( 大阪城の梅 )
読売新聞の元旦号から連載した橋本五郎氏 ( 読売新聞の元論説委員 )と曽野綾子氏の対談は、示唆に富んで興味深かった。
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橋本> (政治家、リーダーについて ) 一人ではできませんから、自分を支えてくれる人たちがどれだけいるかということが大切です。広い意味で人徳がなければいけない。
曽野> 「お友達内閣」って、いけないんですか? 私はそうは思いません。
橋本> 当たり前じゃないですか。問題はいい友達か、悪い友達か、です。
曽野> だから、首相がどんないいお友達をお持ちかって、試されていますね。野田前首相はあまりにもお友達の質が悪すぎた。
橋本> 民主党政権では、みんなで支えようとする意識がなかった。
曽野> それは民主党の独特の状況なんですか?
橋本> どの党でもありがちですが、民主党は「俺が、俺が」が強すぎた。一方で、支えられるほうも支えられるだけの人格を錬磨してこないと。
曽野> 支えてもらったことをきちんと感じてなきゃいけませんね。
橋本> 民主党が再建できるかどうかは、「自分たちは支えられなかった」「自分は支えられるに値するほどの人間じゃなかった」と反省するところから全てのスタートがある。国を統治するということを簡単に考えすぎていましたね。
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これは、政治家だけの話ではない。
企業でも、病院でも、学校でも、政党でも、これからリーダーになろうとする人は、肝に銘じなければならないことである。また、次世代のリーダーを指名する立場にある人も、よくよく考えなければならない。
リーダーとして一番大切なものは何か? 先見性だとか、発想力だとか、政策立案能力だとか、組織する能力だとか、いろいろ言われる。しかし、そのような能力は、リーダーを支える部下がもっていれば済むことだ。
昔も、今も、トップに求められる絶対不可欠なもの、それは、人徳である。
人徳のある人間なら、皆が支える。
また、人徳のある人間なら、自分が支えてもらっていることをきちんと感じとることができる。そういうヒューマンな感性が、すなわち人徳でもある。
リーダーたらんとするものは、支えられるに値する人間になるよう、人格を練磨することだ。
「俺が、俺が」の組織は、滅びる。