イリスの色いろのお話

イリスのエレガンス★コミュニケーション blog
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「そしてモードはアウトローから」~『近代の文様と江戸のきもの』講演会より

2012-02-23 20:00:38 | ファッション
先日の山種美術館にて行われた講演会
「近代の文様と江戸のきもの」 丸山伸彦氏 
を聴講しましたので、鑑賞した絵画も含め、その感想などを。


丸山氏曰く、
江戸時代の服飾の流行の発祥は
遊女から、市民、そして武家へと流れがあるので、
「モードはアウトローからはじまる」といえる。
それは世界でもまれに見ること。

「家紋の中に文様の蓄積があり、これがあったから、
市民がモードをつくれたのだ」
とおっしゃいます。

家紋の中に文様の蓄積があり、様々な文様へと発展しました。
最終的に武家社会では、家紋は家の象徴となります。

だから、TVドラマ水戸黄門で、
「この紋所が目に入らぬか~」と印籠の家紋を見せるだけで、
(徳川家とわかり)
「はは~」っとなるのですものね。

家紋の基本形は5つ。
下がり藤、木瓜(もっこう)、三つ葵、五三の桐、違い鷹の羽

私はきもの美人講座の受講者に、必ず家紋をお聞きします。
着付けを習いたいという学生でもほとんど知らなくて、残念に思います。

さて、展示のひとつでパンフレットの表紙にもなっている、
上村松園の『春芳』には梅の家紋が描かれています。
文様は、松に藤。

松は男、 藤は女で、夫婦や男女をあらわします。
色気のある文様ね。

文様や、色彩の手がかりとして、
寛文小袖のひな型本をスライドで見せていただきました。
これは私も以前他の美術館で展示を見ましたが、
相当面白いです!

大胆な構図に、色彩豊かな配色から、当時のモダンさを感じます。
そして、やはり流行がありますから、
職人さんたちが凝りにこって次の意匠を考えたのでしょう。


今見ても面白いと思いますのは、鳥のデザイン。
鳥を描写するのではなく、漢字で表すものがあるのです。

網の絵の上に「鳥」の文字だったり、

燕(つばめ)の文字が杜若に似ているからと、
杜若の花の位置に「燕」の文字があったり。

海外向けに復刻したら受けそうです。

その他、謡曲に由来するもの、源氏物語に由来するもの、など
文様は知れば知るほど面白い!

前週の皇室の文様と、江戸の文様、日本ならではの文様に親しみ、
ますます興味はつきません。