル可能!



いやはやびっくりです。しかも「株式会社つかもと」として出願された実用新案は今のところ3件あるそうで、年代順に要約すると次のようになっています。
【底に穴を開けて植木鉢として再利用】
実用新案第3033977号 平成8年(1996年)11月13日登録

【芳香剤容器として活用】
実用新案第3094454号 平成15年(2003年)3月26日登録

【水耕栽培容器として活用】(今回話題にしているもの)
実用新案第3150274号 平成21年(2009年)4月15日登録


出願が登録のだいたい半年前と考えると、権利存続期間が切れる6年ごとに、次から次へと新たな実用新案を出願していることになります。使用済みの釜はレストランなどでは回収・洗浄して再利用されるほか、窯元へ返送されたものは粉砕して舗装材料などにされるとのことですが、真心込めてせっかく焼いた釜を粉砕するのは心が痛むのでしょう。何とか再利用してほしいという窯元の叫び声が聞こえるようです。


では、実際にこれらの実用新案は日の目を見たのでしょうか?

まず「植木鉢」。これは出願者本人が「コストに合わん」と評しているので実際に穴あけを意識した設計の釜は出現しなかったと思われます。その代わり消費者ベースではけっこう気ままに鉢植えを楽しんでいる方は多いようです。



2番目の「芳香剤入れ」。これはついぞ実例を見つけることはできませんでした(80分の1丁目調べ)。お洒落に「アロマポット」で検索しても一緒。。


そして問題の3番目「水耕栽培用鉢」。これも残念ながら、おぎのやマークの釜とヒヤシンスがコラボしているような実例は見当たりませんでした(80分の1丁目調べ)。


一方、釜飯販売元のおぎのやさん。「おいしいご飯の炊き方レシピ」をHPで公開するほか、最近は「空き釜専用漬物石キット」なるものを販売しているとのこと。どちらも空き容器の活用という点では一致していますが、釜そのものの作り手と、釜の中身の作り手との意識の違いが透けて見えるようでおもしろいですね。

しかし窯元さんの提案はあまりに地味なためかなかなか浸透していません。最後の実用新案登録からすでに6年以上経過しています。すでに弾を撃ちつくして挫折してしまったのか、はたまた2020年東京オリンピック・パラリンピックをにらんで、何かとんでもない次なるアイデアを磨いているのか!?


もし挫折してしまったのなら再び勇気を持って立ちあがってください!当ブログも微力ながら応援します。リスペクトの意味を込めて「実用新案第3150274号」を作ってみました。ただしゴメンナサイ、材料が揃わないので厚紙で作ったイミテーションです。球根の代わりにニンニクを置いてみましたが雰囲気はバッチリじゃないですか?皆さんもぜひ水耕栽培を始めましょう。




イミテーションでは恐れ多いので80分の1丁目からの新たな提案をしたいと思います。発想を変えて釜のフタに注目!幅が約3センチ。これは我が国が誇る鉄道おもちゃ「プラレール」規格にほかなりません。




じゃん♪楽しく遊ぶためにはどんどん釜飯を買わなければいけません。シークレットアイテムで「ポイント」や「踏切」型のフタも用意すれば完璧。2020年もしくは平成の次なる時代も「峠の釜飯」は進化し続けることでしょう!




(歴史検証のはずが大変おふざけなことになってしまい失礼いたしました・・・)


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8 コメント

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池内淳子 (昭和ど真ん中)
2017-12-24 20:58:59
はじめまして。

峠の釜飯というと、微かながら覚えている50年前のドラマを思い出してしまいます。何故か伊賀上野を舞台にしたドラマと記憶が混在していますが。
10年前に軽井沢へ今は壬生にある玩具博物館でメルクリン の全然の鉄道模型を見に行きましたが、釜飯のことはすっかり忘れていました。
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釜の再利用 (ぐりれ)
2017-12-24 22:09:25
その昔、職場の旅行で軽井沢に行ったとき、あさま(もちろん189系)の車内でおぎのやの釜飯を食べながら、「これ、植木鉢になるんだよな」と同僚と話しをしていたら、見知らぬ淑女旅行者から「どうやって底に穴を開けるのか」と尋ねられ、釘かなんかでコツコツと開けるという方法をお教えしました。
あれはどう考えても1996年より数年ほど前の話し。
あのとき実用新案を申請しておけば・・・
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新提案 (ぐりれ)
2017-12-24 22:29:36
連投失礼します。
峠の釜めしのフタの再利用案、プラレール用のターンテーブルならフタ1枚で済むので良いかもしれません。
ここで実用新案、と言いたいところですが、申請時に公開されているアイディア(考案)は登録されないんですよね。
つまりこのブログで公開しちゃったらもう新案として登録されない(できない)わけで・・・
すでにこっそり申請済だとか?
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Re: 池内淳子 (isao)
2017-12-25 08:07:31
昭和ど真ん中さんはじめまして。コメントありがとうございます。
池内淳子さんのドラマや映画はほんとに良く観ましたね。ただ釜飯のドラマは残念ながら記憶にありません。ちょっと調べてみましたが、おぎのやが全国区になるきっかけとなったドラマ・・・ですか。おもしろそうですね。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
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Re: 釜の再利用 (isao)
2017-12-25 08:11:38
釜を裏返すと「実用新案 ぐりれ」って書いてあるの?そ、それはご勘弁~~(笑)
まあでも穴ひとつあるだけでリユース率格段に上がると思いますね。
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Re: 新提案 (isao)
2017-12-25 08:15:46
ターンテーブルか忘れてた!形からしてそっちが一番自然ですよね。1枚で済むし。。
>ブログで公開しちゃったらもう新案として登録されない
私のは「線路」「ポイント」「踏切」しか提案していないので大丈夫でないかい?ぜひ「ターンテーブル」を出願してみてください。キラーン♪
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Unknown (所長失格)
2020-07-27 21:07:47
古い記事へのコメント恐縮です。昨日記事ランキングにこちらが出ていて拝見しました。ハンカチ用意したのですが・・・(泣けませんでした)
昔ちょこっと特許事務所で働いていたことがあり、補助部門でしたが知的所有権について少し勉強しました。実用新案はすでに存在する物の改良が対象なので、特許と違って図面の添付が義務付けられています。このような容器の活用方法でも、どこかの誰かが鉢にして商売を始めても、その人が実用新案を出願したり登録してしまえばつかもとさんは手出しができないので、自分の権利保護という観点から可能性のある権利は出願し、うまくいって登録しておけばさらに心配がなくなるので、そのような理由で出願・登録されたのだろうと思われます。
益子のつかもとさんですが、ちょうど1年前に別用で私も行っています。詳しくはこのコメントのリンクに出ています。記事後半の写真が出ない場合、パソコンの更新をクリックすると出てくると思います。
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Unknown (isao)
2020-07-28 15:32:47
所長失格さん
実用新案についてご教示いただきありがとうございます。つかもとさんの土釜に対する深い愛情が出願・登録という形になっていたのかなと改めて思いました。
昨年のブログ記事拝読いたしました。真岡鉄道沿線は足を踏み入れたことがないので、観て食べて歩いて・・・の参考にさせていただきます。
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