イリスの色いろのお話

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大手町座第11回 亀井広忠プロデュース「舞歌(かぶ)の至芸」

2012-12-02 19:27:25 | 観劇・アート
久しぶりの能楽鑑賞。

大手町座第11回 亀井広忠プロデュース「舞歌(かぶ)の至芸」
~東大観世宗家・観世清和、梅若六郎玄祥、観世銕之丞 最高峰のシテ方三師競演による能楽観世流の神髄~
http://www.nikkei-events.jp/concert/con121129.html

観世清和、梅若六郎玄祥、観世銕之丞という、
贅沢なお顔ぶれに惹かれて席をとりました。

私が最初に能の舞台を鑑賞したのは、今から10年以上前、
梅若六郎先生の「土蜘蛛」でした。

きっかけは、日本文化の精神は見えないものを感じる心だということで、
「新月の会」なるものがあり、
そのお手伝いをしたことからでした。

講演と対談に梅若六郎氏をお迎えすることとなり、
何も知らない私は、
慌てて舞台を拝見しに行ったというわけです。

そのときまでは、能がこんなに面白いものだとは思ってもみませんでした。
日本人でありながら、能楽を何も知らないことを恥じたのでした。

当時、六郎先生は能楽師として50代の華とうたわれており、
直接お話をすることができたのは貴重でした。

そんなことがきっかけで、着物を着る機会が増えました。
私は20代に着付け学院で学び、着物は自分で着られましたが、
見渡せば着物を自分で着られない人ばかり。
もっと着物を着てほしい!!それも奇麗に!
と思いました。

そこで他人に着せるための着付けを学び直し、
プロ着付師としてお仕事をするに至っています。

その頃のことがぼ~っと頭に浮かびながら、
能の舞台に魅入っていました。
(能を鑑賞すると、いつも瞑想しているような感じになるのです)

大手町座では、能装束も面もない略式の演目です。
袴姿の能楽師たちが、
きりりとした居住まいで、演じているのはこれまた素敵でした。

今回の発見は、人間国宝の大鼓方 亀井忠雄氏。
なんてすごい方なのか、音が違う!
ひと手打つたび、山の、天に伸びる杉の木を思わせました。
そして場を引っ張って行く存在感に圧倒されました。

忠雄氏と、笛方の藤田六郎兵衛氏との「獅子」は、
まさに気迫のぶつかり合いでした。

舞台を拝見して、こうした重鎮が尊敬されつつ、
若手を盛り上げて行こうとされている心意気を感じました。
それは、関わる者が皆、伝統芸能である能の重みを受け継ぎ、残したい、と心底思われているからでしょう。

立ち、座り、全ての所作が一部の隙もなく美しく、
鍛錬の賜物ですね。

いろんな意味で、能楽から学ぶことは多いです。